資源再利用艦隊 フィフス・シエラ   作:オラクルMk-II

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遅れを取り戻すため連投。


ワン・オペレーション

 

 

 

 

「何も無いな......」

 

 天龍の命令通りに単身突撃してきたウツギが呟く。レーダーの反応通りならこの辺りは既に一面敵だらけでもおかしくないのだが、どういうわけか蟻一匹見つからないほど廻りは静まり返っている。

 

「ん...?これは......」

 

 ウツギが目の前に死んでいる重巡級の深海棲艦を見つけた。ふと気になってその死体を触ってみる。ついさっきまでは生きていたのか、ほのかに暖かい。まさか......

 

「当たり......だな」

 

 夜の闇で暗い辺りをよく目を凝らして見てみる。予想通り、周囲には駆逐艦から戦艦まで幅広い深海棲艦の死体が転がっていた。しかもどういうわけかどの死体もほのかに暖かい。レーダーはこれを誤認した訳か。そうウツギが判断して戻ろうとした時だった。彼女がもと来た方向から凄まじい爆発音と悲鳴が風にのって聞こえてくる。

 

「やっぱりか......!」

 

 ウツギはすぐに来た道を戻ろうとする......が、自分が今駆逐艦の砲しか敵に有効な武器を持っていない事を思い出す。砲撃音の数からして相当の敵が居ることを把握したウツギは、これだけでは弾が足りないかも知れない。そう思い、何か使える物がないかと廻りを見る。

 

「損傷は無い......使えるか?」

 

 最初に見つけた重巡リ級が腕に固定していた砲を無理矢理ひっぺがし、ウツギは元々持っていたライフルと砲を背中のハンガーに取り付けると両手にリ級の砲を持ち、砲に付いていたベルトで腕に固定する。意外と軽いな、等と考えながら試しに砲を真上の空に向けて引き金らしきものを引く。普通の艦娘は深海棲艦の艤装は使えないらしいが......大丈夫だろうか。そんなウツギの考えは杞憂に終わり、砲からはしっかりと砲弾が発射された。

 

「問題ないか......ありがたく使わせて貰おう」

 

 一応、リ級の死体に礼を言ってから、急いでウツギは味方の居る方へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、こいつ速っ...」

 

「助けてくれっ!!し、死にたくなっ......!?」

 

 突然後ろから現れたレ級と、レ級率いる敵部隊の不意打ちに、天龍の周りに居た戦艦の艦娘が艤装で防御する前に蹂躙され、訳もわからないうちに吹き飛ばされる。あまりにも役に立たない天龍護衛部隊に、摩耶が毒をはく。

 

「クッソ、あいつら戦艦だろ!何でこんな弱いんだよ!」

 

「大方、録に実戦出てなかったんでしょきっと。だから防弾のやり方も知らないし、集中砲火なんて受けるのよ」

 

「役......立たない......荷物メ......!」

 

 辛うじて襲撃を察知し攻撃をうまく切り抜けたアルファ隊の面々が弾幕を形成して後退する。そこへ、レ級が一人で摩耶に向かって突進してくる。その顔に楽しそうな笑みを浮かべながら。

 

「っ...!こっち来んなっての!」

 

 事前にウツギとアザミから接近戦は危険だと知らされていた摩耶がレ級に向かって対艦用の手榴弾を投げつける。一瞬だけ怯んだ隙を見て、急いで後ろにバックして砲撃を叩き込む。が、摩耶はあまりダメージか通っているようでは無さそうだと感じていた。と言うのも、砲撃の爆炎が晴れたと同時に今度は天龍の方へとレ級が向かっていったのだ。

 

「指揮官殿、そっち行きやしたぜ!」

 

「うわっうわぁぁぁ!!来るなぁぁ!!」

 

 天龍が顔を青くしながら、滅茶苦茶にレ級に向かって砲を乱射する。もうほとんど至近距離と言ってもいいような距離ですら砲撃を外しまくる天龍に摩耶が呆れていると、その時、突如レ級の背中で大爆発がおこる。何事かと振り返ったレ級の目線の先にはスナイパーライフルを構えたウツギが居た。

 

「はっ、早く始末しろぉぉ!!」

 

「お前の相手はこっちだ」

 

 完全に腰を抜かして、尚も当たらない砲撃を繰り返している天龍を無視して、ウツギは片手に盾、もう片手に持っていたライフルを背中に仕舞うとリ級から拝借してきた重巡の大口径砲を構える。ウツギを視界に捉えたレ級が顔面に張り付けた笑顔をよりいっそう濃くして、ウツギに向かって突進してくる。

 

(攻撃は当たっている......傷も出来ているが消耗している様子がないな......)

 

 相手に近づかせないようにと、内心焦りながら必死に弾幕を張るウツギの額には冷や汗が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大規模作戦の時の経験をもとに、ウツギは絶対に距離を詰めさせてなるものかと突っ込みながら尻尾のような部位から砲撃を行ってくるレ級から距離を取りながら盾で砲弾を受け流す。

 しばらくすると、何故かレ級が突進を止めてその場に停止するので、不審に思ったウツギもその場に止まる。何時の間にずいぶん遠くまで来てしまったな、などとウツギが考えていると、レ級が話しかけてきた。

 

「その盾...頑丈だな。とても駆逐艦の装備だとは思えん」

 

「......喋れたのか」

 

「失礼なヤツだな、俺を他のやつと一緒にするとは」

 

 意外と饒舌なやつだな、とウツギが考えながら、持っていた盾をさする。レ級の言う通りウツギが持っている暁の艤装の盾は普通の物ではなく、大規模作戦の時に破壊された青葉の艤装を潰して作った装甲材で補強してある。流石に戦艦級の砲撃を、角度をつけて弾いたとはいえ、何度も無茶をさせてしまったためか装甲の表面が深くえぐれている。

 

「あの島の時以来だな」

 

「随分と物覚えが良いみたいだな」

 

「覚えているさ......俺が初めて吹き飛ばしてやったのがお前なんだから」

 

「......そうか」

 

 言うが早いかレ級がまた砲撃を繰り出してくる。また受け流そうとウツギが盾で砲弾を弾くが、流石に限界が来たのか、足した部分の装甲がそのまま吹き飛ばされる。弾の当たった衝撃で仰け反るウツギに向かって、ここぞとばかりにレ級が殴りかかってくる。

 

「もらったぁぁぁぁ!!」

 

「......ッ!!」

 

 レ級の拳がウツギの銅に深く突き刺さる......寸前に素早く背中からスナイパーライフルを取り出したウツギが、引き金を引く。すると例によって大爆発が起き、いきなりの出来事にレ級がたまらず距離を取る。

 

「ぐっ...!?姑息な手をっ!」

 

 煙が晴れて、レ級が辺りを見回す。どういうわけかさっきまですぐ近くに居たウツギの姿が消えている。あいついったい何処に行った......そんなレ級の思考はウツギの後を追いかけてきた摩耶達の砲撃によって中断される。

 

「5対1......流石に分が悪いな......」

 

 不意打ちまでやったのに全滅するとは......弱い奴等だ、と味方の悪口を言いながらレ級は身を翻し、夜の闇へと消えていった。

 

「クッソ、逃げたか!曙、他に敵は?」

 

「さっきのあいつで全部よ。まったく、ひどい目にあったわ」

 

「ウツギ......遅かったか......畜生、いい奴ばかり早死にしやがって......」

 

「勝手に殺さないでくれ」

 

 摩耶が項垂れているところへ、何処からか声が響く。

 

「へっ?」

 

「っ......と、また艤装がめちゃくちゃだ......」

 

 摩耶の近くの水面からウツギが這い出てくる。レ級の攻撃を受けた艤装のシールド部分は激しく損傷しているが、本人は至って元気そうだ。

 

「えええぇぇ!?お前潜水艦でもないのに潜れるの!?」

 

「?言わなかったか?戦闘は無理だが潜るだけなら出来るぞ」

 

「へぇ~ずいぶん便利な体してるのね」

 

 曙が疲れた顔でそう言ってくる。摩耶やアザミが砲を降ろしているのを見て、作戦が一応終わったことを察したウツギが摩耶に聞く。

 

「......アルファ隊の艦娘しか居ないが天龍たちはどうしたんだ?」

 

「あのクソ指揮官ならあっちで腰抜かしてるわよ」

 

「あぁ。そうそう、あと取り巻きの戦艦連中はみんな爆散したぜ」

 

 摩耶と曙が疲労の色をいっそう濃くした顔でそう説明する。それを見たウツギはため息をついてから鎮守府に帰投する旨を知らせる無線を入れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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辛くも死線をくぐり抜けたセレクトEX-1、アルファ隊。

今の艤装のままではまだレ級には勝てない。

そう結論付けたウツギはある人物へと協力を仰ぐ。

 

 次回「チューン工房N」 実戦セッティング開始。




腰抜かしても戦い続けるゲ天ちゃん健気(白目
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