赤い骸骨 シャア専用モモンガ   作:なかじめ

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何だか勢いで書いたのに大勢の方に読んで頂いて有り難うございました。


AOG-02S 

アインズはアルベドを供に玉座の間に向かって歩く。玉座の間はこの世界に転移する瞬間までいたところだし、アルベドの自室を聞いた時にも行ったばかりだ。

なんだか大変な時ばかり行っている気がするが今回はそれらの時とは別種の気の重さだ。

転移してきたときは此方に選択権も無く、一方的にこの世界に連れて来られて気付いたらNPCが動き出していた。

 

アルベドの自室を聞いた時は、自室が設定されていないというミスの為、申し訳無さから大急ぎで自らあの場所に向かった。

 

今回は違う、今回は確かに自分で時間を決め、皆に報告が有ると呼び出したのだが……なんて言ったって自分が真っ赤な骸骨(角付き)になってしまっているのだ。しかも自分の不注意で謎のマジックアイテムを自ら嵌めるという痛恨のミスだ。アルベドが前を歩いていなかったら適当な理由を付け、逃げ出していたかもしれない。

 

(…ああ、どうしよう?やっと皆の忠誠を信じるようになってこれからと言うときになんで自ら忠誠心を下げるような事を…。)

 

解決するのは簡単だ。このリストバンドを破壊すればいい。そうすれば皆解決だ。しかしコレは仲間からの贈り物なのだ。容易く破壊する気にはならない。それとあれから時間が経つにつれ、もう一つ破壊したくない理由まで出てきた。それはこのリストバンドの素材に恐らく何らかの希少金属が使われている可能性だ。

 

(このデータ容量的に絶対そうだよなぁ。なんせ、アンデッドの俺に精神系のバッドステータスを与えて尚且つ素早さをアップする効果を付与するなんてかなりのデータ容量だもんな。…どこの馬鹿やろうだ?こんな下らない事に希少金属を使いやがったのは!?…そんな人、一人しかいないよな…、あのゴーレムクラフターめ!)

 

アインズが心の中とはいえ名指ししなかったのはあくまで証拠が無かったからである。そんな事を考えていると

 

「アインズ様、先程から俯かれてどうしたのですか?体調でも優れないのでしょうか?」

 

と、アルベドが心配そうに聞いてくる。

(本当にアルベドには心配ばかりさせているな…。)

本当ならこのアインズに付いて歩くのもセバスの仕事だったのだが、また1から説明せねばならないので私が共に参ります。と申し出てくれたのだ。

 

「…いや大丈夫だ。これからのナザリックの展望を色々考えていたのだ。それよりアルベドよ、色々気を使わせて済まないな。お前には感謝してもしたり無い程だ。」

 

「礼など不要でございます!私達はアインズ様の為に存在しているのですから!」

 

「そうか、それでも礼を言わせてくれ。有り難う。」

 

「はい、アインズ様!…くふふっ。」

 

そう言うとアルベドは再び前を向き歩き出す。その一瞬、唇がつり上がり凄い顔をしていたのは見ないフリをした。それとヤッパリ赤い顔も…くふー、とか小さい声で言ってるのも無視した。

 

(…悩んでいても仕方無いな!アルベドに心配ばかりかけている訳にはいかない!)

 

そうして歩いていき、玉座の間に着く。その扉の前にユリ・アルファが待っていた。ユリはアインズの顔を一度見て頭を下げると、凄い勢いで二度見しようとして頭がズレていた。

 

「ユリよ、何度も説明するのは面倒だ。中に入ってから説明するので今は何も言うな。…それと頭を直しておけ。」

 

「か、畏まりました!申し訳有りません!」

 

そんな問答を経てアインズはアルベドを伴い、玉座の間に入って行く。その瞬間全員の息を呑む音が聞こえた。

それはそうだろう。自分達の主人が少し見ない内に、頭から角を生やし全身が赤くなっているのだ。気絶しても可笑しくない。

 

(…ああ、皆の視線が痛い!というか頭を下げているのにどうやって見てるの!…でもやるしかない!)

 

そのままアインズは玉座に座り、アルベドは階段下の守護者達の前で跪く。

そうして、一拍置き気合いを入れるとアインズは口を開く。

 

「まずは皆、私が勝手に動いた事を詫びよう。…それとだ…。」

 

そこまで言い、階段下の守護者達をぐるっと見回す。彼らには変化は見えない。流石だ。アインズは自分だったら悲鳴を上げているだろうな。と、考えながら再び口を開く。

 

「皆既に分かっているとは思うが、私のこの身体の事だ。…では、マーレ、どう思う?」

 

無茶振りなのは分かっているが、とりあえず一番反応がソフトそうなマーレにひと当たりしてから話そうという、若干セコい方法を取るアインズ。だがマーレはプルプル震えている。

 

(…あれ?どうしたんだマーレ…、もしかして…怖がられている?)

 

「あ、あの、正直に言って、い、良いんですか?」

 

「も、勿論構わないぞ。…ゴクリ…」

 

「…す、凄いカッコいいで、です!!」

 

「…ぇ?」

 

そう言われ、他の守護者達を見回すと皆、首を縦にブンブン振っている者、目が合うと静かに頷く者、…ひたすら下を向いている者、という概ね肯定的な反応だった。

 

「あ、アウラもそう思うか?お前達から見て、怖くないか?」

 

「こ、恐いなんてとんでもないです!前の白いお顔も素敵でしたけど今の赤い顔もとても素敵だと思います!」

 

と元気良く答えてくれた。そのとき急にアレが来てしまった。

 

「アウラは賢いな。…ぇ?」

(おい!親友の可愛い子供にむかってそんな犬に言うように誉めるな!)

 

しかし当のアウラは尻尾が有ればブンブン振っていそうな勢いで

「有り難うございます!」

 

とまた元気いっぱいに答えてくれたので良しとしよう。

 

(…さて次はアレだな。)

 

アインズは唯一、未だに下を向けている守護者、シャルティアに目を向ける。アルベドも気づいたのだろう

 

「シャルティア!モモンガ様が来ているのに何時まで下を向いているの!」

 

と少しきつめに注意する。

 

(…シャルティアに嫌われたら普通にヘコむな。なんせ一番仲がよかったペロさんの娘だぞ…立ち直れるかな…)

 

が、いらない心配だったようだ。何故なら顔を上げたシャルティアは顔が真っ赤で、目がとろんとしており、完全に欲情していたのが童貞のアインズにも分かる程だったから。

 

「シ、シャルティア…?どうしたんだ?」

 

「…ダメでありんす…モモンガ様!!その赤い角はダメでありんす!!」

 

「つ、角?」

 

「…くぅ!っモモンガ様っ!!!お願いしたい事が有るでありんす!!」

 

「シャルティア!何を!?…モモンガ様?」

そこまで言いかけたアルベドをアインズは手で制す。

「アルベド、良い。…恐らく、多分、…ほぼ禄でもない事だろうが一応聞いてみねばな…。」

 

アインズは聞くのが少し怖かったが、念のために、聞いてみるだけ聞いてみることにした。

 

「シャルティア、言ってみなさい。」

 

「角の先っちょだけで良「ペロロンチーーノォっ!!」

 

アインズは嘗ての仲間の名前を絶叫する。この小説はR-18タグをつけていないのだ、阻止せねば。

 

「シャルティア…いい加減にしなよ?」

 

アウラが珍しく本気で怒っている。おお、流石はペロロンキラー茶釜さんの娘だ。シャルティアも漸く我に返ったようだ。

 

「…ぐ、…申し訳有りんせん!アインズ様!」

 

「良いのだ。そもそも…そうだな、先ずはこの私の身体の事から説明せねばな。」

 

(ありのままを言うしか無いよな…。良し!)

アインズは一瞬悩んだが、腹をくくり覚悟を決めた。

 

「これは私の友、至高の41人からの贈り物の効果によるものなのだ。」

 

おお!至高の御方々の!凄い!と皆から声が上がる。

 

「そして、それを…ぐ、私がうっかり付けてしまったのだ…。」

(言っちゃったぞ!さあ!どうなる!)

 

シーンと静まり返った中で、少しざわめきが起こる。

その時だった。何時もと違い、少し悲しそうな声でデミウルゴスが声を上げた。

 

「…なる程、そういう事ですか…。」

 

「「え!?」」

 

「…ぇ…?」

 

「…モモンガ様の御慈悲に感謝致します。そして、その御慈悲に甘えぬよう、我々は今までに増して、全力で尽くさせて頂きます!」

 

「どういう事なの、デミウルゴス?」

「デミウルゴス、教えて欲しいでありんす!」

「ぼ、僕も、お、お願いします!!」

「私ニモ頼ム!」

(俺にも!俺にも教えて!どういう事なの?慈悲って何なの!?うっかりって言ったのに!)

しかし、デミウルゴスは話さない。そしてデミウルゴスはアルベドと目配せするとアルベドが口を開いた。アインズはアルベドが教えてくれるんだ!と期待したが、違ったようだ。

 

「お待ちなさい!!それはモモンガ様の前でお話しして良い事では無いわ!!…ですが、モモンガ様?」

 

「な、何だ?アルベド?」

 

「彼らにもモモンガ様の真意を伝えたほうが宜しいかと愚考します。この集まりが終わり次第、申し訳有りませんがモモンガ様が退出した後、彼等に少しだけ時間を与えて頂きたいのですが。」

 

「い、今でも良いんだぞ?」

(というか今にしてくれなきゃ俺が分からないんだよ!)

 

「いえ、恐らく今伝えますと…皆が泣き出してしまい、この集まりの時間が押してしまいます。モモンガ様の大切なお時間を無駄にしたく有りません。どうかお願いします。」

 

(泣く?俺のアホさ加減にか?…そんな感じじゃないな…分からん!これはダメだな…。)

 

「…分かった。許可しよう。」

 

「有り難うございます!モモンガ様!…皆、良いかしら?モモンガ様が退出された後伝えるのでそのまま待機しているように!」

 

全員が肯定する。アインズだけのけ者だった。

 

「ぐ、…さて、次は私の名前の事だが…」〈上級道具破壊〉

 

魔法を唱え、自らの旗を破壊するアインズ。

ザワリとその場に集まった守護者やそのシモベ達に向かいアインズは宣言する。

「私はアインズ・ウール・ゴウンと名を変えた!今後はアインズと呼ぶように!」

 

「ご尊名伺いました!アインズ・ウール・ゴウン様万歳!」

 

アインズ・ウール・ゴウン様万歳!アインズ・ウール・ゴウン様万歳!

 

その皆の喝采を受けていると突然またアレがやってきた。

 

「恐らく何故、アインズ・ウール・ゴウンなのだと思う者もいるかもしれない、だから敢えて説明しておこう。」

(え?何を言い出す気なの!?俺は!?)

 

その場にいるシモベの一人一人まで真剣に聞こうとジッとアインズを見つめるなか自分の口が勝手に開く。

 

「今の私は、自らを器と規定している。リアルに旅立った者達の思い、ナザリックの理想を継ぐ者達の宿願を受け止める、器だ。諸君らがそう望むなら、私はアインズ・ウール・ゴウンになる。この赤い身体はそのためのものだ。そして、このナザリックの赤い彗星、アインズ・ウール・ゴウンの名を不変の伝説とせよ!この世界にいる、全ての生きとし生きるものの伝説に!」

 

アインズはそこまで言うと華麗なターンで皆に背を向ける。深い意味は無い。ただ恥ずかしかっただけだ。

 

(器ってなに?何なの?赤い彗星って何!?そんな2つ名名乗った事無いよ!!しかもさっきうっかりって言ったのにまるでそのために赤くなったみたいな言い方したよ!?)

 

などと考えていると後ろから嗚咽が聞こえて来た。鼻をすするような音もする。アインズはギギギと音がするような仕草で恐る恐る後ろを見る。

 

皆が泣いていた。デミウルゴスもセバスも、コキュートスは分からないが。

 

(あっれ~?どうしたのかな?)

 

アルベドが守護者全員に合図を送ったのがアインズの視界の端に映る、すると

 

「「アインズ様!有り難うございます!」」

 

と全員が声を合わせて言ってきた。

 

「あ、ああ…?」

 

「我々の創造主、至高の御方々の思い、そして我々の思い。全てを受け止め形にするために、あの尊きお名前、モモンガ様というお名前を捨てられるとは…感服致しました!まさにアインズ・ウール・ゴウンそのもの!アインズ様万歳!」

 

とデミウルゴスが涙を流しながら言っている。

 

「その通りだ!私こそがアインズ・ウール・ゴウンその人である!」

 

とかっこつけて言っているとシャルティアが

「アインズ様?赤い彗星というのは何でありんすか?」

 

ギクゥッとなるアインズ。

だがアインズが口を開く前にデミウルゴスが助けてくれた。

 

「この世界での通り名さ、シャルティア。正に今のアインズ様の赤い玉体にぴったりな称号!我々はこれからナザリックの赤い彗星とアインズ・ウール・ゴウンの両方を伝説とすべく邁進していきます!」

 

「う、うむ!では皆の者、ご苦労だった。」

(そうだったなぁ、ウルベルトさんも中二病だったよなぁ…。二つ名とか好きだったもんなぁ!ぐぅ!恥ずかしい二つ名まで伝説に!)

 

それでこの集まりは解散となりアインズは部屋に戻る。そしてベッドに寝転がるとジタバタしだした。

 

(…何だか、前よりハードル上がってないか?いや、間違い無く上がってるだろ!このアイテムの効果も意外と良いタイミングで突っ込んで来やがって!ぐぅ~!)

 

しかし、そんなアインズのハードルはアインズの退出した後の玉座の間でさらに上がっているのだが、そんな事はアインズの知る由も無かった。

 

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