資源再利用艦隊 フィフス・シエラ   作:オラクルMk-II

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大変お待たせ致しました。高雄と神風についての説明回でござ!


汚濁再び

 

 

 

「あ~あ~めんどくせぇ~ッス......録り貯めたドラマ観ながら優雅に過ごす予定だったのに......。ったく、アウトエリア27、ッスか。また行くことになるとは思わなかったッス」

 

「黙れ......任務......集中......」

 

「へいへい。ったくアザミはうるせぇッス」

 

 同日のまた同じく昼。佐伯の頼みで高雄を連れて二人が潜伏していた隠れ家に行ってくれ、と、何時かに球磨たちの救援のために行ったエリア27へと向かっていたシエラ隊。小雨混じりの海の上で、特に意味もなく愚痴を垂れながら、前に行ったことのある場所へのコメントをして、どこか遠足気分で浮かれているツユクサにアザミが凄む。

 ウツギ、ツユクサ、アザミ、漣、天龍に、目的地への案内役の高雄、と、高雄を除けば結成されたばかりの頃と同じ編成ということにウツギが懐かしさのような物を感じていると、前を進んでいた武装を解除されている高雄が口を開く。なんで自分は縛られていないのか、という話だった。

 

「あの......すいません」

 

「どうした?高雄」

 

「拘束なしで良いの?」

 

「あっ、ちょっとそれ漣も気になってた!」

 

「縛られたいなら縛るが」

 

「漣......佐伯さんの話聞いてたのか?......ステゴロで、しかも5対1で逃げられるワケ無いだろ、っつー上の判断ですってよ」

 

 ウツギの反応に補足しての天龍の発言に「それもそうね」と言って高雄が引き下がる。

 それにしても。田中を殺すために船を襲った、か。高雄と神風はいったいどこでその情報を手に入れたのだろうか。隠れ家とやらで電波ジャックでもやっていたのか?

 暁の艤装は各部が破損し、部品の疲労も溜まっていたため修理とメンテナンスが必要だから、と夕張に言われ、今回は軽巡「長良」の艤装を装備していたウツギが思案に更ける。

 そんなウツギの後ろを付いてきていた天龍が先頭の高雄に話し掛ける。話題は「鎮守府務めの時はどうだったのか」だ。

 

「あの、高雄?さんだったっけ。艦娘だったときはどんな感じで?」

 

「どんな感じと言われても......普通だったけど」

 

「いやぁ、その......刀を使う重巡なんてあんまり聞かないな~......なんて」

 

「貴女も剣持ってるじゃない。そんなに変?」

 

「え?えと、俺のは飾りみたいなモンだし」

 

 あまり昔の事は言いたくないのかどこか機嫌が悪そうな高雄を相手に、弱気な天龍の発言にウツギが突っ込む。

 

「飾り?装甲空母姫の時にちゃんと使ってたじゃないか」

 

「いやさ、あんとき結構俺怖かったんだよね。コレまともに使ったの初めてだったし」

 

「刺しっぱなしで腐らせるよりは全然良いじゃないか。道具は使ってこそだ」

 

「......良いこと言うのね。でも、私も剣術は全然。神風さんのほうが......」

 

 高雄の言葉でウツギは、若葉が為す術もなくやられてしまった神風のあの恐ろしい刀捌きを思い出す。

 確かにあのレベルの剣術に敵う奴は、素人の自分から見てもそうは居ないとは思った。またあんなのを相手にするのまっぴら御免だ。

 そんなことを考えていた時。ウツギが胸に付けていた無線機から声が届いてくる。声の主は先行して敵を殲滅しながら同じくエリア27に向かっていた艦娘、佐伯の指揮する部隊の航空戦艦「日向」だ。

 

『目的地に着いた。あとどれぐらいで着きそうだ?』

 

「予定通りなら五分ほど......島は既に見えています。道を開いてくれたこと、ありがとうございます」

 

『この程度の仕事で礼はいらないよ。......高雄は暴れたりしていないか?』

 

「大人しいですよ。特に問題は今のところ......」

 

『そうか。島に一ヶ所しかない砂浜に居る。そこで待ち合わせだ』

 

「解りました。切ります」

 

 無線のスイッチを切り、作業着の胸ポケットに仕舞いウツギが前に居た高雄に声をかける。

 

「言い忘れていたが島に先行した部隊が待っている。何か問題は?」

 

「え?えと、別にないですが......」

 

「......そうか。島に着いた後も案内頼む」

 

「了解です」

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

「そうか。島に一ヶ所しかない砂浜に居る。そこで待ち合わせだ」

 

「......返事はなんと?」

 

「予定通りにここに着くとさ。噂通り、見た目は変だが中身は普通の真面目な艦娘だ。問題もないだろうさ」

 

「...そう」

 

「............知ってるか。加賀」

 

「......はい?何ですか突然。それに何がですか?」

 

「おっと、言葉が足りなかった」

 

 ウツギへの連絡を終えて、先に島に到着していた日向が同じく先に島に着いていた部隊メンバーの、特に仲の良い空母の艦娘の「加賀」に暇潰しの話題を振る。

 

「例の神風と......高雄の話さ。......まだ舞鶴が生きてた頃に。それはそれはつよ~い、下手をすれば大本営の艦娘よりも強い艦娘が二人居たという......」

 

「......それがあの二人なの?見たところ普通の駆逐艦と深海棲艦だったけど」

 

 加賀が背中に弓を仕舞いながら、興味が無さそうな無表情で続ける。

 

「で。それで話は終わりなの。日向」

 

「もう少し時間をくれ。あの二人には通り名があってな。それを知ってるか、と聞いたんだ」

 

「知らないわ。あそこが無くなって確か十年。私は建造されて五年。詳しいことなんて全然」

 

「そう......悪かった。無駄話に付き合ってもらって」

 

 「知らない」と言った途端になんだかしょんぼりしだした日向を見て、罪悪感を感じた加賀が「続きを聞かせて」と日向に言う。よりも先に日向が喋りだす。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 ここから先は独り言だ。適当に聞き流してくれ。

 

 「(わだち)の通り魔」と「蒼いかまいたち」。人間から艦娘になった同期であの神風と高雄を知らない奴はまず居ない。

 

 始めはただのウワサだった。基本的に砲撃で戦う艦娘だが、腰に刺した刀一本でどんな艦種の敵でも切り伏せる艦娘が舞鶴に二人居る。

 話を聞いたばかりの時は思ったよ。そんなバカな話があるか。刀なんぞただの飾りだ、そんなことをしようものなら近づく前に敵に撃ち殺されるだろう。

 

 だが見てしまった。

 

 昔の大規模作戦で、先行していた舞鶴から救援を受け取って、援護しに行った時の事だ。やけに敵の数が少なくて不振に思っていたら戦艦のバラバラ死体が海に浮かんでいたんだ。刃物でなければ再現できない、砲撃なんかじゃ作れない野菜のブツ切りみたいな死体さ。

 

 まさか。あのウワサは本当だった?そんな事があるはずが。そんな考えは直ぐに消えた。その死体から目を離した目線の遠く先には......

 

 軽く百は越えそうな深海棲艦相手に「刀と脇差しの二刀で斬殺死体を量産する着物の艦娘」と「当たり前のように野太刀で砲弾を弾き返す青い服の艦娘」が居たのさ。離れていたのに、やけに鮮明に見えたのを覚えている。

 

 

 味方の作った航跡の上に立ち塞がって、追い掛けてきた相手を片端から斬り殺して生ゴミに変えて行くから「轍の通り魔」。

 

 着ていた服の色が残像を描くような動きで、神風が討ち漏らした敵をその大きな太刀でまとめて両断するから「蒼いかまいたち」。

 

 

 後から聞いた二人の通り名の由来さ。

 

 名前負けするどころかそれよりも恐ろしい奴だと思ったよ。あの二人は。

 

 

「......随分詳しいのね。あの二人について」

 

「まあ、な」

 

 一通り喋った日向に加賀が言う。その言葉を聞いた日向は腰に携えた刀の鞘を撫でながら、口を開いた

 

 

 

「「これ」を持っている全ての艦娘の憧れ。そんな存在だったのさ。あの二人は」

 

 

 

 日向他、島に先に到着していた艦娘たちの視線の先には、約束通りぴったり五分後にやって来た、ウツギ達の先頭に立って海を進んでいたネ級の高雄の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

高雄の案内で、彼女と神風が根城にしていたアジトへと向かう艦娘たち。

そこで彼女らは二人の仲間のもう一人の艦娘と会う。

そしてその場所で語られる田中の正体とは。

 

 次回「リトリビューション」 殺す。斬る。潰す。それだけを考えて生きてきた。

 




やっと利き腕が自由に動かせるようになりました。
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