クロス・ブレイド~剣爛舞踏~   作:ゲキガンガー

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第一章『剣欄舞踏のはじまり』③

 ――その日は座学の授業だった。その日は歴史の授業。そしてこの学園の創設に関係する授業だった。講師は担任でもある卯月遥香教師だった。

 歴史的に見れば戦争による転換期というものがあった。かつて、戦争は剣のものだった。日本で言うところの刀だ。しかし、銃火器の登場により、戦争の主役はとって変わられる事になる。日本で言うところの関ヶ原の決戦だとかがその転換期とされている。

 しかし、その後もう一度転換期があった。

 剣(ブレイド)である。腕のある鍛冶職人が製作した刀剣は魂を宿し、不思議な力を宿した。

 それは戦場においても銃火器に劣らない脅威となった。

 そして、その剣(ブレイド)を操る剣士(ブレイダー)は戦局において大きなウエイトを占めるようになった。そう、銃火器の登場によっても剣の時代は終わらなかったのである。

 そして剣(ブレイド)の質は元より、剣士(ブレイダー)の技量もまた重要視されるようになった。そう、国家の軍事力の確保において、優れた剣士(ブレイダー)の育成は急務となった。そして国家主導の元、剣士(ブレイダー)を育成する高等教育機関が誕生する事になる。

 そう、そしてこの剣欄学園もまたそういった教育機関の内のひとつだった。

 

 殺気がする。夜、外出した時の事だった。とはいえ門限は決まっている。そんなに夜遅くまで外出できわけではない。夜道の中、殺気を感じた。

 昼間、学校ですれ違った女を思い出す。あの目――なんだか嫌な感じを受ける眼差しだった。もしかしたらその女かもしれない。

 ――そう思っていた。

 有無を言わさず一線。人気のない公園に、一線の刃が走る。刀哉が反射的に避けれたのは嫌々ながらも受けさせられていた訓練の賜物だろう。

 一瞬。日中すれ違った女生徒によるものだと思った。だが、その場を迸った電流がある人物と符合させた。

 見た目は大和撫子。中身は野蛮人。

 明智姫乃である。

「……って、またお前か」

「ちっ」

 露骨に舌打ちをする。

「……なんだよ。まだ根に持ってんのかよ」

 呆れたような眼差しで聞く刀哉。

「違うわよ。勿論、水に流したわけじゃないけど」

「……じゃあ、なんで」

「結婚」

「へ?」

「結婚しなきゃなの。あんたとあたし」

 理論が飛躍しすぎている。

「ま、待て。なぜそうなる? 全く持って意味不明なんだが」

「き、決まってるのよ。家の決まり事で。明智家の婦女子が肉親以外で肌を見せていいのは、婚約者に他ならないって」

 またベタな設定だった。

「げっ。なぜ俺がこんな凶暴女と結婚せにゃならん」

 まっぴらごめんだった。

「あ、あたしの方こそ嫌よ。だから――」

 刀を向けてきた。無駄に迫力がある。

「あんたが死ねば全てが丸く収まるじゃない」

 鋭い眼光。本気だ。彼女が本気である事を刀哉は悟る。

「ま、待て。俺にとっては全く丸く収まってないんだが」

「うるさい! あんたの事情なんてあたしには関係ない! とにかくそれが一番いい解決法なのよ!」

 刀を構えた彼女は斬りかかってきた。

「というわけで死んでちょうだい!」

「死ねと言われて死ぬやつがいるか!」

 逃げる。とにかく逃げる。

 

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