資源再利用艦隊 フィフス・シエラ   作:オラクルMk-II

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大変お待たせ致しました。急ピッチで仕上げたので文章がおかしいかもしれません。


死線

 

 

 

 

『もしもーし。球磨だクマー』

 

「ウツギだ。今、時間あるか?」

 

『こんな時間にどうしたクマか?』

 

 謎の艦娘と会ってから数分後、ウツギは割り当てられた自室の電話で第五鎮守府に居る球磨と連絡をとっていた。電話の内容はあの「深海棲艦のような足が無い艦娘について」だ。

 

「ついさっき廊下を歩いていたら、自分のような容姿の艦娘が居たんだ。どんなヤツなのか少し詳しく教えてほしい」

 

『ん~、球磨が知ってるだけで三人ほど頭に浮かんだんだけど、どんな子だったクマか?』

 

 あんなのが少なく見積もって三人も居るのか......。ウツギは少し戸惑うがそのまま通話を続ける。

 

「さっき見たのは......両足が無くて、少し地面から浮いてたな」

 

『あ~はいはい、わかったクマ、それ春雨ちゃんクマね。あの子は頑張りやさんでいい子クマよ~』

 

「その言い方だと友達か何かでよく喋ってたりしたのか?」

 

 ハルサメ......駆逐艦の艦娘か。確かに足が無くて全体的に白かった事を覗けば、元の姿と同じだな。ウツギが手元に用意した艦娘の名前と姿が載っている資料を引きながらそんなことを考える。それと同時に、なんだか妙に球磨が嬉しそうに喋り始めたので、ウツギが疑問に思って聞いてみる。

 

『仲が良いも何も、球磨は何度もその子に命を助けられたクマ~。多分、そこで一番強い子だクマ~』

 

「......何だと?」

 

 電話越しの球磨の口からさらりととんでもない発言が飛び出したので、ウツギが慌てて質問する。

 

「この鎮守府で最高戦力だと...?さっき見たがここは戦艦や空母だって充実してるんだが......」

 

『いやいや、ウツギ、あんな天龍にすり寄って甘い汁をすすってる奴等とは比べ物にならんクマ。......皮肉なことに春雨ちゃんは深海棲艦になってから桁違いに性能が上がった子なんだクマ』

 

 若干受話器越しの球磨の声のトーンが落ちる。あんまり言いたくないことだったのか、不味かったな。ウツギは何となく察して次の話題に切り替える。

 

「そうか......わかった。あと、さっき言ってたな。残りの二人について教えてくれ」

 

『わかったクマ~。ええっとまず......』

 

 通話が終わったウツギはそっと受話器を戻し、特にやることもなく、夜も遅かったので床についた。そして

 

 

 

「許すわけにはいかないな......あの女」

 

 

 

 そう呟いてから、ウツギはベッドの上で眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、ウツギは朝食を早めに済ませると、あらかじめ取り寄せていた暁の艤装を装着して集合場所の海上に立っていた。集合時間に余裕があったので、大規模作戦の時から使い続けているスナイパーライフル(レ級に唯一壊されなかった武器だったので、例の痩せた男に返そうとしたが「どうせ使わないからやるよ」と言われて貰ってきた)の手入れをやっていると五分ほどしてから、アザミや摩耶たちも集合場所にやって来る。

 

「集まったかぁてめぇら!!じゃぁ行くぞォォ!!」

 

 最後にやって来た天龍が自分の周りに戦艦の艦娘を陣取らせて、相変わらずの怒鳴り声でセレクトEX-1の艦娘たちを引き連れて海を進む。

 

「わざわざ前線に出んのかあいつ......意外だな」

 

 ウツギの隣で摩耶がそう発言する。ウツギも後方で指示を出すのかと思っていたので意外に思っていた。すると横に居た摩耶のさらにその隣に居た曙がこんなことを言い始める。

 

「自分も艦娘だから現場にいるほうが指示しやすいってことじゃないの?」

 

「あぁ、そう言うこと」

 

「まったく、少し考えればわかりそうなものだけど?」

 

「なっ!?お前相変わらず可愛くねぇな!」

 

 二人を見ながら仲の良さそうなやつらだな、とウツギが思っていると、急に部隊の行進が止まったのでウツギたちアルファ隊の面々もその場で停止する。考え事をしながら海を進んでいたため気づかなかったが、ウツギが前に居る艦娘たち越しに前方を見ると、戦艦の艦娘を引き連れた天龍の後ろに廃墟がある人工島が見える。全員居るかの点呼と隊列変換が終わったあと、例によって天龍が怒鳴り声で説明を始める。

 

「いいかぁ!!てめえら!!ここからこの廃墟で夜まで待ってからここの近くに溜まってるらしい敵に奇襲をかける!!」

 

「あのぅ......昨日と話が違いませんか?」

 

 軽巡の艦娘、由良が昨日の会議と全く違うことを喋り始めた天龍に突っ込みを入れると、天龍のそばにいた戦艦の艦娘にいきなり腹を蹴り飛ばされる。

 

「あぐぁっ...!?」

 

「あ゛?黙って聞けよゴミ」

 

 天龍が鬱陶しそうにそう言って、倒れた由良を何度も蹴りつける。いきなりとんでもないことをしだすやつだ......ウツギが止めに入ろうとしたとき、摩耶が眉間にシワを寄せて割って入る。

 

「おい、大丈夫か?てめ......んん、指揮官殿、何もここまでする必要はないんじゃないっすかね......」

 

 間に入った摩耶が、散々蹴られたせいで胃液を吐いている由良の背中をさすりながら天龍を睨み付けてそう言う。すると天龍の近くに居た由良を蹴ったのとはまた違う戦艦がヤツに耳打ちするのがウツギから見えた。

 

「提督代理、こいつらは一応他の鎮守府の借り物です。あまり痛め付けないほうがいいかと......」

 

「......今日は機嫌が良いから止めてやる」

 

 天龍は流石にマズいと思ったのか蹴った由良を放置して、説明を続ける。ここまで噂通りの下衆だといっそ笑えてくるな。ウツギの中でぐんぐん第三の天龍の評価が下がっていたが、そんなことはもちろん知らずに天龍は怒鳴り声で説明を続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 日が暮れて、すっかり辺りも暗くなった頃。ウツギは天龍が指定したポイントにアルファ隊のメンバー......にプラスして天龍たちの部隊と一緒になって陣取っていた。ちなみにこの場所は天龍が勝手に拠点にすると提案した場所からかなり敵の陣地に踏み込んだ場所だが、まだ誰も敵の姿を見ていないという不自然かつ異様な雰囲気が漂っていた。 

 こんなところで固まっていて後ろから敵に囲まれでもしたら一大事だな。そう考えながら索敵を行っていたウツギがすぐ後ろに居る天龍に報告する。

 

「熱源反応、前方に敵が固まっているみたいです」

 

「ウツギ......先に行って敵を引き付けろ」

 

「......自分一人で、ですか?」

 

「当たり前だ......」

 

 天龍が下品な笑みを浮かべながら、ウツギに命令する。周りにいる戦艦の連中も見下すような笑顔を浮かべており、非常に気味が悪い。その戦艦組の後ろに居た摩耶や他の艦娘たちは何も言えず歯を食い縛っていた。アザミだけは無表情だったが天龍を見る目がどこか冷たい気がする。

 

「......了解」

 

「フフフッ......そうだ......そのまま突撃して敵を引き付けろ......」

 

 ウツギが無表情で艤装の盾を構えてそのまま一人で敵陣に向かって前進する。天龍たちの視界からウツギが見えなくなった頃、天龍とその取り巻きがいっそう下品な笑みを濃くするのを見た曙が突っ込みを入れる。

 

「すみません、指揮官殿」

 

「あ?なんだよ」

 

「流石に彼女一人だけでは陽動すら出来ずにやられてしまいます。せめてもう一人つけるべきでは...」

 

「ウツギ......危なイ......」

 

「ふん、ほうっとけ」

 

「それともうひとつ」

 

「あぁん?今度はなんだよ」

 

「ここは敵陣のほぼ真ん中です。後ろも警戒したほうが良いかと...」

 

「レーダー見たかお前?前にしか反応がねぇんだから前見てりゃいいんだよ」

 

「っ......了解」

 

 話にならないと判断した曙が素直に従うふりをて、天龍たちに対して背中を向ける。その時だった。

 

「ん?」

 

 何かを察して後ろを見た戦艦の上半身が消し飛ぶ。

 

「きゃああぁぁぁぁ!?」

 

「て、敵!?囲まれています!!」

 

「何だとぉ!?こいつら一体どこから!?」

 

 天龍たちの後方から凄まじい砲弾の嵐がやってくる。不意打ちだったためか、既に五名ほどの艦娘が再起不能レベルの負傷を負ってしまい、それを見た摩耶が舌打ちをして砲を構えて臨戦態勢に入る。

 

「チッ、クソが!言わんこっちゃない」

 

「撤退!撤退だ!!」

 

 いきなりの敵の攻撃に動揺した天龍がまだ何もしていないのに撤退命令を出す。それを見て、アルファ隊の面子は砲を構えながらあきれ果てていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

まんまと敵の罠にかかったセレクトEX-1。

そこへ、違和感を感じて戻ってきたウツギが合流する。

彼女たちはこの危機を乗り越え、鎮守府へ帰れるのか。

 

 次回「ワン・オペレーション」 無能な味方はただの荷物。




ゲス天龍が大活躍だよ!やったね!(白目)
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