クロス・ブレイド~剣爛舞踏~   作:ゲキガンガー

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半ば書きあがっているので恐らくは完結自体はすると思います。
ご意見、ご感想などございましたらご自由にどうぞ。

10月22日の21時あたりから連載していきます。


プロローグ及び第一章『剣欄舞踏のはじまり』

『クロス・ブレイド~剣爛舞踏~』

 

プロローグ。

 

紅蓮の炎が滾る中、少年は見ていた。

古い家屋は火が回るのが早い。あっという間に火は回った。

まるで本能寺のようだった。勿論その場に出くわしたわけではないので史実が正しいのかは確かめようもない事ではあるが。

その中で、少年は二つ振りの刀を見ていた。そう、それが全ての元凶だった。

父はそれにより狂った。

地面に一人の女性が倒れている。できているのは血の水たまりだった。致死量に達している。

倒れているのは少年の母だった。

そう、父により斬られたのだ。力を求め、狂った父はある日を境におかしくなってしまったのだ。妖刀に魅入られたのだろう。

そして、この日を境に父は息子の前から姿を消した。

もし、次に出会う機会があるとするならば――それは――血生臭い惨劇に他ならない。

 

第一章『剣欄舞踏のはじまり』

 

かったるい。それが学園を前にして抱いた感想だった。一人の少年がいた。なんてことのない平凡な容姿の少年。特徴的な事といえばそのやる気のない表情だろう。元々不本意な転入であったのだから仕方がない。彼は由緒ある剣豪の家系の出自だった。

私立剣欄学園。全国から剣士(ブレイダー)を目指す少年少女が集う、専門の高等教育機関だ。

彼の名は八神刀哉という。刀哉はその学校に本家の意向により転入させられる事になった。

刀哉は刀袋を背負いながら寮の事務局へと向かう。授業は明日からだ。今日は転居の手続き、及び引っ越し作業が大半である。とはいえ最低限の衣類、生活用具をボストンバッグに詰めてあるだけだ。必要な家具などは備え付けられているらしい。さほど手間はかからない事だろう。

「八神刀哉君ですね」

 そう、寮母のおばさん――というよりはまだ大分若そうではある。おばさんなどと言っては怒られそうだ。綺麗なお姉さんだった。実年齢を聞くのは怖いが。

「ええ。はい……」

「私の名前は神楽坂清美って言います。ここで寮母をしてます」

 そういわれる。さして興味のない情報だった。

「はい。あなたの部屋は105号になります。これは鍵です」

 そういって、鍵を渡される。

「あの……」

「はい。なんでしょう?」

「寮ってどっちですか?」

「はい。あっちです」

 そういって、指を指される。

「あっちですか」

「そうです。あっちです。くれぐれも女子寮と間違えないでくださいね。女子寮は男子禁制ですから」

 そう笑顔で言われる。

 

「……えっと。ここだ」

 扉には『105号』と書いてあった。間違いない。寮母の神楽坂さんが指を指していた方向にはこの建物しかなかった。間違いようがなかった。

 鍵を開ける。――と。その時だった。匂いがした。

 なんだか甘ったるいような匂い。生活臭がしたのだ。怪訝に思いながらも部屋に入った。そして、ベッドの上に衣類がある事に気付く。下着のようだった。清純そうな白の下着。上下のセット。さらには風呂場から小粋な鼻歌まで聞こえてくる。

 未来を察した刀哉は退避しようとした。――だが、どうやら時既に遅かったようだ。

 ガチャリ。シャワー室のドアが開く音がした。

 少女が姿を現す。普段は凛とした目をしている事だろう――が、不測の事態に気が動転したのだろう。きょとんとした目をしていた。体のフォルムは理想的だ。勿論それは健康的な意味もあるし、官能的な意味でもある。大和撫子を彷彿させるような黒髪。それから白い肌。

 状況を認識した彼女の表情は一変する。そしてその次に起こした行動は前述の印象とは180度異なるものだった。肌身離さず手元に置いていたであろう愛刀を彼女は手に取る。

鯉口を切ろうとする。つまりは抜刀しようとした。流れるような動作は洗練されていて見惚れる程であった。勿論、見惚れている場合ではないのは承知ではある。

「ま、待て。気持ちはわかる。だが早まるな。これは不幸な事故なんだ」

「黙りなさい! 変態!」

 抜刀。迷いがない。

 腹部をそらす事で横一文字の一線をかわす。

「女子寮に忍び込み、人の部屋に忍び寄る変態になどと、交わす言葉など持ち合わせていません」

「ちょっと、待て。ここは俺の部屋じゃないのか? そしてここは女子寮なのか?」

「自覚症状がないんですか? 夢遊病のように人の部屋に忍び込む変態だと……」

「そんなわけがないだろ! 確かあの時俺は――寮母さんから」

 寮母に鍵を渡され、案内をされた。その時、不幸な事故が始まったのだ。

 恐らく原因はこうだ。寮母は『男子寮』と『女子寮』の鍵を間違えたのだ。「間違えるな」と言った本人自体が間違えていたのである。

「ま、待て。俺のせいじゃない。寮母のせい」

「寮母? ……確かにあの方は今年赴任したばかりで慣れてませんが」

「だ、だろ。つまりこれは不幸な事故なんだ」

「――そうですか。ですが、それとこれとは話が別です。あなたの記憶、抹消させていただきます」

「抹消? どうやって?」

「簡単です。記憶ごとあなたの存在を抹消すればいいだけです」

 少女はそう言って、刀を振り下ろす。

 ――それからの事はあまり覚えていない。

 

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