ベリアル物語   作:ヴァンパイア

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ウルトラマンルーブ面白いですね。これから毎週の楽しみがまた増えたぜ。


エピソード18「光から闇へ」

目を瞑りたくなるほどの眩い光。

 

禍々しいあの光の名は“プラズマスパークコア”。この星に聳え立つプラズマスパークタワーの心臓にしてこの星の心臓でもある。

 

どんなことをしても、それこそ何千万人殺そうがどれだけ心を弄ぼうがそいつが強者なら何でも許されるこの国でも、唯一キング以外の者が触ったら処刑を免れないものだ。

 

今その光の前にこの宇宙のウルトラマンことウルトラウーマンゼロとセブンがいた。

 

彼女は父に「お前がもし、プラズマスパークの力を使いこなしたら、俺の娘と認めてやる。」と言われこの場に来た。だが、触れれば処刑されると分かっている物をそう易々と触れるはずもなかった。

 

ゼロ「親父。アタイ、やっぱ死ぬのは嫌だ。」

 

ゼロはプラズマスパークコアに触るのを拒んだ。すると、セブンはなんと彼女を優しく抱き締めた。

 

セブン「お前は俺の自慢の娘だ。必ず使えこなせるさ。それに何があっても、俺はお前の味方だ。」

 

ゼロ「親父。(やっぱ、親父はアタイのことを思ってくれてたんだ。親父はアタイに期待してんだ。なら、アタイもその期待に答えねえと。)」

 

セブンから後押しする言葉を掛けられ、意を決してプラズマスパークコアに手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アタイの人生はここで大きく変わった。

 

彼女の手は焼き焦がされそうな程の痛みに襲われ、喉が張り裂けそうな悲鳴を上げた。

 

グワアアアアアアアア

 

その悲鳴はプラズマスパークタワー内部に響き渡り、サイレンが鳴った。

 

痛みのあまりにその場で悶え苦しんでいるゼロは涙目でセブンに助けを求める。

 

ゼロ「…親父………助けて。」

 

しかし、そんな彼女を横目にセブンは駆けつけたウルトラ星人達に告げた。

 

セブン「その裏切り者を処刑しろ。」

 

ゼロ「えっ。」

 

彼女は、想像もつかなかったセブンの残酷な言葉に唖然とした。

 

命令を下されたウルトラ星人達はゼロを取り押さえる。彼女は必死に暴れるが、数十人の数には勝てなかった。突然の出来事に頭が追いつかずにいたゼロだが、ようやく意識を取り戻すと恐ろしい形相で

 

ゼロ「親父!アンタは…アンタはアタイの味方じゃなかったのかよ!」

 

彼女の叫びをセブンは何事も無いように聞き流し、何処かへと飛んで行ってしまった。彼の飛び去った方向を睨みつけ、怒号を放った。

 

……絶対に……地獄を味合わせてやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

惑星アルカディアでいつもデストロイ怪獣と激戦を繰り広げている都市のど真ん中で禍々アークベリアルは、グリーザ達に見守られ、前のめりに倒れピクリとも動かずにいた。だが次の刹那、その凶悪な瞳に光が灯ると起き上がり始める。

 

ウォウイイイイン・ウォウンンンンンン

 

大地を揺らすほどの雄叫びを上げた禍々アークベリアルは、通常のベリアルに戻り見守っていたグリーザ達に元による。

 

グリーザ「いったい何をしてたの?」

 

ベリアル「じきに分かる事だ。楽しみに待っておけ。」

 

直ぐに知ろうとしたグリーザは渋々了解する。

 

そして上空に巨大な鉤爪のようなクレーターが浮かび上がると、そこから光が放たれた。このクレーターの正体は、かつてベリアルが本拠地とした【帝都要塞マレブランデス】だ。ダークゴーネとマリナ達が協力し再建したものである。

 

ベリアル「俺の留守は任せたぞ。」

アイアロン・グラシエ「御意ッ!」

アイアロン達に見守られながら、ベリアル達は光へと吸い込まれていき、マレブランデスはこの星から離れて行った。

 

エスナ「マリナ!陛下達に迷惑をかけるんじゃないぞ。」

 

改造ベムスター・ザンドリアス・バキシム「行ってらっしゃい。」

 

 

彼女らはマレブランデスが見えなくなるまで手を振り続けた。

 

因みに、【帝国戦列艦ブリガンテ】と【時空揚陸舟艇デルスト】は残念ながら時間が無かったため作ることができなかったらしい。

 

 

 

ベリアルはゼラスが作った時空間で離れ離れになってしまったダークネスファイブ達を見つけるためにこの星を離れることにした。

 

無論、ベリアルの留守中をウルトラ兄弟が見逃すはずがないのは、全員分かっている。なので、彼らは対策を取った。

 

まず、アナザースペースにいるレギオノイド達を集結させ、全てこの宇宙に送り警備を強化した。因みに、レギオノイドを運送したのは大きく尚且つ新たに次元移動が可能になったマレブランデスだ。

 

そして、構成メンバーも残る者達と行く者達に分けた。

 

残る者達は、アイアロン、グラシエ、エスナ、ザンドリアス、改造ベムスター、アロア、その他カプセルの中にいる怪獣達にレギオノイド10億体。

 

行く者達は、ベリアル、グリーザ、ダークゴーネ、ザウラー、マリナ、マベル、ダズ、その他エスナ達から借りたカプセルの中にいる怪獣達にレギオノイド5億体。

 

えっ?何故マベルとダズとマリナが行くことになってるのかだって?

 

それにレギオノイドの数が異常じゃないかだって?

 

レギオノイドはアナザースペースを実質ほぼ支配していたと言えるベリアル銀河帝国の軍勢なのだからこれぐらい居て当然であろう。

 

マベルとダズは強くなるという信念を抱き、正式にベリアル軍へと加わったのだ。マリナは軍に入ってはないが、本人曰く、むさ苦しい男ばかりの所にグリーザを一人にできないということで付いて来たらしい。

 

 

 

 

マレブランデス内部

 

ベリアルから自由行動をしろと言われたグリーザ達はそれぞれ別行動を取っていた。

 

ザウラー達はマベル達のトレーニングに付き合い、グリーザはマレブランデスの内部をマリナに案内してもらっていた。

 

マレブランデスは通常時のベリアルの大きさに合わせて作ったため、マリナ達が豆粒みたいな大きさに見えていた。なので、ザウラーとかに踏み潰されそうになった事があったので、円盤に乗って内部を移動していた。

そんな中、奥の一面がガラス張りの壁に両脇に無数の砲塔が聳え立っている部屋に着いた。すると、グリーザはキラキラと輝く星々が無数に浮いている宇宙を見つめていた。

 

グリーザ「宇宙って綺麗なんだね。」

 

マリナ「そうだね。でも、グリーザちゃんの方が綺麗だよ。」

 

グリーザ「ありがとう。そんなマリナも可愛いよ。」

 

マリナ「グリーザちゃん////!?もう、グリーザちゃんったらぁ///」

 

マリナはグリーザとの距離を縮めると彼女の手を握ろうとに手を伸ばした。

 

ベリアル「何やってんだ貴様。」

 

人間体の彼が彼女達の間に割って入り、マリナを妨害した。

 

マリナ「ちょっと!いいところなんだから邪魔しないで!」

 

ベリアル「いいところだ?それを聞いたらますます邪魔したくなったなぁ。」

 

どれだけ回り込んでもベリアルの妨害を受け、グリーザに近づけない彼女は悔しがった。

 

そんなやり取りを楽しんでいる一同だったが、突然として平穏な時間は終わり告げた。

 

 

 

 

 

 

突如鳴り出したサイレンの音に一同(グリーザ以外)は警戒体制に入る。

 

【ここからおよそ293キロメートル先に8体のウルトラ戦士達を確認。直ちに戦闘体制に入れ。】

 

 

 

 

 

逃げねえと。今捕まったら殺される。兎に角今はひたすら逃げるんだ。じゃねえと、あの男に復讐できないまま終わっちまう。

 

彼女は…運良く拘束から逃れたゼロはひたすら逃げた。

 

 

ウルトラ戦士F「待ちやがれ!俺たちの為にもとっとと諦めて死にやがれ!」

 

彼女を追い掛け回すウルトラ戦士達も何やら焦った様子だった。それもそのはず奴らはゼロの処刑を命じられているため、もし失敗すれば自分達が殺されてしまうからだ。

 

彼らはゼロを撃ち墜とそうと光線を次々に放った。

 

ゼロもそれを回避し続けるが、次々と来る攻撃に対処出来ず背に攻撃が直撃してしまう。今まで蓄積されたダメージの量に耐え切れず彼女は気を失ってしまった。

 

任務を遂行したと確信したウルトラ戦士は歓喜の声を上げた。

 

ウルトラ戦士F「よっしゃ!これで俺たちは処刑を免れるぜ!」

 

だが喜んでいたのはFだけであり、他のウルトラ戦士は唖然していた。周りの様子を怪訝に思い背後へ振り向いた。

 

 

 

ダークゴーネ「やれ。」

 

数万体も並んでいるレギオノイドのレーザーの雨がウルトラ戦士達に降り注ぐ。

 

宇宙の塵と化す彼らを見てダークゴーネは高笑いを上げた。

 

攻撃を制止させ、一欠片の肉片も残らず消し炭に出来たのかを念のために確認すると、ダークゴーネは命令を下した。

 

ダークゴーネ「捕獲しなさい。」

 

 

 

 

 

 

ゼロは目を覚ました。だが、体力の激しい消耗により、一番エネルギーの負荷がかからない人間態の姿だった。

 

グレーの髪をゼロスラッガーに似たシュシュで結んだツインテールに金色の鋭い目付きに元のゼロを模したボーイッシュな格好をしている美少女であった。

 

彼女は先程グリーザ達がいた部屋の中心に置かれてるガラス張りの半球形の円蓋の中に閉じ込められていた。

ベリアル「やっと目が覚めたようだな。」

 

ガラス張りの窓の反対側から自分を呼びかける声が聞こえた。

 

振り向くと、階段の上にある玉座に腰掛けているカイザーベリアルがいた。普通ならこの状況に怯える筈だが、ゼロはベリアルに恋をしてしまっているため、マントを羽織っているベリアルの姿に見惚れてしまっていた。

 

ゼロ「ベリアル様。カッコイイ♡……じゃない!」

 

うっとりしてしまっている自分の顔を軽く叩き正気に戻ったゼロはベリアルを睨んだ。

 

ベリアル「おいおい、そんな顔をしたら綺麗な顔が台無しになるぞ。」

 

彼の言葉にハートを射抜かられたゼロは顔を真っ赤にした。

 

ゼロ「えっ?////アタイが綺麗……って何言ってんだ!てテメェにそそん事をい言われても嬉しいぞ!じゃなくて嬉しくねえよ!」

 

満更でもない表情をしている彼女は動揺して噛みまくった。恥ずかしさのあまり顔を隠し更に真っ赤になった。

 

ベリアル「話を変えるが、お前何があったんだ?どう見てもあの状況は一緒に俺を倒しに来たとは思えんが。」

彼の言葉を聞いた瞬間にゼロは暗い表情を浮かべた。

 

ゼロ「親父に…親父に裏切られたんだよ。」

 

彼女は今まであった事を全て話した。

 

ベリアル「お前は親父に売られたのか。…それで今お前は、親父の事をどう思ってるんだ?」

 

ベリアルはゼロを煽るような質問をした。

 

ゼロ「……そんなの決まってるだろ。」

 

ゼロはベリアルの煽りに乗ってしまう。彼女は拳を握り締め怒りの形相を浮かべた。

 

憎いに決まってんだろ!

 

彼女は八つ当たり気味に自身を閉じ込めているガラスの壁を殴った。殴った箇所から亀裂が走りミシミシと音を立てて壁は砕け散った。

 

あのガラスの檻は地球人のような大きさの宇宙人が壊さないように設計されており、壊された事にベリアルは驚きつつも感心した。

 

ベリアルは玉座からゼロがいるところまで飛び降りた。ゼロに顔を近づけた。

 

ベリアル「お前は、父親に復讐するためなら何でもするか?」

 

ゼロ「あのクソ親父に復讐するためなら、アタイは“悪魔にでもなってやるよ”!」

 

彼女は更に声を上げて叫んだ。すると、ベリアルは高笑いを上げた。

 

ベリアル「お前のその父親への恨みと執念気に入った。」

 

ベリアルは彼女の変身アイテムのウルトラゼロアイを取り出した。だが、元のウルトラゼロアイとは違いベリアルの様な赤黒い色に染まっていた。

 

念力でゼロにウルトラゼロアイを渡した。

ゼロ「これは…アタイの。」

 

当然彼女は自身の変身アイテムが黒く染まっている事に驚き、黒いウルトラゼロアイをじっくりと眺めた。

 

ゼロ「ベリアル様と同じ色。」

 

ベリアル「父親への憎しみが本当なら、使い熟せる筈だ。お前は強大な力を持つ闇の戦士へと生まれ変わる。」

 

ゼロ「えっ?それって、もう元の姿には戻れないっていうのか!?」

 

ベリアル「まあ、そうなるな。それでどうするんだ?このまま死ぬか。闇の戦士へと生まれ変わるのか。」

 

ゼロ「ん?ちょっと待て。今「このまま死ぬか」とか言ったよな。もしかして、もし断ったら」

 

ベリアル「殺すに決まってんだろうが。」

 

ゼロ「ええええええ!?!?結局アタイ助からねえのかよ‼︎」

 

ベリアル「何言ってんだ?闇に染まってもお前の意思は消えない。」

 

ゼロ「…信じていいんだよな。」

 

ベリアル「それはお前が判断する事だ。」

 

彼女は少し考え込み、その中でセブンの姿が頭に浮かぶ度にセブンへの憎しみは増幅し、黒いウルトラゼロアイを握り潰してしまうのではないかと思うほど強く握った。

 

ベリアル「決心はついたか?」

 

ゼロ「ああ…これが、アタイの答えだ。」

 

そう言うと、黒いウルトラゼロアイを両目に充てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、マリナ達はようやく王座に召集をかけられ、王座へと向かっていた。

 

マリナ「あのゼロって娘どうなったのかしら?」

 

ザウラー「陛下ノ事ダ。嬲リ殺シテルダロ。」

 

ダークゴーネ「他のウルトラ戦士なら、あのまま放っていたでしょうが、あのゼロと瓜二つの彼女をゼロと重ね合わせてるのでしょう。」

 

グリーザ「なんか可哀想。今頃陛下にあんな事やそんな事をされているだなんて。」

 

ダークゴーネ「非はないのでしょうが、まるで陛下が強姦してる様な言い方はやめなさい。」

 

話をしているとあっという間に着いてしまった。すると、グリーザ達はベリアルの隣でメラメラと燃える紫色の炎に視線を向けた。

 

グリーザ「陛下、それ何?」

 

ベリアル「それは本人の口から聞くんだな。」

 

彼がそう言うと、紫色の炎が消え、そこにはなんと色がベリアルと瓜二つのゼロがいた。

 

ザウラー「何!?何故ウルトラマンゼロガ此処二!?」

 

ゼロ「アタイは、ウルトラマンゼロなんかじゃねえ。そうだな、“ゼロダークネス”とでも呼んでくれ。」

 

 

 




ゼラス「次回予告‼︎の前にゼロちゃん闇落ちしちゃったね。まあ、父親にあんなことされちゃ仕方ないのかな。

では、改めて次回予告。次回は惑星アルカディアに残ったグラちゃん達に注目だ。少しだけ期待しやがれ!!!!!」

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