短編集   作:雨の日

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鍛冶の王・中編

「はぁ~」

 

 オーストラリアのコジアスコ山の山頂にあるこの国の様式ではない日本の武家屋敷のような屋敷の縁側で老人、古鍛治神代が手に持った紙の束を読みながらため息をついていた。この紙の束はつい最近誕生した8人目のカンピオーネである草薙護堂に関して魔術結社『アメクメネ』が調べてまとめたものだ。

 

「世界遺産を壊したりまつろわぬ神を自国に誘致したりと新たなカンピオーネも問題児のようじゃのう」

 

「そのようですね」

 

 古鍛治と話しているのはクロエ・スミスという魔術結社『アメクメネ』の構成員であり古鍛治と結社の橋渡し役を担っている女性だ。魔術結社『アメクメネ』はオーストラリアの魔術結社の中では最大手といっていい。この結社は古鍛治の後ろ盾によって大きく成長した結社である。何故かというと古鍛治は今現在世間的に確認されている8人のカンピオーネの内の1人『鍛冶の王』であるからだ。

 

「わしの祖国じゃしあんまり大規模な破壊はしてほしくないんじゃが権能の都合上難しそうじゃの」

 

「ええ。草薙王の権能『東方の軍神』はウルスラグナの10の化身を元にしたものだそうで。強力な分1つ1つに何らかの条件が課せられているそうで」

 

「そのようじゃの。1番わかりやすいのは『猪』かの? 大きなものを標的にするっといったところじゃろ?」

 

「正解だと思われます」

 

 古鍛治とクロエのレポートから推測できる権能の条件についての話は屋敷に訪問してきたある人物により中断となった。

 

「古鍛治王、いらっしゃいますか?」

 

「いるぞい、シャンテ。何のようかの?」

 

「古鍛治王から頼まれていたこと、完遂いたしましたのでご報告にあがらせていただきました」

 

「うむ。では話してもらおうかの」

 

「はい!」

 

 訪問してきたのは金髪碧眼のスタイルの良い高校生くらいの年齢の少女であった。性格は明るく活発で人懐っこく誰とでもすぐに仲良くなれる子である。この少女を古鍛治はとある用事のために日本に派遣していた。それは草薙護堂が日本に神具を持ち帰ったという報告を聞き、まつろわぬ神が日本に現れるのではないかと危惧したからだった。

 

 古鍛治がいければいいのだが他のカンピオーネの支配地に行くのはそのカンピオーネへの敵対行為とみなされる可能性があったため断念した。だが、祖国のためにどうにかできないかと考えた結果思いだしたとある縁を利用してシャンテを日本に送り込むことに成功したのだった。

 

「え~とですね・・・・・・」

 

 シャンテは頭の中で自分の見てきたことなどを整理して古鍛治に報告を開始した。その報告に古鍛治王は頭を抱えた。主観だけでほぼ語られたその報告では草薙護堂についてほとんどわからなかったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私、シャンテ・イズイットは魔術結社『アメクメネ』の構成員の一人です。アメクメネは今から5年前に急激に成長した魔術結社できっかけはクロエさんがつれてきて現在私たちを庇護してくれている私たちの王、古鍛治神代様でした。

 

 古鍛治王はアメクメネを庇護下に置くととある魔道具を私たちアメクメネの構成員全員に下賜しました。なんでも人によって千差万別に成長する魔道具なんだとか。成長次第ではまつろわぬ神とも対等にやりあえるものになる。実際にそこまで成長させた人もいて私もその一人だ。クロエさんもそうらしいし他にも何人かいるらしい。

 

 ある日、古鍛治王が私に用があるとクロエさんに言われて古鍛治王が住んでいる屋敷にいきました。そこで聞かされた古鍛治王の用とは4年前の事件の伝手を使って日本に行ってくれないかというものでした。日本というとつい最近新しいカンピオーネ、え~と・・・・・・クサナギ王でしたっけ? が生まれた国でしたよね? そこに何故?

 

 古鍛治王の話によるとそのカンピオーネ、クサナギ王がイタリアの愛人から神具を日本に持ち込んだんだそうです。そして、その神具を求めてまつろわぬ神が日本に向かっていると。古鍛治王の祖国である日本の危機ですが古鍛治王は行くことができない。故に私が行くことになったそうです。

 

 確かに私は日本の魔術結社のこと関わりがあります。ですがそれだけで決められるのは・・・・・・えっ? そのこが高確率で巻きこまれる? なら行かなくてはならないですね。日本の魔術結社の媛巫女とかいう者である私の知り合い、ユーリは4年前に最古のカンピオーネ、ヴォパン公爵の起こした所業に巻きこまれてカンピオーネのことが半ばトラウマとかしています。私との文通や周りの協力もあり回復してきていますが全快したわけではない。そんなユーリを巻きこもうとは・・・・・・天地が許しても私が許しません!

 

 古鍛治王に頼まれた次の日に私は日本に降りたちました。その次の日、東京で原因不明の停電が起きたのでした。東京付近で観測できる呪力からこれがまつろわぬ神の所業だと看破した私は現場に急行しました。

 

 そこには美しい女性のまつろわぬ神とユーリがいました。女性が何か言っているようですが無視です。神に普通の人間が真っ向から勝つことは普通できないので私は油断しているその女性に背後から魔術でよびだした槍で一撃、これは肩をかするだけで次の一撃は女性がよびだした黒い大鎌で防がれてしまいました。

 

 背後からの奇襲は卑怯? 神と人とのたたかいに卑怯もくそもあるものですか! 必死に攻撃しないと人が神に勝てるわけがないでしょう! 神ってのは理不尽な存在なんだから・・・・・・いや、納得されても困るんだけどね。

 

 それから幾度も武器がぶつかり合い、女性が隙を見て召喚した眷属であろう梟や蛇による攻撃を避けながら葬り、こっちがくりだした魔術を無効化されと私と女性の戦いは続いた。私は周りへの被害が出ないように気を使っているのに女性からはそんな配慮が感じられない。そのため徐々に劣勢に立たされていきました。ユーリも後ろで心配そうにこちらを見ています。

 

 ユーリにこれ以上心配をかけたくないし奥の手を出しましょうか。私が古鍛治王から貰った魔道具『仮面(ペルソナ) 冷徹なる槍の主』をくらいなさい! ・・・・・・うん、奇襲だしうまくいったね。女性も7本までは避けたみたいだけど残りはあたったみたいだ。これで動けないだろうしとどめをさす! 『仮面(ペルソナ) 激情なる槍の主』!

 ・・・・・・よし、身体に力のみなぎる感じがした。倒したね! それじゃクサナギ王の見つかる前にユーリとともに逃げましょうか! 手を掴まれて驚いているユーリとともに私はオーストラリアに飛翔術で何度も飛びながら帰国した。入国手続きとかもしっかりとこなしてね。

 

 えっ? クサナギ王がどんな人だったかですか? すいません。私は会うことができなかったのでよくわかりません。ただ、女性の敵だと私の勘が言っています。ユーリをここに連れてきた理由ですか? ここにユーリを残しておくとよくないとカンピオーネの直感で感じたので連れてきたんです。

 

 報告は終わりましたのでもう行っていいでしょうか? 外にユーリを待たせているんです・・・・・・わかりました。ユーリを自衛できる程度に鍛えておきます。ユーリの魔道具は・・・・・・もらえるのですね。いったいどんなものになるんでしょう。楽しみです。

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