赤い骸骨 シャア専用モモンガ   作:なかじめ

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AOG-03S 

アインズが退出したあとの玉座の間ではアルベドとデミウルゴスを囲み守護者やそのシモベ達が集まっていた。

 

「それで、デミウルゴス?先程のアインズ様のアイテムを使用した本当の訳を聞かせてくれるでありんすか?」

 

「うんうん。アインズ様はうっかりって言ってたのに何か理由が有るの?」

 

「ソウダナ。アインズ様ノオッシャル事ヲ疑ウノハ不敬ヤモシレンゾ?」

 

「ぼ、僕もそ、そう思います!」

 

セバスは何も言わず、そんな階層守護者を黙って見ている。

守護者達は段々とアインズ様の言葉を疑うのは不敬じゃないか?という方向に話がシフトしている。

 

そんな中、デミウルゴスが口を開いた。

 

「…アインズ様に限ってそんな『うっかり』なんて有ると思うかい?効果が不明のアイテムを、アインズ様が鑑定の魔法も使わずに『うっかり』使ってしまうようなお方だとでも?私はそんな考えの方が不敬だと思うがね?何しろアインズ様は私やアルベドを遥かに凌ぐ知謀の持ち主、そんな事は無いと断言出来るんじゃないかね?」

 

そう言うと、守護者達は漸く自分たちの方が不敬な事を言っていたと悟り、全員がデミウルゴスの話を聞く姿勢を取る。

 

「…では何であのアイテムを使ったのでありんすか?アインズ様は今まででもとても素敵なお方でありんしたのに。」

 

「ふーむ、まずはそうだね。この話からしようか。アルベド?良いですか?」

 

「ええ。その話も貴方にさせようと思っていたから。お願いするわ。」

 

そうしてデミウルゴスは話し出す。アインズが世界征服をしたがっていると。それこそがナザリックの今後の目標だと。その場にいるシモベ達の一人に至るまで眼光が鋭くなり、決意の光が浮かんでいる。

 

「つまりナザリックは、アインズ様は今後覇道をいかれる。覇道には争いが付き物だろう?…ではアインズ様の今のお体、あの赤いお体で戦場に立った場合、どうなると思うかね?」

 

「と、とても、その、目立つと思います!」

 

「その通りでありんすね。ただでさえあのオーラでありんす。それに加えてあの赤いお体では…」

 

「遠方カラデモ王ダト、指揮官ダト分カッテシマウナ。」

 

「え?でもそれじゃあ…」

 

「それこそがアインズ様の慈悲よ。自ら率先して目立ち狙われる。その真意が分かるでしょ?」

 

そのアルベドの問に、今まで黙っていたセバスが口を開いた。その目には涙が浮かび、その表情には自身の弱さに対する怒りが浮かんでいる。

 

「…我々を守る為でしょうか?アインズ様は我々を強敵から守る為に…」

 

「そうだね、セバス。アインズ様は戦場で未だ見ぬ強敵と出会った際、自分を狙え。そうアピールする為に、あのアイテムを使用したんだと思うよ。」

 

見れば、守護者全員の目には涙が浮かび、自分の無力に対する怒りがその表情に現れている。コキュートスはカチカチカチと威嚇音を立てている。

 

「ぐす、アインズ様ぁ。」

 

「…私達は信用して頂けてないの?」

 

「それは違うわ、アウラ。アインズ様は我々を信用しているからこそ、あの赤いお体になられたのよ。だって、そうでしょう?自分が狙われるという事は共に戦場に立つと言うことなんだから。」

 

「その通りです。…しかし!我々はそのアインズ様の御慈悲に甘えてはいけません!アインズ様が狙われるような事が有っても守り通すのです!そして、我々は日々精進し、なお一層の働きをせねばならないのです!」

 

おお!とその場にいた全員がやる気に満ちた歓声を上げる。玉座の間のボルテージが上がっていく。

 

「そしてそんなアインズ様のお優しい嘘を、御本人の前で暴く事は出来ません。だからこそ御退出して頂いた今、あなた方に伝えているのです!これは御本人の前では言ってはなりません!」

 

全員が肯定する。これでアインズにはこの話を知る手段が無くなってしまったが彼等は決して悪くない。

 

「それに先程のアインズ様のお言葉でもう一つ分かった事が有ったわ。」

 

「何ダ?アルベド?」

 

「アインズ・ウール・ゴウンとなるためにあの赤いお体になられたと言っていたわ。…例えばシャルティア?貴方は下等な人間が二人いて、区別がつくかしら?」

 

「え?うーん、申し訳無いでありんす…余り自信が無いでありんすね…」

 

「大丈夫よ。私も無いから。」

 

え?と今度は困惑の声を上げる守護者とシモベ達。

 

「逆に言うと…本当に腹の立つ話なんだけど、下等な人間や他の下等生物達にはアインズ様と、他のオーバーロード、それに下手をしたらエルダーリッチとも区別が付かないんじゃ無いか?という事よ。」

 

そのアルベドの言葉にその場にいた全員がドス黒い怒りの感情を露わにする。

 

「…しかし、それも御方自ら解決されました!あの赤い玉体で有れば何者であろうと、どれだけ距離が離れようと、他のアンデッドとは違う、ナザリックの赤い彗星!アインズ・ウール・ゴウン様だと分かるのです!…流石はアインズ様。本当に素晴らしいお方だ!」

 

おおおお!と更に玉座の間のボルテージが上がっていく。

 

「あれならスレイン法国の人間にもスルシャーナとかいう紛い物と間違われずに済むわ。…そして、この話を聞いたからには私達はやらねばならないわ!!」

 

そこで一旦区切り、再びアルベドが、今度は守護者統括として口を開く。

 

 

「各員!ナザリック地下大墳墓の最終目標はこの宝石箱__世界をアインズ様にお渡しする事だと知れ!」

 

 

 

そんなボルテージ最高潮、アインズ忠誠メーターは成層圏に届こうとしている中、アインズはナーベラルを共に鏡の前で悩んでいた。自分の知らない所で余計にあのアイテムを破壊出来ない理由が増えている等知る由も無く、冒険者になったときに骸骨の体を隠す鎧の試着をしていたのだが…

 

(この姿で鎧を着ると頭が…こんもりし過ぎてダサすぎなんだよなぁ…。かと言って、鎧から角を出すと黒いヘルムから出た赤い角がダサすぎる…。)

 

そう、フルプートの鎧を着ると角がとても邪魔なのだ。角を隠すように鎧を着るとヘルムの頭頂部がこんもりしていまい、逆に角を出すと漆黒の鎧からチョロッと真っ赤な角が生えていて間抜けなのだ。

 

「ふーむ、この鎧を着て冒険者になろうと思っていたんだがな…。どうするか?」

 

「…アインズ様?先程から何を悩まれておられるのですか?」

 

「これだ。」

 

そう言い、漆黒のヘルムから飛び出た角を指差すアインズ。

 

「なれば、色を替えられたらよろしいのではないでしょうか?」

 

「ん?」

 

アインズはじっとナーベラルの顔を見つめる。どうやら不敬な色は無い。

 

「ナーベラル。確かに今の私の体は赤くなったがそんなに簡単に色は変えられないのだぞ?それともペンキでも塗りたくれと言うのか?確かに私の体は骨だから肌荒れなどは無いと思うがな。」

 

「い、いえ、鎧の色を替えられたらよろしいのでは、という意味です。」

 

「……!」

 

それは天啓だった。アインズは背後に雷光が轟いた気分だった。

アインズはそのままじっとナーベラルの顔を見つめる。別に深い意味は無い。ただ、やってしまったなぁ。という感情からだ。

 

(…やってしまったなぁ。そんな簡単な事も思い浮かばず、しかも部下に説教を垂れるとは…、ヤバい、何か言わないと!…そうだ!)

 

「て、テストは合格だ!ナーベラル・ガンマよ!」

 

「テストでごさいますか?」

 

「そ、その通りだ!的確に状況判断し、私にも意見をする!これから冒険者の相方を決めようと思っていたのだがやはりお前が適任だ!」

 

そう言うと、ナーベラルの普段はポーカーフェイスな顔が動いた。口角が上がり、目尻が垂れる。ナーベラルの普段の顔を良く見ていないと分からない些細な変化だったが。

 

(苦し紛れだったが…結構良いんじゃないか?俺が戦士職でナーベラルが魔法職だし。)

 

「これはまだ正式な辞令ではない。…説き伏せねばならないのが一人いるのでな。だが私の中ではお前に決めたと言うことだ。なのでまだ誰にも言わぬように。良いな?」

 

ナーベラルの肯定を受け、アインズは魔法を発動させる。

 

〈上位道具創造〉

 

「おお…!あの漆黒の鎧も良かったが、この赤い鎧も格好良いじゃないか!角も良い塩梅だ。」

 

鏡には今まで漆黒の部分を全て赤に置き換えた鎧が映っていた。逆に赤色だったマントは漆黒のマントに置き換えた。そしてその赤い鎧の頭からは同じ色の角が生えている。

 

「はい。とても宜しいかと思います。」

 

「赤い彗星か…ふふふ。悪くないな。」

 

アインズは満足げに鎧を消し、自室に戻る。はぁ、明日冒険者になるとアルベドに言うのが嫌だなー。という呟きを残し。

 

 

アインズが自室に戻り見えなくると、ナーベラル・ガンマは無言でガッツポーズをしていた。普段の彼女からは考えられないとても良い笑顔で。

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