仮面ライダーストロンガー/IS   作:赤バンブル

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奇械人ガンガル
奇械人オオカミン
サソリ奇械人
登場。


プロローグ3「再会」

立花レーシングクラブ

 

「千冬ちゃんの弟君が生きている?猛、お前あの娘と知り合いなのか?」

 

「いえ、おそらく彼女独自の情報網で過去の俺や一文字のことを調べたんだと思います。でなければこうもあっさり彼らの存在までわかるはずがない。」

 

突然現れた束に対して本郷は警戒する。そんな束に対して千冬は信じられないとばかりに睨みつける。

 

「一夏が生きているとはどういう事なんだ?束。」

 

「ちーちゃん、束さんはいっくんが行方不明になった後すぐに自分の膨大な情報網で調べまわったんだよ。そして、やっとのことでいっくんたちの居場所を突き止めてお手製のゴーレム軍団を送ろうとしたときに本ちゃんたちが助けちゃったわけ。」

 

「でも、本郷さんがどうやって簪ちゃんたちを?」

 

「それはな・・・・・」

 

楯無の質問に滝は答えようとするが束が先に答える。

 

「それはね・・・・・本ちゃんは『仮面ライダー』だからだよ。」

 

「カメンライダー?」

 

「もしかして資料に載っていた仮面の戦士の名前・・・・・」

 

「流石更識家の当主だけのことはあるね。」

 

「それはそうとなぜ君はここに現れたんだ?確かに俺は二人に真実を隠そうとした。だがそれには理由がある。」

 

本郷は真剣な顔で束に質問する。するとさっきまで飄々とした態度だった束が急に真面目な顔で答えた。

 

「確かに本ちゃんの言う通り、いっくんたちのことは隠す必要があったと思うよ。でもね、ちーちゃんにとっていっくんはたった一人の家族なんだよ。もう一人の方もそこの更識ちゃんにとってもたった一人の妹。だから、本格的になる前に会わせるべきなんだと束さんは考えているんだ。」

 

「・・・・・・」

 

「確かにいっくんの体はもう人間じゃない。でも、会えるうちに会わなくちゃ。」

 

「人間じゃない?それはどういう事なんですか本郷さん。」

 

千冬と楯無は本郷に詰め寄る。本郷は厳しそうな表情をしていたがすぐに態度を改める。

 

「仕方ありません。お二人にはまだ黙っているべきだと考えていましたが。」

 

本郷はこの場にいる全員に話し出す。

 

「千冬さんと楯無くんは落ち着いて聞いてください。確かに俺は数カ月前、知人と共に一夏君と簪くんをとある組織の基地から救出してきました。ですが・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本郷宅 リビング

 

「・・・・・・本郷のやつ遅いな。」

 

一文字はつぶやきながら一夏たちと一緒に夕食をとっていた。

 

「本郷さんの話だと藤兵衛さんという方の家、そこまで遠くないんですよね?」

 

「ああ、それに今頼んでいる一夏のマシンの制作状況を確認しに行くだけだからそこまで遅くなるとは思えないんだがな・・・・・」

 

一文字は首をかしげながら言う。すると食事を終えた一夏がさっさと食器を片付け、部屋を後にする。

 

「どこ行くの?一夏。」

 

「地下で特訓。俺はまだまだ未熟だからな。」

 

そう言うと一夏はさっさと部屋を出て行ってしまった。

 

「一夏のやつ・・・・かなり力を入れているな。」

 

「え?どうしてですか?」

 

「一夏は確かに確実に強くなってきている。だが、組織は当然それよりも強力な改造人間を送り込んでくる。だから、自分の体のことを全て把握してそれを常に引き出せるようにしておくことが大事なんだ。」

 

一文字はさりげなく言うが簪には何となくわかった。

 

彼にも自分と同じく優秀な姉がいる。いくら追いかけようとも越えられない壁が。それを経験したからこそ、今の自分に満足してはいけないと感じていると理解できるのだ。

 

「私も動かせるようになったら・・・・・・・リハビリ付き合ってくれるかな・・・・・」

 

「おっ?もしかして簪ちゃん、一夏に惚れたか?」

 

簪の言葉に一文字は意地悪そうに言う。

 

「ち、違いますよ!私はそんな意味で言ったんじゃ・・・・・」

 

「またまた~隠さなくてもいいんだぜ?男前だし、家事もできるんだから・・・・ん?」

 

顔を赤くして否定する簪と話している最中、一文字は玄関から物音がしたことに気が付く。

 

「本郷のやつ、やっと戻ってきたか。」

 

一文字は部屋に簪を残して、玄関に向かう。玄関には案の定本郷がいた。

 

「遅かったじゃないか本郷。向こうで何があったん・・・・・」

 

言いかけたとき、一文字は思わず言葉を失った。本郷に続いて藤兵衛と滝、そして千冬と楯無たちが上がってきたからだ。

 

「おやっさん!滝!そして・・・・・・・・・どなた様?」

 

「一夏君と簪くんは?」

 

「ああ、一夏ならついさっき地下に籠ったところだ。簪ちゃんならリビングにいる。この人たちは?」

 

「ああ、実はな・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと少し前の立花レーシングクラブ・・・・・・・

 

「・・・・・さっき、お話しした通り、一夏君と簪くんは残念ながら・・・・・」

 

本郷は申し訳なさそうに二人に対して言う。千冬は無言で楯無は思わず顔を伏せてしまった。わかっていた結果だったが本郷はこの光景を見るのはあまりにも残酷に感じた。

 

「俺が言えるのはこれぐらいです。二人は今、あなたたちに会うのも躊躇っている。だから今は会うことはお勧めしません。」

 

本郷はそう言うと立ち上がり、後ろから千冬たちを見守る藤兵衛と滝にこっそり言う。

 

「おやっさん、あの二人をお願いします。これだけは俺にもどうすることもできません。」

 

「猛、儂はお前が悪いとは思わん。お前は隼人と一緒に二人を助け出したんだ。後は彼女たちがどう乗り切るかだ。」

 

「くそ・・・・・何しに来たんだよ!俺は!」

 

滝は悔しそうに拳を握り締める。そんな滝の姿を見ながらも本郷は去ろうとしたが自分の袖を誰かがつかんでいたことに気づいて振り向いてみる。

 

そこには今にも泣きそうな雰囲気をした本音がいた。

 

「・・・・・・・・せてください・・・・・」

 

「?」

 

「か、かんちゃんに会わせてください!お願いしますううう!!!」

 

今まで我慢していたのか本音は大きな声で本郷に言うと泣き出してしまった。気づいた姉の虚がすぐに泣き止ませようとするが泣き止む様子はない。

 

「すみません。この子、妹様がいなくなったのが自分のせいだとずっと責めていたので・・・・・・」

 

虚は謝罪しながらも本音を泣き止ませようとする。本郷は何とも言えない顔をしていたが今まで落ち込んでいた千冬と楯無も立ち上がり本郷のところに来る。

 

「本郷さん、あなたの気遣いには感謝します。でも、一夏は私のたった一人の家族です。お願いします、弟に会わせてください。」

 

千冬は頭を下げて頼む。それは楯無とて同じだった。本音と二人の申し出に本郷は戸惑うが二人の決心をした目を見て悟ったのか落ち着いた態度で答える。

 

「わかりました。俺にあなた方肉親を会わせるか合わせないかを決める権利はありません。どうしてもと言うのなら俺の家に案内します。ですがこれだけは覚悟してください。これから会う二人はあなた方が知っている二人ではなくなってしまっているということを・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本郷宅 現在

 

「・・・・・・・・・ってわけで大勢で来ちゃったってわけか。」

 

一文字ははあっとため息をつきながら答える。

 

「んで、ここにいる篠ノ之束は何なんだ?」

 

一文字は束に指を指しながら言う。

 

「彼女は一夏君に謝罪したいという事らしいが。」

 

「俺にとってはどう見ても何かの参考に体の中身を見せてくれと言っているようにしか感じられないな。」

 

そう言うと一文字は千冬たちを中へと案内する。

 

「簪ちゃんのお姉さんのえ・・・・っと・・・」

 

「楯無と呼んでいただければ結構です。」

 

「楯無ちゃんはこっちのリビングに入れば会える。ただ、簪ちゃんは君のことあまりよく思っていないらしいからよく考えて話した方がいいぞ。」

 

「はい。」

 

「一夏は?」

 

「こっちだ。」

 

そう言うと一文字はドアの前に楯無と布仏姉妹を残して千冬たちを連れて地下へと向かった。現場には本郷が残っている。楯無はそっとドアを開ける。ドアの向こうでは簪が知らぬ顔で本を読んでいる姿が確認できる。

 

「・・・・・・・」

 

「どうしても話せないのなら俺から言うが・・・・・」

 

「だ、大丈夫です。」

 

楯無はドアを開ける。ドアの空いた音で誰かが部屋に入ってくると気が付いた簪は本にしおりを挟んでドアの方を見る。

 

「一文字さん?本郷さんは・・・・・・」

 

簪の言葉はそこで途切れた。ここにいないはずの姉が今ここに現れたのだから。

 

「・・・・・・・・お姉ちゃん?」

 

「簪ちゃん・・・・・・」

 

二人はしばらく身動きが取れなかったが楯無のすぐ後ろから本音が泣き顔で割り込んできた。

 

「かんちゃああああああああんんん!!!!!」

 

「こら、本音!」

 

後ろから虚が止めにかかるが本音は簪にしがみついて離れようとしない。

 

「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさあああああいいい!!!!」

 

こんなに泣いている本音を見たのは初めてのため簪は思わず驚いた顔をしていたが少しすると手袋を付けた手で本音をなだめる。

 

「大丈夫だよ、本音は悪くないから。だから泣かなくていいんだよ。ね?」

 

「かんちゃん、かんちゃ~ん。」

 

本音につられてしまったのか楯無までも泣き出してしまった。これには流石の簪も参る。

 

「お姉ちゃんまで・・・・・」

 

「ごめんなさい・・・・・・私がもっと簪ちゃんのことを見ていれば・・・・・・」

 

「虚、助けて。」

 

「無理です。」

 

本音と楯無が泣き止むまで十分以上かかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本郷宅 地下

 

「123、124、125、126・・・・・」

 

一夏は地下で一人ストロンガーの状態で身体中に重りを付けてスクワットをしていた。通常の人間なら重さに耐えられず圧死されてしまうほどの重量を彼はいくつも体に着けて行っていた。

 

「189、190、191、192・・・・」

 

スクワットが終わると今度は腹筋・背筋を始める。その光景を一文字たちはこっそり見守っていた。

 

「あれが一夏なのか?」

 

千冬はストロンガーの姿を見ながら一文字に聞く。

 

「ああ、あれが今の一夏の本当の姿と言うところだ。俺も最近本郷に言われて気が付いたけど時間が空いていればいつもあんな感じに自己トレしている。」

 

「思えば猛も隼人も昔ショッカーと戦っていた時、敵に一度敗れるたびにいつもこんな感じに特訓をしていたな・・・・」

 

藤兵衛は感慨深そうに眺めている。一通りの運動が終わると一夏は今度は大重量のサンドバック複数を撃ち返しながら高速で飛んでくる鉄球を避けるという練習に切り替える。一夏は何度か脇腹に鉄球が激突するが痛みに耐えながら練習を続ける。

 

「なんかものすごい努力家だったんだな、千冬ちゃんの弟君は。」

 

藤兵衛は感心しながら言う。

 

「昔からよくやる子だったんです。本当ならあの時もっと褒めたりするべきだったんですけどズボラだったもので・・・・」

 

「自分と比べて当然だと判断していたってわけか。」

 

滝にも納得されて千冬は何とも言えなくなる。しばらくすると一夏は格納庫からある一台のマシンを出してくる。それは藤兵衛にとっても滝にとっても懐かしいものだった。

 

「あれって・・・・・・・」

 

新サイクロン。

 

とはいってもこれはオリジナルではない。過去、ショッカーに成り代わって世界征服を企んでいた『ゲルショッカー』が造りだした『ショッカーライダー』たちが乗っていた複製品、『ショッカーサイクロン』だ。ショッカーライダーが全員敗れた後、藤兵衛や滝も処分したとばかり思っていたマシンに一夏は乗り回しながら地上に繋がるゲートを通って行く。

 

「一夏がゲートを通り過ぎたのを確認するとこのコースだな。」

 

一文字はそう言うと二号ライダーの姿に変身し、自らも新サイクロンに乗る。後ろには千冬を乗せ、束はどうしようかと思っていたがいつのまにか持参した無人IS『ゴーレム』に乗って追いかけて行っていた。

 

「それじゃおやっさん、滝、俺はちょっと見てくるから。」

 

「おう、気をつけてな。千冬ちゃんも隼人に振り落とされんようにな。」

 

「はい。」

 

二号ライダーはサイクロンを走らせ外に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出ると一夏はタイムを計りながらマシンを走らせていた。二号ライダーは見つからないように一定距離を保ちながら追いかけていく。

 

「随分スピード出すな・・・・あいつ。」

 

二号ライダーはかなり先を走っている一夏の姿を見る。しばらくすると一夏はさらにスピードを上げ、二号ライダーからの距離がどんどん広がっていく。

 

「やばいな・・・・・こっちもスピードを上げないと・・・・・ん!?」

 

気が付いたとき二号ライダーの周りには黒ずくめの男たちがバイクで囲んでいた。

 

「・・・・・千冬さん、悪いが少し運転が荒くなるぜ。」

 

「え?」

 

二号ライダーがスピードを上げ始める。すると黒ずくめの男たちは瞬時に黄色い目玉が飛び出た戦闘員の姿に戻る。

 

「ミュ!」

 

「ミュッ!」

 

「ミュッ!」

 

戦闘員たちは二号ライダーを取り囲み徐々に距離を詰め始める。

 

「千冬さん、ハンドルを頼む。」

 

「は、はい!」

 

「とう!」

 

二号ライダーはジャンプをし、戦闘員の乗るマシンの一台に飛び乗り戦闘員を殴り飛ばす。一瞬の不注意で戦闘員は転倒し、二号ライダーはすぐに別のマシンへと飛び乗る。あまりにもふらふらしているため次々と戦闘員たちはぶつかり転倒していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方の一夏は

 

「ギイイイ!」

 

「とう!」

 

三体の奇械人を相手に戦っていた。

 

「ヒュァーッ!ガンガルバスーカ!」

 

奇械人ガンガルは腹の部分の袋にある子供のカンガルーのような小さな顔に仕込まれた機関砲を放つ。

 

「くっ!」

 

「ホオォーッ!」

 

「シュワー!」

 

奇械人オオカミンが背後から取り押さえ、サソリ奇械人の巨大なハサミがストロンガーの首を絞める。

 

「うう・・・・・・」

 

「どうした?仮面ライダーたちが助けたと聞いてわざわざ三人で来たというのにこの有様か?」

 

「脳改造手術を受けていれば俺たちのようにただ組織に仕えて思う存分その力を使えていたものを。」

 

サソリ奇械人はジリジリと絞める力を強めていく。ストロンガーはみねうちでオオカミンを怯ませるとすぐに両手を交差させる。

 

「電パンチ!」

 

「何!?シュワアアアア!」

 

ストロンガーはほぼゼロ距離から電気に帯びさせた右腕をサソリ奇械人に打ち込む。許容範囲外の出力に耐えられず、サソリ奇械人は大爆発する。

 

「おのれ!」

 

奇怪人オオカミンは毒ガスを放つがストロンガーはジャンプをして回避する。

 

「ドリルキック!」

 

「ホオォォォォ!!」

 

空中からのキックでオオカミンは近くの崖から転落し、大爆発をする。その直後、ストロンガーは脇腹を押さえる。

 

(しまった・・・・・・・さっきぶつけたときのダメージが・・・・・)

 

「よくも仲間を!死ね、ストロンガー!!ガンガルスプリングアタック!」

 

奇械人ガンガルはバネのような体が生み出す驚異的なジャンプ力を駆使してストロンガーに迫る。

 

(ま、間に合わない!)

 

その瞬間、全身装甲の機械兵士のような外見の『ゴーレム』がガンガルを捕らえた。

 

「な、何!?な、なんだお前は!?」

 

ガンガルは突然の出来事に戸惑う。

 

「こ、これは・・・・・」

 

「いっくん!」

 

「え?」

 

ストロンガーは声がした方角を見る。そこには束がいた。

 

「束さん・・・・どうして・・・・・」

 

「話はあと!早く今のうちに!」

 

束に言われるとストロンガーはすぐにジャンプをし、技の態勢に入る。

 

「ええい!離せ、このガラクタが!」

 

ガンガルは腹部のガンガルバスーカを放つがゴーレムの装甲は中々貫通できなかった。

 

「ストロンガー、電キック!!!」

 

「ヒュァー!!!!!」

 

キックは『ゴーレム』ごと貫通し、ガンガルはゴーレム諸共爆発した。

 

「はあはあ・・・・・」

 

「いっくん!大丈夫?」

 

束はすぐに駆け付けてストロンガーの様子を見る。

 

「束さん・・・・・・どうして俺のことを・・・・・・」

 

「それはね・・・・・」

 

「一夏!大丈夫か!?」

 

そこへ二号ライダーがサイクロンで駆けつけてきた。サイクロンが停止すると千冬が早速ストロンガーの方へと駆けていく。

 

「一夏!一夏!」

 

千冬は心配そうにストロンガーに寄り添う。ストロンガーは千冬を見ると思わず距離を取ろうとした。

 

「うっ・・・・」

 

電気エネルギーを浪費した影響でストロンガーは倒れる。千冬はそんなストロンガーを支える。

 

「すまなかった・・・・・本当にすまなかった・・・・・・」

 

千冬は泣きながらストロンガーを寝かせる。するとストロンガーの姿は一夏の姿へと戻る。

 

「ち・・・・・・・千冬姉・・・・・」

 

「私のせいで・・・・・・私のせいで・・・・・・・」

 

一夏にとってここまで千冬の泣いた姿を見たのは生まれて初めてだった。千冬の涙が一夏の顔を濡らしていく。

 

「千冬姉・・・・・・前よりも弱くなった?」

 

「ん?」

 

「昔だったら・・・・・・・『もっと、しっかりしろ』とか『鍛え方が足りん』とか言いそうだったのに・・・・・・それに俺のこと恐れないの?俺、人間じゃないのに・・・・・」

 

「バカ!ここまでボロボロになった弟にそんなこと言えるか!・・・・・それに私はお前の姉だ!たとえお前が人間だろうと人間じゃないだろうとすべて受け止める!だから・・・・・・もう、私の元からいなくならないでくれ・・・・・・。」

 

千冬は泣きながら言う。一夏は思わずフッと笑ったがうれし涙が出た。

 

「あ~これはおやっさんに迎えに来てもらった方がいいかもな。」

 

二号ライダーも一文字の姿に戻って言う。そんな一文字に対して束は回収したショッカーサイクロンを見ながらふと口を開いた。

 

「あのさ、はっちゃん。」

 

「ん?俺のことか?」

 

「頼みたいことがあるんだけど私もしばらく本ちゃん・・・・・・・・いや、本郷さんの家にいさせてもらえないかな?」

 

「それは・・・・・って、何で本郷だけ言いなおして俺はちゃん付けなんだよ?」

 

「いいじゃん別に。それはね、いっくんとえ~っと・・・・かんちゃんの体についていろいろ調べてみたいと思うんだよ。あの怪人たちのことも考えて。」

 

「また世界をおかしくさせるつもりか?」

 

「うんうん、束さんなりにいっくんたちの助けになりたいと思っただけ。いっくんの姿があの組織の最新鋭だったらきっと向こうはもっと強いものを作ってくる。それにお手製のゴーレムでさえこの様だからね。」

 

束はガンガルの残骸ごと燃えているゴーレムを見る。

 

「それが本音か?」

 

一文字は悪戯っぽい顔で言う。

 

「・・・・・・・いっくんの体をあんな風にしたのは私の責任でもあるから。かんちゃんの方も同じ。だからやるだけやってみようと思うんだ。あの二人が元の人間へと戻れる可能性を。たとえそれが0に近いとしても・・・・・」

 

「元の人間か・・・・・。」

 

一文字は意味深そうな表情で束の顔を見る。それは一文字がイメージしていた世界を混沌に陥れ、家族を見放して政府から逃走した自分勝手な人物ではなく、本気で取り組もうとする一人の女性の目だった。

 

「・・・・・・・・俺一人からは何とも言えないな。本郷に頼んでみろ。」

 

「うん。私も謝りに行こう。」

 

束は一夏たちの方へと行く。

 

 

 




ここでの設定

新サイクロン(ゲルショッカー製)

テレビ版ではマシンの行方が詳しく明かされていなかったので一部回収という設定にしました。


奇械人ガンガル

仮面ライダーストロンガー第一話「おれは電気人間ストロンガー!!」に登場した奇械人第一号。外見から似合わずカンガルーベース。


奇械人オオカミン

ストロンガー第二話に登場した怪人。意外にあっけなく倒されたイメージが強いです(内容がストロンガーとタックルの誕生秘話で時間が割かれたのが理由ですけど)。



サソリ奇械人

第三話に登場した怪人。本作ではマジックハンドのようなハサミの運用は登場せず。

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