資源再利用艦隊 フィフス・シエラ   作:オラクルMk-II

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初投稿です。小説初心者ですが頑張ります。


1 フィフス・シエラ
研究員の日記


第六艦娘技術実証研究所

 

研究日誌...第8639号

 

 

〇〇月**日 記録者 渡 徹(わたり とおる)

 

深海棲艦と呼ばれる、生物?との戦いが始まってはや数十年。

現在人類は「艦娘」と言う生体兵器を用いることにより、拮抗、いや、優勢に戦うことが出来ている。

しかし、ここ数年で増えてきている、轟沈艦の残骸を処理するため、「サルベージした、轟沈、死亡した艦娘の遺体を利用したリサイクル艦娘」なるものの研究、建造の依頼が横須賀鎮守府から届いた。

明日から久しぶりに忙しくなりそうだ。

 

 

〇〇月◆◆日

 

さて、今日からリサイクル艦なるものを作ることになったわけだが、我々は艦娘の遺体の解剖や研究こそやったことはあるが、蘇生などやったことはない。

というか可能なのか?という訳で、艦娘の建造等を任されている「妖精」という、これまた人間とは違う生き物を呼んできて、どうすればいいか聞いてみた。

まとめると「細かい作業は私たちがやるからとりあえず複数の艦娘の遺体を持ってこい」ということを言われた。

今度取り寄せるか。

 

〇〇月@@日

 

言われたとおりに各地の鎮守府、泊地からそれぞれの場所で保管されていた新鮮な艦娘の遺体を取り寄せた。

妖精からは「まず、欠損の激しい遺体は程度の良い部分だけ切り取り、そしてそれらを組み合わせて「五体満足の死体」を作れ」とのこと。

言われた通りに死体を作る。

このフランケンシュタインみたいな死体は外見上パーツを繋げただけで、血管や神経は繋がっていないがいいのか?と妖精に聞くと「難しいことは考えなくていい。後は私たちの仕事だ」と言い残し、建造所に死体を運んでいった。

こんなに適当で大丈夫なのか?

 

 

◆◆月××日

 

ひとまずリサイクル艦娘については我々の仕事は終わった。

以前のように別の研究に没頭していると研究室に妖精がやって来た。なんでも当初の予定に狂いができたらしく、色々とうまくいっていないらしい。

それで、何の用事だ?と聞くと、「研究所で保管している深海棲艦の細胞が欲しい」と言ってきた。それがあれば最後の工程が完了するらしい。

こちらとしても、大御所の鎮守府から受けた依頼なので「なんの成果も得られませんでした」では少し困る。

悩んだが、研究所の所長や同僚と話した結果、GOサインを出すことになった。

 

 

◆◆月**日

 

ついに建造が終わった。

妖精がそう言ったので、研究室の同僚たちと出来上がった艦娘を見に行った。

透き通った、しかし血の気の引いた病的に白い肌、完全に色素の抜けた白い髪、うっすらと紫色に光る瞳。

なんだこいつは。

まるで深海棲艦ではないか。妖精にこれはどう言うことだと聞けば、深海棲艦の細胞を使って作ったのだ。こうなるに決まっている、などと返された。

まったくふざけた話だ。

状況がよくわかっていないのか、それとも生まれたばかりで初めて見る外界に興味を示したのか辺りをキョロキョロ見回している「艦娘」の前で悪態をついた。

 

 

◆◆月##日

 

想像した通りの結果が起きた。 落胆していてもどうしようもないので、依頼主の横須賀鎮守府に「艦娘」をつれていくと、そんな得体の知れない艦娘もどきが使えるか!と怒号が飛んできた。

まあ当たり前だろう。こんな深海棲艦だか艦娘だかわからんようなヤツを「頼まれていた研究成果です」と見せられても困るだけだ。

鎮守府の門をくぐる時も向こうの艦娘に深海棲艦と勘違いされて撃たれそうになるしろくなことがなかった。

帰りの車の中で、「艦娘」がこちらに話しかけて来た。「お前が怒鳴られたのは私のせいなのか?」と聞かれたのであぁそうだよ。と言うと「ごめんなさい」と言われた。

昨日と今日でずっと無言だったので喋れないのかと思ったがどうやら違ったらしい。ま、どうでもいいことか。

 

 

@@月$$日

 

横須賀に研究成果を見せた日から少し経って、例のリサイクル艦娘の性能テストを行った。

結果は「元になった艦娘の2/3程度の能力を持つ」ということが解った。

また、驚くことに、 リサイクル艦娘では長いので一号と呼ぶことにする 一号は元になった艦娘のすべての艤装が使えるということが判明した。

また艤装こそ使えないが潜水までできるときた。普通の艦娘は妖精が建造時に設定した艤装しか付けれないのだが...

それに変な話だ。これでは「スクラップになった車と飛行機と舟を組み合わせてレストアしたら全ての乗り物の用途に使えるものが出来た」と言っているようなものだ。

まあ艦娘もまだ解明されていないことは多々あるが...

ちなみにこれを横須賀に報告したところ、前のことは謝るから、あと二体ほど建造してくれ。と言われた。

どうやら死亡した艦娘の遺体という資源で作れることと、その低コストに見会わない汎用性に目をつけたようだ。

 

@@月×・日

 

研究所の仲間たちの間で、一号の見方が最近変わってきている。

同僚は、外見が不気味なだけで話してみれば普通に良い子だ。と言う。

たしかに話しているぶんには普通の人間だし、最近は一号に研究の手伝い等をやってもらうことも多く、何より様々な仕事をやらせても文句一つ言わないので扱いやすいところもウケたのだろう。

あとは今日、休憩時間に本棚に無造作に置かれてあった花の図鑑を見ながら暇潰ししていると、私の読んでいた本に興味を持ったらしく、貸してくれないかと言ってきた。

あまり気にしたことはなかったが一号も一応「女の子」だからこういったものに興味を示したのか?

 

@@月%*日

 

頼まれていた残りのリサイクル艦の二号と三号の建造が終わった。

三号は一号と同じくまた深海棲艦のような外見だ。が、どういうわけか二号は辛うじて人間と言い張れなくもないといった見た目をしている。

これだから艦娘は解らない。建造時の条件は全て一号の時と変わらなかったはずなのだが...

考えてもしょうがないと思い、気持ちを切り替えるために隣で見ていた一号に「一応、姉妹艦になる二号と三号だ。面倒を見てやれ」と言う。一号は「わかった」と一言だけ言って、二人を連れて所長の所に報告に行った。

最近私の仕事が少し減っている気がするのは気のせいか。

 

 

%%月◎◆日

 

所長や他の研究班の人間から、一号、二号、三号ではあまりにもドライじゃないか?と言われ三人に名前を付けることになった。

同僚はチェスの駒の名前にしよう!と言って所長に却下され 女の研究員は天体の名前はどうか?と言い他の人間に盛大に反対され、その他の人間も特にいい案がないということで一番三人の面倒を見ていた私がつけることになってしまった。

私は一号から順に以前読んだ図鑑に載っていた「ウツギ」、「アザミ」、「ツユクサ」、と花の名前を付けた。

てっきり却下されるかと思ったが採用されてしまい、しかも一号は貰った名前が気に入ったらしく今まで見たことがないような笑顔で「ありがとうございます」と言ってきた。とりあえずは気に入ってもらってよかった。

 

 

☆☆月*$日

 

三人が建造で現れてからもう少しで3ヶ月を迎える。

三人の観察をしていると結構、艦としての性能や人としての性格に違いがあって面白い。

 

ウツギは、基本的にいつも無表情で口数も少ないので無愛想かと思えば気を許した相手には途端に愛想がよくなる。そして素材となった駆逐艦、軽巡洋艦、重巡洋艦、一部の空母の艤装が扱えるが、本人曰く空母は扱いが難しくあまり使いたくないらしい。

 

アザミは話し掛けたり挨拶をすればちゃんと返事がくるが、どういうわけか片言で喋ったりウツギ以上に無表情だったりで何を考えているかがいまいち解らない。使える艤装は駆逐艦と戦艦という両極端な組み合わせだが三人の中で一番戦闘能力が高く、本来の艤装から性能低下を起こしているとは考えられない立ち回りをする。

 

最後にツユクサだが...どうも彼女は一番人間くさいような気がする。毎日の食事で好き嫌いがあると落ち込んだり、前にやったトランプゲームで負けて拗ねたり、逆に勝つと目に見えて機嫌が良くなったりする。正直私よりも喜怒哀楽がはっきりしているのではないだろうか?戦闘に関しては駆逐艦と軽巡洋艦、重巡洋艦の艤装が使えるが...これはウツギにもいえるのだが決して強いわけではない。アザミが突出しているだけだろうか。

ちなみに以前日誌に書いた「潜水」ができるのはウツギだけだった。

 

だらだらと書いているといつもより長くなってしまった。ここで切ることにする。

 

 

☆☆月##日

 

横須賀から指令が来た。

三人を配備する鎮守府が決まったので期日にそこに行けとのこと。

わりかし長く付き合ってたやつらなので少し名残惜しいが、上の命令とあれば仕方がない。三人も特にゴネたりすることもなく予定の日に指定された鎮守府で働くことになった。

少し気になってその鎮守府のことを調べる。第五横須賀鎮守府と言う場所で、どうやら新しくできたばかりで着任する人間も新人らしい。

悪いヤツでなければいいんだがな。

 

▼▼月〇〇日

 

三人を見送る時がやって来た。

技術班や仲間と三人の荷物や艤装のチェックをしているときに横須賀から荷物が届いた。何かと思い開けてみると艦娘の制服が入っていた。

が、しかしこの制服は「真っ黒なセーラー服」だった。

嫌がらせか?こんなものを着せたらただでさえ深海棲艦と誤認されかねない三人が他の艦娘の眼に入ったときどうなるかわかったもんじゃない。

他の同僚たちも同じことを思ったらしく結局こちらで用意していた洋上迷彩柄の作業着を三人に持たせることになった。

別れの挨拶と見送りを済ませた後に、私は流石に腹が立ったので制服の入った段ボール箱を海に投げ棄ててやった。彼女たちに何事もなければいいのだが......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

廃品を利用して作られた彼女たちの艦種は「資源再利用万能艦」。無駄に立派な艦種名を付けられた、ウツギたちの未来は、使い潰されたのちまた棄てられるか。それとも多大な戦果を挙げ、名声を得るのか。

 次回「着任」  任務を開始します。

 




全部で30~40話で終わる予定です。
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