Fate/EXTRA 汝、復讐の徒よ   作:キングフロスト

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竜の魔女と偉大なる海賊

 

 エレベーターの扉の先、光の中から外に出たと思うと、そこは船の上だった。

 いや、正確には沈没船の少し傾いた甲盤上に、私達は立っていたのだ。アリーナで何度も目にした、死んだ船。それこそが、決戦の舞台だったのである。

 

「……!」

 

 私はふと周囲を見回した。自分達が乗ってきたはずのエレベーター、つまり帰る手段が残っているのかを確認するためだ。

 しかし、辺りにはそれらしきものはまるで見当たらない。それが意味する事とは、やはり───。

 

「勝った方だけが、ここから帰る事が許される。そして、敗者は文字通り、この船の()()に置き去りにされる……そういう事ね」

 

 アヴェンジャーも私と同じ考えに至ったのだろう、その事実を口にしていた。それにより、より殺し合いという言葉は現実味を帯びてくる。

 

「ハッ、海賊に用意された戦場が船の墓場たぁ、ちょいと趣味が悪すぎやしないかい?」

 

 そう言いつつ、離れた所に立っていたライダーの顔は、むしろ楽しそうにすら見えた。いや、事実彼女はこの状況を楽しんでいるのだろう。

 彼女は海賊であり冒険家でもある。冒険家とは、困難を乗り越える事をこそ善しとするもの。彼女にとって、困難の無い旅路はツマラナイのだろう。

 

「なら、アンタの墓標をここに建ててあげる。さぞ、見栄えのある墓標になるでしょうね? 『偉大なる大海賊、フランシス・ドレイク。ここに眠る』……ってね」

 

 アヴェンジャーがいつものように挑発を掛ける。というか、それは洒落になっていないんだけど。

 海賊相手に沈んだ船に墓標を建てるとか、それはかなりの侮辱ではないか。だって、海賊として負けたからこその何よりの証明に他ならないと言える。

 船諸共海の底へと消えた、それだけならまだいい。だけど、その沈んだ船に墓標を建てるというのは、その人物を貶める以外の何でもない行為だ。

 

 そして、それが分かっているからこそ、アヴェンジャーはそんな挑発をしたのだろう。復讐の英霊、自らを竜の魔女と名乗る、絶望と憎悪に(まみ)れし憤怒の塊こそが自分なのだと、いつかアヴェンジャーが言っていた事を思い出す。

 故に、彼女に敵を思いやる心なんて必要ないのだ。彼女にとって敵とは憎むべき対象。倒すべき障害。殺すべき他人でしかない。

 たとえ、挑発であろうとも、最大限の効果を発揮してこそ価値がある。そういう思考の持ち主が、彼女なのだ。

 

 その彼女の挑発を受けて、ライダーはと言えば、激昂するでもなく、悲嘆するでもなく、何かを悟ったような顔でアヴェンジャーに視線を返していた。

 

「そいつは結構。アタシが生前やった、死ぬ間際の滑稽さに比べりゃ、まだマシってもんさ。病に冒された身で鎧なんざ着て錯乱するバカよりよっぽどマトモじゃないか。ああ、今でこそ思い返してみれば、トンだ間抜けだよ、死にかけだった頃のアタシは」

 

 淡々と生前、死の間際に取った自らの奇行について語るライダー。その行いに少し恥じるところがあったようだが、どうやら、彼女へのアヴェンジャーの挑発は、まるで意味を為さなかったようだ。

 

「でもまあ、それはそれ。今のアタシは全盛期バリバリの頃のアタシさ! くたばりかけのババアじゃない、それこそ太陽を落とした女。それが今のアタシだ! さあ、さっさと殺し合おうじゃないか、アヴェンジャー! アンタのその旗、アタシが勝ったら記念に頂戴してやるよ!!」

 

「フン! 我が旗は復讐を忘れぬ為の誓いそのもの。貴様ごときに奪わせるはずがないでしょう? じゃあ、望み通りに殺し合いましょう。アンタのその首、斬り落として我が炎の薪にでもくべてやるわ!!」

 

 最初から挑発なんて必要なかった。二体のサーヴァントは、互いに勝利を宣告するや、巨大な殺気を撒き散らしながら、マスターの指示を待たずして衝突を開始した。

 今、当に戦いの幕が切って落とされたのである。

 

 戦いが始まってしまった以上、私もいつでも指示を出せるように、ライダーの動きに目を見張る必要がある。

 ライダーは海賊なだけあって、その身のこなしはとても軽く、身軽なフットワークと瞬発力の高い武器、拳銃を使用してくる強敵だ。

 

 反面、アヴェンジャーは今は旗は消して大鎌を持っているが、どちらにしてもメインの武器が共に大きいため、向こう程の俊敏な動きを取るのは難しい。

 

 走りながらアヴェンジャーの周囲をグルグルと回って銃撃を開始したライダーに、私は大声で指示を飛ばした。

 

「アヴェンジャー、跳んで地面に向けて炎を放って!」

 

「ウィ!」

 

 鎌で銃弾を弾きながら、二丁拳銃の連発に何とか隙を見つけたアヴェンジャーは、大きくジャンプして、さっきまで自分が立っていた場所に向けて手を翳す。

 

「邪竜咆哮! 燃えろ!!」

 

 呪いの言葉と共に彼女の手から放たれる紅蓮の炎。それは彼女の立っていた床の周囲を焼き尽くさんと一気に燃え広がっていく。

 

「おっと、危ない危ない」

 

 しかし、指示が聞かれていた事もあり、簡単にライダーに攻撃をかわされてしまう。

 

「アッハハハ! バッカじゃないの? どこに戦闘中に指示を大声で出すマスターが居るワケ? バレバレすぎて難易度イージーどころじゃないね、これじゃあさ!!」

 

 見事に外れたアヴェンジャーの攻撃に、慎二は高笑いしながら私へとバカにしてくる。だが、彼の言う事はもっともだ。

 私のやり方では、アヴェンジャーだけに伝える事が出来ない。どうしても、敵にも私の指示が伝わってしまう。

 もっと大雑把な指示でないと、細かな指示では簡単に対応されてしまうだろう。

 

 それが分かっていたのだろう、アヴェンジャーも炎の円に着地すると同時、炎が消え去るのも待たずに私の元へと、炎を飛び越えて退いてくる。

 

「マスター、ムカつくけど、あのワカメの言う通りです。何か他の方法を考えないと、貴方の指示は全く効かないわよ」

 

 他の方法、と言われても、咄嗟にそれが浮かべば苦労はしない。

 

 でも、考えている余裕もない。敵は待ってはくれないのだから。

 ライダーは再び駆け出すと同時、走りながらこちらに向かって銃撃してきた。アヴェンジャーと()()()に。

 

「チィッ!」

 

 アヴェンジャーは私の前に出ると、鎌を風車の如く猛回転させて銃撃をガードする。だけど、そのやり方では、こちらは動く事が出来ない。

 攻撃の手を休めずに接近してくるライダーに、アヴェンジャーは防戦一方と成らざるを得なかった。

 このまま一方的に攻撃を受け続けるのは拙い。こうしている間にも、ライダーは着実にこちらに近付いている。

 

「………」

 

 私はその時、ふとある事を思い付いた。この状況を打破し、逆にこちらが有利に立てるかもしれない、起死回生の一手を。

 だけど、これは賭けにも等しい危険な行いだ。意識せずとも、私の足は竦んでしまう。

 

「そろそろヤバいわね……!」

 

「…!」

 

 アヴェンジャーが漏らした苦言に、私はハッとなる。今は尻込みしている場合じゃない。私が原因で、この状況に陥っているんだ。

 なら、私がどうにかしないと……!

 

 意を決し、私は、私を守るアヴェンジャーの背中を一瞥すると、彼女の守護範囲外へと飛び出した。

 

「!! マスター、何を!?」

 

「余所見してる暇なんざ無いんじゃないかい!?」

 

「くっ……!!」

 

 気配で察知したアヴェンジャーだったが、ライダーの言うように、ガードの手を緩める事は出来ない。幸い、ライダーが私へ狙いを定めなかったおかげで、今もライダーの銃口はアヴェンジャーを狙い続けながら接近している。

 

 それも当然か。だってこれは、サーヴァント同士が雌雄を決する戦いだ。私を銃撃の標的に巻き込んだのだって、彼女からすれば戦術の一つに過ぎない。

 私も銃口の先に居れば、アヴェンジャーが守るだろうという腹積もりだったに違いない。

 そして、彼女の目論見通り、アヴェンジャーは私を守る為にその場で縫い付けられるように身動きを封じられてしまった。

 

「だけど───」

 

 だけど、私はそれを打破するためにこそ、銃弾から守ってくれていた彼女の背中から飛び出したのだ。

 今こそ、マスターとしてアヴェンジャーを救う時……!!

 私は腰に手を掛け、チェーンベルトに差していた守り刀に手を触れながら、もう片方の手をライダーに照準を合わせて突き出した。

 

「コードキャスト、hack(16)!!」

 

 短い詠唱で私の手から撃ち出されたテニスボール大の光球が、走るライダー目掛けて一直線に飛んでいく。

 

「ッ!!?」

 

 私の放った光球が視界に入ったライダーは、一瞬だけギョッとすると、僅かに走るスピードと攻撃の手が緩む。その隙を、アヴェンジャーが見逃す筈がない。

 

「お返しよ!!」

 

 好機とばかりに、回していた鎌を後ろ手に持ち変え、空いた左手で腰に差した剣を抜き放つと、切っ先に居るライダー目掛けて、虚空から生み出した数本の黒槍を射出した。

 

「チクショウが!!」

 

 アヴェンジャーの攻撃に気付いたものの、ライダーはアヴェンジャーとの距離を詰めすぎた。それにより、完全に回避する事は叶わず、どうにか身を捩っても槍が彼女の体を少し抉り抜く。

 

 私の光球も当たりはしたが、まるでダメージを与えるまでには届かない。

 それもそのはず、このコードキャストは、“敵の魔力に反応して効力を発揮する”、言わば後出しの先制攻撃のようなもの。

 敵が魔力を用いた攻撃やスキルを使用しようとしてきた時に、この光球が当たるとその魔力に干渉し、体をほんの僅かな間だが一時的に硬直させるのだ。

 その僅かな一瞬が、サーヴァントにとっては命取りとなる。一流の英雄達なら、その一瞬を逃さずモノにしてみせるのだから。

 

「やってくれるじゃないか。結構キツいの貰っちまった」

 

 脇腹を抉られたというのに、言葉とは裏腹に華麗なステップで身を翻すと、ライダーは未だ余裕を持った顔で慎二の元へと舞い戻る。

 あの程度の傷では、行動に支障を来す事は出来ないという事か。

 

「クソ、まさか岸波が奇襲なんて器用な真似をしてくるとはね。ナメてたとはいえ、生意気にも程があるよねぇ!」

 

 慎二はライダーがダメージを負った事に怒りこそしているが、彼女同様にその余裕が崩れはしていない。

 それだけ、彼は自信を持っているという何よりの証だ。少しくらいのダメージなら、まだ彼の許容範囲内なのだろう。

 

「ライダー、バンバン撃ちまくれ! アイツを海の藻屑にしてやれ!」

 

「オウとも。派手にぶちかまそうじゃないか! 喰らっていきな!! 撃ち方用意、全砲門、撃てぇーーッ!!!」

 

 彼女の上方への銃撃と共に現れる、大量の砲首の数々。あれは前にアリーナで見たものと同じだ。

 二十もの砲首が、虚空からその顔を覗かせ、そして()()タイミングがバラバラに砲撃を開始した。

 

「面倒な……!」

 

 前回、一度でほぼ全ての砲弾を切り裂かれた事への対策か、今回は同時射出ではなく、全ての砲首がそれぞれ別々のタイミングで隙なく砲弾を撃ち出していたのだ。

 それも、一発ずつ撃つのではなく、何発かずつの同時射撃を何度かに分けて、だ。

 これでは、一斉に打ち落とす事が出来ない。打ち落としてもすぐに次がやってくる、まるで寸分の隙も与えない織田信長の『三段撃ち』だ。

 

「アヴェンジャー、ダメージは私が回復する! だから思い切りやっちゃって!」

 

 こうなれば、私はアヴェンジャーが傷を負ってもすぐに回復する事に徹する他ない。今更、守り刀によるコードキャストを使ったところで、ライダーに当たったとしても砲撃は開始してしまっている。ならば、回復する魔力が持つ限り、彼女の好きにやらせるのが一番効果的だろう。

 

「ハッ。魔力温存の為にも、なるべく当たらないようにしてやるわよ」

 

 大砲による砲撃の嵐を前にして、アヴェンジャーは愉しげに犬歯を剥き出しにして鎌を構える。

 手にした鎌の刃先から、炎の刃が生み出されると、大鎌片手にアヴェンジャーは大砲の雨へと自ら突っ込んで行った。

 

 アヴェンジャーは特別足が速いという訳ではない。ライダーに比べれば、勝てるとも思えない。

 だけど、その身のこなしは負けずとも劣らない。彼女はダンスでも踊るかのように、ヒラリ、ヒラリと砲弾をかわしては、時に手にした鎌で切り裂き、時に黒槍を射出しては砲弾と相殺させていた。

 ライダーは前回のアヴェンジャーによる炎を纏った大斬撃を警戒して、一斉掃射を避けたのだろうが、むしろアヴェンジャーは別々の砲撃への方が滅法強かったのだ。

 どこでダンスなんて学んだのかは知らないが、華麗な足捌きに、妖艶にすら映る回避の一つ一つが、彼女を一流のダンサーかのように思わせて仕方がない。

 

「ふっ、はっ……そら!!」

 

 美しくも獰猛な笑みが、私に彼女がダンサーではなく復讐者なのだと思い出させる。

 時折、鎌から炎の斬撃を放つ彼女は、着実に砲首を一つずつ潰していた。高熱を伴った炎の斬撃によって、砲首は真っ二つに切断されてしまい、使い物になるはずもなく、虚空から現れた時と同様に、虚空へと消滅していく。

 

 無論、アヴェンジャーの快進撃を、慎二は面白いはずもなく、

 

「な、なんだよ……どうなってんだよ、これは!? 前よりも簡単に避けられてるじゃないか!!?」

 

 先程までの余裕はどこへやら、途端に取り乱し始める。

 

「いや、やる女だとは思っちゃいたが、まさかこれでも通用しないとはねぇ……。こうなりゃ、もう()()しか残ってないかもね、シンジィ」

 

 絶句…とまではいかないにしても、ライダーには十分驚愕だったらしく、アヴェンジャーの舞う姿を前に、意味深な言葉を発していた。

 なんだか、嫌な予感がする……。

 

「この砲撃の間は身動き取れないが、この調子じゃ砲首は全部落とされちまう。こうなりゃ、最後の一つがヤられた時点で、ドカンと一発、花火を打ち上げてやろうじゃないのさ!」

 

「……仕方ない。出来れば、こんな所で使いたくはなかったけど。流石に()()を耐えて生き残れるはずもないしね。いいさ、やってやれライダー! 許可してやるよ!」

 

「あいよ! さあて、んじゃあ魔力をたっぷり練り上げなぁ!! コイツで仕留めてやろうじゃないか!!」

 

 ……確実に何か仕掛けてくるつもりだ。アヴェンジャーは砲撃をどうにかする事に集中しきっているため、慎二達の会話がほとんど耳に届いていないらしい。

 ここは、私がしっかりしないと……!

 

「これで、最後!!」

 

 そうこうしている間に、アヴェンジャーは最後の砲首を叩き斬ってしまう。それはつまり、ライダーによる何か奥の手の発動を許してしまう事と同義だった。

 

「アヴェンジャー、多分また何かしてくる! それも、もっと凄まじいのが!」

 

 すぐさまアヴェンジャーに注意を呼びかけるが、彼女は慎二達の話を聞いていなくとも、ライダーの雰囲気で何かを察したようだった。

 

「……宝具か!」

 

 一段と鋭い目つきになった彼女は、鎌を消すと、すぐに旗を現出させる。彼女本来の武具である大きな旗、それを取り出したという事は、よっぽど強力な攻撃をライダーがしてくるという事なのか。

 

「マスター、下がりなさい! 敵の宝具が来る!!」

 

「宝具……って?」

 

 聞き慣れないその言葉に、私はアヴェンジャーへと問い返すが、アヴェンジャーは言葉早に答えを寄越した。

 

「簡単に言うなら、敵のとっておきよ! こればかりは私も全霊で構えないと、凌げるか分からない。せっかく回復のコードキャストを使わせなかったんだから、出し惜しみせずに、宝具が発動したら断続的に回復を掛け続けなさい!!」

 

 アヴェンジャーをしてここまで言わせる、その宝具とやら。それほどまでに、備えが必要な攻撃なのだろうか……?

 

 私の疑問を余所に、そのライダーの宝具とやらの実態はすぐに明らかとなる。

 

「ヤロウども、時間だよ! 嵐の王、亡霊の群れ、ワイルドハントの始まりだ!」

 

 ライダーが一際高く飛び上がったと思った次の瞬間、彼女の足元から巨大な帆船──いや、海賊船がどこからともなく現れ、彼女をその船首へと乗せていた。

 それに伴って次々と現れる海賊船の群れ。それら全てが、彼女が指揮するものだと一目で分かる。

 彼女が今乗船している船こそが、彼女が生前に愛用した海賊船、『黄金の鹿号(ゴールデンハインド)』。この大船団全てを率いる、母船とも言うべき司令塔だ。

 

「アタシの名前を覚えて逝きな。テメロッゾ・エル・ドラゴ! 太陽を落とした女ってな!」」

 

 ライダーの掛け声に応じるように、全ての海賊船から全力砲撃が開始された。人間一人を狙うには大袈裟過ぎる攻撃。けれども、それら全てが、彼女を──アヴェンジャーを仕留める為に必要だと判断したからこその、ライダーの全力を以ての全艦砲撃によるフルファイアなのだ。

 

「アヴェンジャー!!!」

 

 彼女一人を打ち倒す為だけに行われる超火力攻撃に、私は指示を出す事も忘れて、必死でその名前を半ば叫ぶように呼んでいた。

 どうすればいいのかは分からない。どうしようもないかもしれない。

 けれど、私に言える事は一つだけ。マスターとして、アヴェンジャーに今私が言える唯一の事。それは───

 

「死なないで……!!」

 

 懇願にも似た、死ぬなという命令。具体的な指示も無く、あの必殺を生き残れと、私は無茶を言っていると自覚していた。

 でも、まだ一週間ちょっとしか共に過ごしていないけど、彼女の頼れる姿を何度も目にしてきたのだ。

 こんな逆境、きっとアヴェンジャーなら乗り越えられると私は信じている。

 

「我がマスターながら、呆れた命令だこと……!」

 

 背を向けたまま、私の方を振り返る事もせず、けれどその言葉とは裏腹に、何故かやる気に満ち溢れた声音だけが、轟音の中でも不思議と私の耳に届いていた。

 

 そして、次の瞬間には、彼女の姿は大量の砲撃の中に飲み込まれるように消えていった。

 

「アヴェンジャーーーー!!!!!!」

 

 私の叫びもまた虚しく、砲撃の音へと飲み込まれるように掻き消された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───私にとって、信じる事は邪悪です。

 

 けれど、マスターがこんな私なんかを信じて、生きろと命じたのならば、気に食わないけど、仕方ないから応えてやろうじゃない……!!

 

 

 




 


短いけれど、次でライダー戦は決着です。
やっぱり戦闘描写は苦手。下手くそ過ぎて泣けてくる……。
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