クロス・ブレイド~剣爛舞踏~   作:ゲキガンガー

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第四章『村正×村正』⑤ エピローグ

「刀哉!……刀哉!……刀哉!」

 意識が戻った時。姫乃の顔が映し出された。

「……つっ。俺は――」

 刀哉は意識を取り戻した。

「俺は――なぜ。生きている?」

 意識を取り戻した刀哉が抱いたのは嫌疑だった。なぜ自分は生きているのか。自分は妖刀村正に生気の大部分を注ぎ込んだ。もはや生存可能なラインを超えて力を注いだのだ。生きている事が不思議でしょうがない。

 偶然や奇跡だとは思えなかった。こんな場面で、そんな都合よく奇跡が起こるわけがない。

 しかし。理解してしまう。刀哉が人間としての情を捨てきれなかったように、相手もまた人間の情を捨てきれなかったのだ。

 自らの父は妖魔であり切れなかった。いや、最初から自らの意思で凶行を行っていなかったのかもしれない。きっとそうだ。

 最後の最後で、父は自らの意思を取り戻した。そして自らの命を差し出す事で刀哉を守ったのだろう。

 事の真相はわからない。永遠に謎のままだ。

 しかし、刀哉はそう思う事にした。

 あの瞬間。あの刹那の瞬間に思い出した父の姿。そして最後の顔――あれは恐らくは微笑んでいたのだろうと思われる。

 皮肉な話ではあるが、父からもらったこの命。大切にしなければならないと強く思った。

 魔王城の結界が解け、眩い太陽の光が差し込んできた。

 それはまるで刀哉の新たな門出を祝っているかのようだった。

 ――こうして、父と子の盛大な親子喧嘩は無事とは言えないが一応の決着をつけたのである。

 

エピローグ。

 

 一命を取り留めたとはいえ、決して刀哉は無傷とはいかなかった。長期間の入院を必要とされた。病院に搬入された刀哉は長期間の入院をする事となる。

 入院中は今までの激闘の日々と違って驚く程やる事がなく、暇だった。その間は本を読んだり、窓辺で物思いにふけ、よく考え事をしていた。

 妖刀に取り入られて、妖魔となった父を討つ事。それが息子であり、二振り目の村正を手にした自分の役目、役割だった。

 その役割が終わった時、自分はどうすればいいのか。考えていた。

 時折、姫乃や水穂が病院に見舞いに来てくれた。

 そういった時に、その疑問を投げかけてみた。

 人生の生きる意味とは何なのか――と。

 しかし、そんなものその二人も明確に理解しているわけではなかった。

 そう、その質問に明確な答えなどなかった。

 単純だった。生きる意味を探すのが人生なのだろう――と。

 そして今日は長かった入院生活の退院日でもあった。

 刀哉は病室を後にする。

 やる事は決まっている。父――それから母の墓参りだ。そして気持ちの整理をつける。

 その後は、やる事は決まっていないが。探していくしかない。

 なぜ生きるのか。生きる目的は何なのか。

 刀哉はそれを探していくのだろう。役割が終わったとしても、人生は終わらない。

 そう、彼の人生は今始まったばかりだった。

 

【完】

 




読んで頂いた方いましたらありがとうございました。お時間頂きまして誠にありがとうございます。
はじめましての方ははじめまして。ゲキガンガーというふざけた筆名の物書きです。
結構私生活の方で小説の執筆から遠ざかっていたのですが、このままではいけないと思いまして再び筆を取る事にしました。
いざ筆を取ろうとなったのですがアイディアだけは浮かんできて、書いては消して、プロット段階で棄却してを繰り返していたら全く作品を作れないでいました。
このままではいけない。とりあえずは何か形にしなければならない。やはり書き上げる事でしか身につかないスキルや経験ってありますからね。
いくつかあったアイディアのうちの一つがこの作品でした。正直に言えば陳腐でありきたりな部分の多い作品ではあると思います。
実際長編を書いてみたら長期間小説を書く習慣だったり、実際最後まで書き上げるの難しかったり、予定通り進まなかったり、と色々な経験がありました。やはり面白くないんじゃないかと思って筆を折りたくもなりましたが、やはり完結した駄作は未完の傑作に勝ると思い書き上げました。
全ての文章を読み終え、このあとがきまでたどり着いた方が一名でもいれば幸せな限りです。
これからも定期的に作品を書いて発表できたらと思うのでまた次回作も気が向いたら読んで頂ければ嬉しいです。
それではまた次の作品でお会いしましょう。
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