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今回から少しづつ壊れて…はっちゃけていければいいな~!
その日、もう日が落ちているにも関わらずエ・ランテルの関所で街を出る手続きをしている1人の女いた。
「本当に良いのですか?こんな時間に出て行く事は無いと思うのですが…。冒険者などの護衛も連れず、貴方のような女性1人で…。」
そう関所の衛兵が聞いてくるが、その女、クレマンティーヌからしたら今すぐ飛び出したい気持ちで一杯だった。
「大丈夫だから早くしてねー。」
(冗談じゃないっつーの!カジッちゃん、街中であんなもん呼びやがって!しかもあの赤い人の目の前で!確実に敵対ルートじゃない!…もしカジッちゃんが私の名前…。いや…出すな、あいつなら。…あの人に名前教えなくて本当に良かった。でも何がどうなるか分からないし早くここから出ないと!)
クレマンティーヌはずっと考え事をしているのだが、目の前の衛兵はずっと話し続けている。クレマンティーヌは全く聞いていないが…。
「しかし、何という優しさ。自らの身で…聖王国で人々を導きたいとは…まさに女神その物だ。いやーここにも貴方のような方がいらっしゃるとは。聖王国の方も皆」
「おい!セロ!早くしてやれ!どんどん遅くなってしまうだろうが!」
後ろに来たもう1人の衛兵にセロと呼ばれた衛兵は怒られる。
「ぐぬぬ!…分かりました、手続きは完了です。しかし、気をつけて行ってください。クレマン殿!」
そこでクレマンティーヌは西の方向に向き直り、手を振る。
(カジッちゃん、ごめんねぇ~!バイバーイ!テヘペロ!)
クレマンティーヌはベロを出し、ウィンクすると衛兵に向き直る。
「ありがとねー。」
最後に衛兵に手をひらひらと振りながらそう言い、背中を向けて歩き出す。
「ああ、女神殿!…ふっ、下町に咲く一輪の花か…。」
去っていくクレマンを愛おしそうに眺めながらセロはそう呟き、もう1人の衛兵はやれやれと首を振った。
《※セロ君は今後全く物語に影響は与えません。でもバンザーイぐらいは言うかもしれません。※》
モモン達はようやく、アンデッドの群れを突破し墓地の最奥、霊廟の前にいる不審なローブ姿の男?達の集団の前に到着した。
「カジット様、来ました。」
(はい、バカ確定。いや、これもブラフの可能性は有るか。…さて、伏兵はいるのかな?)
「やあ、今晩は。」
「…む、貴様、あの店からあの時出てきた鎧の男だな。クレマンティーヌはどうした?」
(…え?こいつ本当にバカなの?)
「誰かな?そんな名前は今初めて聞いたが。」
「しらばっくれるな!あの店の中におっただろう!奴の持つ秘宝が無くては…!」
「あの店の中には体の悪い客しか居なかったぞ。ちょっと乱暴だったが。」
「何!まさかあの女!裏切りおったのか!!」
「何やらお困りのようだが…まあ悪党共が困っていても助ける必要は無いな。ではあの少年を返して貰おうか。」
「く、まさか!クレマンティーヌが、裏切るとは…!ぬぅ…、これからどうすれば!兎に角、そこの赤い男とマジックキャスターの馬鹿を片付けるぞ!」
「馬鹿、だと…?」
その赤い男がそう呟いた瞬間、カジットとその高弟達は、全身に鳥肌が立つのを感じた。
赤い男から体に突き刺さるような、目に見えるかのような殺気が身体に突き刺さるように放たれている。
高弟達からひぅ、という息が洩れる音がし、自分の口と鼻からも荒い息が漏れている。
(な…!何なのだ!この男は…!)
モモンはナーベラルがどれだけ努力をしてきたか知っている。我慢をしてきたかも知っている。それを…かつての親友の娘にこの男は何と言った?
「そうか…、大人しくンフィーレアを返せば命ぐらいは助けてやろうかと思ったが…不要な考えだった様だな。」
「な、何を!く、スケリトル・ドラゴン!来るのだ!」
その声に反応してスケリトル・ドラゴンが空から舞い降りてくる。
スケリトル・ドラゴンは地響きを立て、モモン達の前にカジット達を守るように立ちふさがった。
「これでマジックキャスターは役に立たん!おまえ1人で何が出来る!」
「…もう一匹も呼んだらどうだ?」
「な、何!?何故分かったのだ!?」
地面の下からアンデッドの反応が有ったのでカマをかけて見たのだが、カジットはそれにあっさり引っかかる。
渋々といった感じでカジットは地下のスケリトル・ドラゴンも自分の前に呼び出した。
「そんな物が何体いようが……いや、そうだな。ナーベ…いや、ナーベラル・ガンマよ!そいつに教えてやれ!…愚民共に叡智を授けて見せろ!…う、うん、そうだな。」
それを聞くとナーベラルは頷き、ローブの片口を掴み引き剥がす。
「では…、モモンさん…いえ、アインズ様のご命令により、貴方達のお相手を致します。ナーベラル・ガンマと申します。ナザリックの戦闘メイド、プレアデスのナーベラル・ガンマに教えて貰えるのです。光栄に思いなさい?
その言葉を聞きながらカジット達は驚愕に目を見開く。先程のローブ姿のマジックキャスターが、見事なメイドに変わっていたからだ。それも戦闘を前提に考え、体の各所を装甲で覆った、それは戦闘メイドといっても過言では無い装いだった。
「な、何が…?」
「お前は、そのスケリトル・ドラゴンがどの程度魔法に耐えられる、いや耐性を持っていると思う?」
カジットが混乱していると、赤い男がそう聞いてきた。
「馬鹿め!スケリトル・ドラゴンは魔法に対する絶対耐性を…何だ?」
そこまで言った所で、ナーベラルが手で制してくる。…それはもう良い笑顔で。
「この愚か者達に何を教えれば良いか分かったな?ナーベラル。お前を馬鹿と言ったその愚かな男に教えてやれ。」
「畏まりました。アインズ様。では授業を始めましょう。本来は私の姉の方がこういった事は得意なのですが…今回に限っては私の得意分野ですので、ご安心下さい。では、まずは第五位階からで宜しいですか?」
そのメイドは、ナーベラルと呼ばれた女はカジットに問うて来た。
「だ…第五位階…だと?そんな筈が!!…お前は…その天才の領域まで…!?」
「ええ、それが何か?…では行きますよ?その目に良く焼き付けておいて下さい。〈
その魔法はスケリトル・ドラゴンに命中する寸前でかき消される。
「このように、第五位階の魔法ではこのスケリトル・ドラゴンには通用しませんが、これを第七位階に上げるとどうなるのか…ふふ、実験してみましょう。」
「第七位階…有り得ん!そんな魔法は神の……まさか…!?」
その時、パン!とメイドが手を打ち合わせる。そしてゆっくりとその手を離すと、そこには青白い雷光が迸っている。それは明らかに先程の物より、そして自分達が知っているどんな魔法より強い魔力が込もっているのを感じさせる雷光だった。同時にそれは容易にスケリトル・ドラゴンを打ち破るだろうということも理解した、させられた。
「何故だ!ワシの五年にも及ぶ努力が、一晩で…いやこいつらと出会ってから数時間で塵になるのか!何故だ!」
「坊「道を誤ったのよ!」
カジットの問に、アインズは反射的に『坊やだからさ』と口から滑り落ちそうになったが、言わせねえよ!とばかりにナーベラルが同時に声を出した事によってアインズの言葉はかき消される。ナーベラルは主の声に被った事に気づかないぐらいノリノリだった。顔が凄い良い笑顔なのだ。
本来アルベドがここにいたら主人の言葉を遮るとは~などと始まっていただろうがアインズはこの男に『坊やだからさ』とは何故か言ってはいけない気がしたので心の中でナーベラルにナイス!と親指を立てていた。
(…しかし、ナーベラルはノリノリだなぁ。弐式炎雷さんはそこまで中二病では無かったんだけど…。)
とアインズは考えていたがカジットが喋りだしたのでそちらを向く。
「み、道を誤った?」
「そう、道を誤ったのよ。…貴様のようなマジックキャスターのなり損ないは粛清される運命なのよ!分かるかしら!?」
そう言うナーベラルはまたあの、どこか遠くから帰ってきた人のような、とても怖いナーベラルになるスイッチが入ってしまっていた。
(…マジックキャスターのなりそこないって何だ!?というか怖い。…さっき馬鹿って言われたのを根に持ってるのか?それともストレスが溜まっているんだろうか?怖っ!…え、お、おい!)
アインズの口が俺も負けてられねぇ!と勝手に開く。
「前線で敵に質問か?カジットらしいよお坊ちゃん。」
「お、お坊ちゃん…」
かなり馬鹿にした言い方だったのにも関わらず何故かアインズと、ナーベラルの言葉にもカジットは盛大にうろたえる。何か心当たりがあるんだろうか?
「折角二匹もスケリトル・ドラゴンがいるのに抵抗はしないのか?」
カジットはがっくりうなだれ、膝を付き、その高弟達もみな同じ様な有り様だ。いや、1人だけカジットを睨み付けているのがいた。凄い形相だ。
カジットは考える、自分は今まで何をやっていたのかと。母親を生き返らせたいのなら信仰系マジックキャスターになるべきだった。無理でも努力をし続けるべきだった。アンデッドになり、もし母親を生き返らせてももう母親には愛して貰え無いという事に今気づいた。
「ワシは…道を誤ったのか…。マジックキャスターとしてもなりそこない…そしてそんな事にも気付かん程のお坊ちゃんだったと…。ふははは!」
「カジット様!…いぃやカジット!!何故反撃しないのだ!?ここ、エ・ランテルで派手な花火を打ち上げ、我々がズーラーノーンの旗印となるのだろうがぁ!!!」
「馬鹿者め、無理よ…あれは神の領域の魔法。我等の盟主でも…」
「無理でも戦え!!最期までなぁ!!必死に働いた我々に労いの言葉一つ無く、地獄に落ちるつもりかぁっ!!」
「…無理だ…。ワシが悪かった。全てに気付いてしまった…。」
「ぐううう!許さんぞおおお!!」
アインズは仲間割れを目の前でやられるのは気分が悪いのでナーベラルに早くしてもらうようにお願いする。
「全く、死の際まで仲間割れとは…、本当に醜いな。お前等も付いた人間が悪かったな。…ナーベラル、やれ!」
(いや、死ぬ前だし仕方ないか。お前等には恨みは無いが、まあ、あきらめろ。…クレマンなんとかという奴も来るかもしれないと警戒していたが…本当に裏切られたようだな。)
「畏まりました。では、今回の授業料は貴方達の命としましょう。最期に不出来な生徒の貴方達に贈る言葉が有るわ。…一握りの天才で有るアインズ様の踏み台本当にご苦労様!〈
龍が交差するような形の雷光が二匹のスケリトル・ドラゴンへと殺到すると、二匹とも粉々に砕け散る。そしてそれだけでは止まらずに後ろにいたカジット達の集団にまで食らいついた。
「おか「お・のおおおおおおおおおおおれええええええええええええ!!!!!」
焼かれながら何やらカジットが言ったようだが、それをかき消すような絶叫が上がる。先程カジットと仲間割れしていた男のようだ。
アインズは毎度の事ながらビクゥっとなるが悲鳴をあげるのは必死に堪えた。
無いはずの心臓がドキドキしていたが。
「最期にあれほどの大声を上げるとは…敵ながら見事だ、今のは驚いたぞ。ナーベラルは平気だったか?」
そう言い、ナーベラルを見ると、とてもうっとりした顔だった。
「肉が焼けるいい匂い。エントマのお土産にどうかしら…うふふ。…はい?何でしょう?アインズ様。」
「いや、何でも無いで…何でも無いとも。…ではンフィーレアを救出しに行くか!」
(ナーベラルはスイッチが入ると怖い!怖すぎる!)
アインズは、ナーベラルと、木の上にほったらかしにしていたハムスケにカジット達の追い剥ぎ、ではなくドロップアイテムが無いか調べさせ霊廟の中に入って行く。
「お、いたいた。ンフィーレア、大丈…え?」
アインズはそこにいたンフィーレアを見て困惑する。なにやら服を着替えさせられ裸に近い、薄衣を着せられていたからだ。
「何だこれは…。これは流石に恥ずかし過ぎるだろう…。」
そこで霊廟の入り口からアインズ様、と呼ぶ声が聞こえて来た。
「ナーベ、そろそろその呼び方を止めろ!それと…後生だから此方には来るな。お前の為と…ンフィーレアの為に…。」
ナーベラルに裸に近い男を見せたくないというのも有るが、ンフィーレアの為でも有る。
流石に絶世の美女で有るナーベラルに裸を見られたと知ったンフィーレアが、変な性癖…ではなくトラウマを負われても困る。
今後彼にはカルネ村に移ってもらい、ポーションの研究をしてもらうつもりなのに、カルネ村の住人から
『ゴウン様は村に露出狂の変態を送り込んで来た!』
などと言われる訳にはいかないのだ。
とりあえずアインズは毛布のような布を取り出しンフィーレアに巻きつけるとバッドステータスを負ってないか確認する。
「何もされていないようだ。奴らは何を…?何もされていないのでは無く…これから何かするつもりだった…?」
アインズはカジット達の死体が転がっている方をチラッと見て、また薄衣を着せられたンフィーレアを見る。
「このンフィーレアの格好…。ま、まさか奴らは!?いや、間違いない!!」
状況証拠が出揃い、点と点が繋がる。
アインズは確信した。
「奴らはド変態か!!」
アインズはかつての仲間達の言葉を思い出していた。
「昔、茶釜さんとペロさんに聞いた事が有る。男でもマーレみたいな子が好きな奴がいると。」
そこまで口にした所でアインズは恐ろしい光景を一瞬幻視する。描写出来ないような恐ろしい光景を…。
「あんなおっさん達に同意の上ならともかく…ん?何か違うような…?…攫われて無理矢理だと?…うわぁ!気持ち悪い!キモイじゃなくて気持ち悪い!おえええっ!…良かったなぁ、ンフィーレア!まだ何もされていないぞ!…しかし…それに五年間も費やすとは…かなり計画的だ…。これは重傷だな…。」
アインズはこの世界に来て一番ドン引きしていた。
「この世界にも…いや、何処にでも勿論いるのは分かっていたが、マーレやアウラにも良く言っておかねばな。…いや、ナザリックには大抵の変態の需要を満たすポテンシャルが有る…。全員に通達を出すべきだ!変態に気を付けろと!」
かつての親友が、頭の中でピンクの粘体にシメられている姿を思い出しながらそう決意し、アインズはンフィーレアを担ぎ上げナーベラル達の所へ戻る。
歩きながらアインズは今回の仕事を振り返ってみる。初めての大きなクエストの成功を噛み締めて。
スコアは
雑魚多数はモモン。
そして街に出現した凶悪なスケリトル・ドラゴンはナーベラル。
それを操っていた敵の首魁もナーベラル。
「あれ?俺、雑魚しか倒してなくない?
モモンのスコアは『グゥレイト!数だけは多いぜ!』状態だった。話しだけを聞けば、まるでナーベラルをボスまで護衛する水先案内人だ。
「このままでは不味いぞ!」
このままでは英雄モモンとその連れナーベではなく、英雄ナーベとその腰巾着モモンになってしまう。
アインズはナーベラルと合流すると少し待てと命令し考える。
考えていると先程の変態達の1人の死体が目に入った。最期に絶叫を上げた男だ。
「あれほどの大声を出したのは、余程ンフィーレアを…。…!」
そこでアインズは良からぬ事を思い付いた、思い付いてしまった。
アインズはナーベラルを見ると、一言呟く。
「…やっちゃう…か?」
ナーベラルは可愛く小首を傾げていた。
「ええい!ままよ!」
アインズ次の瞬間、その変態の死体に向け能力を解放した。
中位アンデッド作成・
アインズの能力で変態の一人に黒いドロドロがまとわり付き、死体が立ち上がる。そうして出現したデス・ナイトは咆哮をあげる。
「オオオオオォオオォォオオオオオ!!!」
「モモンさん、一体何を?」
「我々の初めてのデカいクエストのボスがスケリトル・ドラゴンでは余りにも寂しいでは無いか。少しだけスパイスを加えるだけだ。これほどのアンデッドの群れだ。多少強いアンデッドが一匹ぐらいいても問題は無いだろう。」
「成る程、流石はモモンさん。」
「す、凄いでござるな!これも殿の能力なのでござるか?」
「その通りだ。ではデス・ナイト、何故ここに召還されたかは分かっているな?」
「オオオオオォオォオオ!(ま、まさか!?至高の御方で有り、私の偉大なる創造主である、アインズ様と戦えと仰るのでございますか!?)」
「その通りだ。」
デス・ナイトはそれを聞き、下を向いて少し震えている。
(もしかして…嫌なのか?)
アインズはこういう目的でデス・ナイトを召還したのはユグドラシル時代を含めても初めてだったので嫌がられるかと思ったのだ。
アインズが不安げに見ているとデス・ナイトはバッと両手を万歳のように、タワーシールドとフランベルジュを天に掲げ、咆哮を天に向かってあげ始めた。
「オオオォオオオォオォォオオオオオオオオオオオー!!!!(至高ぉの御方に倒される事でお役に立てるとはぁ…!フハハハハハハハ!!ぅ我が世の春が来たああああああああ!!!!!)」
とてもテンションアゲアゲだった。全くいらない心配だったようだ。
(テンションたけぇ。ちょっと怖い…。)
「…ナーベ、ハムスケ。こいつは私が倒す。手出しは不要だ。良いな!?お前等はここに冒険者がやって来たときに邪魔をしないように近づけさせるな!」
一人と一匹の返事を聞きデス・ナイトと2人?で霊廟の前の広場に向かい合って立つ。
「オオオォオオォオオオオオオオ!!!(純粋に戦いを楽しみましょうぞお!!!)」
「良し、手加減は不要だ。これからギャラリーも増えるだろう。お前の力、存分に振るうがいい!」
「オオオオオオォオォオオオオオオオオ!!!(フハハハハハハハ!!お任せ下され!!アインズ様!!!)」
「そして…見せて貰おうか。私の作り出した
アインズはこうして、この世界で初めて格上の戦士職と、戦士としての戦いに臨む事になった。
カジットに対して「坊やだからさ」、は超有名な某SS様とモロに被っているのでナーベラルに全力で阻止させました。