資源再利用艦隊 フィフス・シエラ   作:オラクルMk-II

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お待たせしました。自分の文才の無さに絶望した第14話、始まり始まり~(白目)


死神、三度

 

 

 

 

 

 

「こちらアルファ、E07、クリア」

 

『ブラボー了解、こっちもすぐに終わります』

 

『こちらチャーリー。敵が多い、支援してくれ』

 

『デルタぁ、チャーリーの援護に向かうッス!』

 

 どこまでも青空が広がる快晴の日の昼過ぎ。今、セレクトEX-1の艦娘たちは作戦行動の真っ只中だった。作戦の内容は至って簡単、「レ級が潜伏していると思われる海域の敵をしらみつぶしに殲滅して目標をあぶり出す」と言うものだ。

 前の大損害から、アルファ隊の中で一番レ級との交戦経験があるから、という理由で旗艦に任命されたウツギが敵艦隊の撃破報告を他の分隊へ済ませると、後ろに居た陽炎が声をかけてきた。ちなみに部隊メンバーは前と据え置きで、補充要員のツユクサと天龍はデルタ隊の方へと出張っている。

 

「で、どうなのソレ?使い心地は」

 

「良好だ。今のところはな」

 

 白と青のツートン迷彩柄の深海棲艦の艤装を指差して言ってきた陽炎にウツギが返答する。なかなか便利な物を貰ったな。ウツギが自身の持っていた砲に取り付けてある白い箱のような物を見ながらそんな事を考えていた。

 艤装後付け式・補助制御CPUシステム。別称、サブコンピューターと呼ばれる渡から渡された改造パーツだ。艦娘の装備する艤装の制御システムに強引にハッキング、CPUにあらかじめ設定しておいた部位を自動制御にする。ウツギが渡がいっていたパーツの説明を思い出していると、CPUのアナウンスが鳴る。

 

『熱源反応を感知しました。メインシステム、戦闘モード起動します』

 

「敵だ......構えろ」

 

「へ~い、りょーかい」

 

 アナウンスとレーダーの反応を見たウツギが摩耶や他の部隊員に命令して編隊を組みながら砲撃戦の用意をする。敵が視認できる距離まで来た頃、また続けてアナウンスが入る。

 

『敵艦隊スキャン開始...完了。戦艦1、軽巡3、駆逐2』

 

 またハズレか......スキャン結果を聞いてウツギが心の中で悪態をつく。すでに三回ほど敵の小規模艦隊と戦闘を行い殲滅しているが、まだレ級は出てこない。しかし敵には変わりないのでウツギは砲を構えて敵戦艦に、他の艦娘も思い思いに標的に設定した相手に砲撃を行う。

 

「よーく狙って......」

 

「ったく、ちょこまかと!」

 

 じりじりと敵とアルファ隊の距離が近づき、既にこちらの攻撃で相手の駆逐を二匹沈めたとき、またウツギの艤装に取り付けたCPUがアナウンスを発する。

 

『射程距離に入りました。副砲、発射します』

 

「頼んだ...」

 

 ウツギの持っていた副砲から自動制御で砲弾が発射される。流石はコンピューター制御と言ったところか、まだ練度の低いウツギには到底不可能な凄まじい精度の射撃が相手に当たる。ほどなくして敵艦隊が全滅すると、またウツギが味方に無線を入れる。

 

「こちらアルファ、N14クリア。依然として目標は現れず」

 

『ブラボー了解、弾が切れたので退却します』

 

『こちらチャーリー、デルタと合同で敵と交戦中。出来ればそっちも来てくれるとありがたい』

 

『デルタ、チャーリーに同じッスぅ!』

 

「了解。そこから遠いが援護に向かう」

 

 味方からの救援要請を受託してウツギが無線を切ると、ウツギに向けて摩耶が口を開く。

 

「あ~あ。もう一時間もウロウロしてんのに出てこねぇとかさ、もうここにレ級なんて居ねぇんじゃねぇの?」

 

「かも、な。それよりチャーリーが敵の軍勢とやりあっているらしい。行くぞ」

 

 味方を助けに向かうため、ウツギが部隊員の艦娘を先導しようとした時。

 

 ふと何処からか翔んできた砲弾が曙に直撃する。

 

「っうあぁぁ!!?何よ!?」

 

「っ......!?何処からだ?」

 

 ウツギが辺りを見回すと、水平線に小さな黒い点を見つける。まさか......とウツギが思ったとき自分の艤装から発される無機質な機械音声が海に響き渡った。

 

 

『高熱源反応を感知、識別...可能、該当データ、戦艦レ級です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつもいつも面倒なときに出てくるヤツだ......ウツギはレーダーに映る高速でこちらに接近する敵反応を見て愚痴を言いそうになる。大破した曙は由良と陽炎の二人を付けて撤退させたため今のアルファ隊はウツギ、アザミ、摩耶の三人である。

 

「あの距離で当ててくんのかよ......化け物が......」

 

「摩耶、気を抜くなよ。あいつは普通じゃない」

 

「......強さ......関......無い......殺ス......」

 

 近づいてくるレ級に備えて三人が砲を構える......が、しかしレ級は何を考えているのか、近づいてくるばかりでさっきから一発も撃ってこない。なんだ......何が目的だ?とウツギが思っていると、もうレ級とわかるほど相手が自分達の近くまで来る。そちらが撃たないのなら、とウツギたちが砲を撃とうとしたとき、レ級が話しかけてきた。

 

「紛い物の艦娘!三度目だな!」

 

「......無駄話に付き合うほど自分達は暇じゃない」

 

「そうか、三度目までは俺も想定済みだ。だが四度目は無いと思え!」

 

「どうかな...摩耶っ!」

 

「っ当たれえぇぇぇ!!」

 

 30mほどの距離でウツギに話しかけて来たレ級に不意打ちを狙って、摩耶が砲撃をお見舞いする。直撃コースだ、ただでは済むまい。そう摩耶が確信していると、爆風が晴れて出てきたのは、レインコートの右袖が無くなっているもののほとんど無傷で......いつもの通り楽しそうな笑みを浮かべているレ級だった。

 

「おいおい、セコンドの乱入は反則だろう?次はこっちだ!」

 

「ったく相変わらず硬ぇ野郎だ!!」

 

 レ級の砲撃が引き金となり3対1の砲撃戦が始まる。

 まずウツギが接近させないように副砲、主砲合わせて四門の砲で弾幕を張り、ウツギの左右に構えた摩耶とアザミで攻めあぐねたレ級を狙い撃ちする。前二回より今はかなりこちらに有利な条件だ、いけるか?そんなウツギの考えは砲撃戦が始まって五分ほどたったころ、少しずつ崩れていった。

 なぜなら今日のレ級は前にやってきた「積極的な接近」をやらずひたすら引き撃ちに専念してきたのである。しかし予定と大きく違う動きにも関わらず正確に相手の砲撃をかわしながら反撃して、自分を支援する摩耶とアザミに、流石、自分とは違うな。とウツギが感心する。

 だがウツギは焦っていた。このままジリジリと持久戦に持ち込まれれば、こちらが弾切れの可能性が出てくる。運良く相手も弾切れだとしてもそんなことは関係ない。まず間違いなくあの殺人パンチが飛んでくるからだ。どうすべきか......ウツギが次の手を考えていると無線が入る。

 

『こちらチャーリー!アルファ、こちらに来れそうか?』

 

「レ級と交戦中だ。後にしてくれ」

 

『レ級!?そこにいっ......』

 

 戦闘に集中するためにウツギが途中で無線を切ったその時だった。

 

「ウツギ!危ねぇっ!!」

 

「何っ!?」

 

 摩耶の言葉にとっさにウツギが砲を盾替わりにして身を守る。するとウツギが左手に持っていた砲が腕に固定するためのベルト部分を除いて吹き飛んだ。なんて威力だ......これを曙は食らったのか......ウツギはレ級の砲撃の威力に戦慄しながら、しかしすぐに思考を切り替えて背中に背負う暁の艤装に取り付けていた盾付きの連装砲を持つ。

 さて、陸奥はどういう改造を施したのだろうか。ウツギが取り出した砲を持ってこれを改造した人物の顔を頭に浮かべながら引き金を引く。ズガガッ! という音が響き砲から砲弾が三連射される。

 

(三点バーストか、なるほど。しかし反動が大きいな。) 

 

 もう数分ほど砲を連射しっぱなしのせいで痺れる手に顔をしかめながら、ウツギが体にムチをうちだましだまし砲撃戦に参加する。隣に居る摩耶とアザミの顔にも汗が浮かんでおり、特に摩耶はかなり苦しそうな顔をしている。ウツギが右手に持っていた砲の弾が切れたため予備弾倉から弾を補充しようとしたとき、いきなり摩耶がレ級に向かって突撃し始めた。

 

「クソがっ!至近弾で沈めてやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「摩耶!駄目だ、すぐに戻れ!!」

 

 摩耶が一人だけ突進し始めると、引き撃ちを続けていたレ級が一転してニヤニヤしながら摩耶に向かって進んでくる。こんな事をされたら摩耶に当たってしまうかもしれないから撃てないな......、フレンドリーファイアを起こしてしまう危険があるためとウツギとアザミが砲撃を一旦中止する。

 

「でえぇぇい!!」

 

「......っ♪」

 

 どんどん距離が詰まってくるレ級に何度も摩耶が砲弾を当てる。しかし......摩耶に表現させれば、薄気味悪いことに、何発も砲弾を当てられて体のあちこちから血を流すレ級の狂気的な笑顔が段々と濃くなっているような気がした。しかも何故かレ級はこっちに向かってくるようになってから砲撃をやめてノーガードで突っ込んでくる。

 

(気持ちの悪い野郎が......!)

 

 摩耶が心のなかで愚痴を言ったとき、もう目の前といってもいいぐらいの距離まで近づいてきたレ級が自分に向かって殴りかかってくる。ウツギは駄目だと言っていた、でもこれを避けて後ろに回り込めれば!そう考えた摩耶が風をきる音を出しながら繰り出されたレ級の拳を体を捻って避ける。

 

(ここだっ!!このまま後ろに......!)

 

 全体重を掛けて殴りかかってきたレ級が、自分のパンチが不発に終わり、そのまま前のめりによろける。すかさずレ級の後ろに摩耶が回り込んで至近距離で砲撃を当てる。

 

 

 

 はずだった。

 

 

 

 「レ級が自分の前に居ない」。おかしい。自分はいま確かにあいつの攻撃を避けてそのまま後ろに回り込んだ。おかしい。あいつはどこに行った。摩耶の頭の中で警報が鳴り響く。駄目だ、すぐに体を翻してあいつを探さないと。

 

 

 

 瞬間、摩耶は背中からレ級の砲撃の直撃を受けてウツギたちのほうへ吹き飛ばされた。

 

 

 

「あっ......がっ......」

 

「摩耶!!大丈夫か?」

 

 吹き飛ばされたきた摩耶を、とても自分で動けるような状態ではないと判断したウツギが担ぐ。

 摩耶がレ級の後ろに回り込もうとしたとき、レ級が足で水面を蹴って、回り込もうとした摩耶の更に後ろに回り、そしてそのまま背中を見せた摩耶に背中のリュックサックのようなものから取り出した魚雷を叩きつけて吹き飛ばした。摩耶は自分がなにをされたかまったく解っていなかったが、ウツギはそうやってレ級に吹き飛ばされた摩耶を後ろから見ていた。

 

「ごめん......ウツギ...」

 

「心配するな。すぐに撤退する」

 

「そう簡単に逃がすと思っているのか?おめでたいな」

 

 逃げよう、と言ったウツギにレ級が傷だらけの体で......しかし相変わらずの笑顔で言ってくる。二対一、しかも自分は怪我人を背負った状態......そして相手は手練れの艦娘をいとも簡単に重傷まで追い込めるレ級。逃げ切れるか...?そうウツギが思ったときだった。

 

 ウツギとアザミの後方から、レ級に向かって砲撃が飛んでくる。誰だ、他の分隊の艦娘か?後ろを向いたウツギの目に入ったのは

 

 

 

 

「こちらパープルフィアー、援護しまス」

 

 

 

 

 あの足がない艦娘(春雨)だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 

レ級の一撃により重傷を負った摩耶、

戦力差が広がり絶対絶命かと思われたウツギたちのもとへ、

春雨がたった一人で援護に来た。

そしてウツギは、「紫色の恐怖」を目にすることになる。

 

 次回「コードネーム・パープルフィアー」 ターゲット、ロック・オン。




難産でした......あぁ疲れた
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