資源再利用艦隊 フィフス・シエラ   作:オラクルMk-II

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大変お待たせしました。
投下と同時に投票の結果発表です。

・同率→ウツギ、響、春雨、城島提督
 北海道編の人人気やな......

・一位→RD(装甲空母姫)
 砲雷撃や艦載機なぞなんのその。多対一でガン=カタしまくるのがウケたのでしょうか。堂々の一位です。まさかこんな人気があるとは......

では本編どぞ。


解体(終)

 

 

『何をやっている!たかが姫級が一匹だぞ!?』

 

「し、しかし」

 

「..................」

 

「っ!!くっ、来るな......」

 

 いかに手練れと言えど......動揺が広まった状態で統率のとれた動きはできまい......今のうちに数を減らすか。

 RD十八番の砲弾切り払いを目にしたせいで、敵部隊の完璧な連携行動に隙ができ、すかさずRDがそこを突いて次々と動きが甘くなった艦娘の肩や足を剣で刺し行動不能にして回る。

 

「撃て、撃ちまくれ!必ず死ぬはずだ!生物ならば!」

 

『数はお前らのほうが上だ!包囲して蜂の巣にしろ!』

 

「...............」

 

 いちいち喋らないと動けないのか。ピーチクパーチクうるさいやつらだ。

 少しずつ自分を取り囲み、四方から砲弾を飛ばしてくる艦娘達へ。恐怖よりも「面倒」という感情を抱きながら、RDは至って冷静そうに、出来て当然と言わんばかりに真顔で砲弾を剣で弾き、動きを止めた敵を刺して回る。

 ふと、後ろから誰かが近付いてくる気配を察知し、RDは袖が焦げてボロボロになったスーツの上を脱ぎ捨てる。そして予想通りに不意打ちを掛けようとしていた艦娘が背後に居て、その顔に布が被さったのを確認して彼女の両足の筋を剣で割く。

 

「あぁっがっ......!?」

 

「悪く思うな」

 

 恨むなら自分の上司を恨むんだ。

 そんなことを考えながら、数分間続けたこの作業が少し面倒になってきたRDは何かを思い付いて、今両足を刺して身動きを取れなくした艦娘の肩を掴んで立ち上がらせ、首筋に西洋刀を突き付けながら、敵の大群へ向かってこんなことを提案した。

 

「いかがですか。富川中佐。これ以上は時間の無駄だと思いますが」

 

『構わん!やれ!』

 

「「「了解!」」」

 

「............なるほど」

 

 味方ごと殺す事もいとわない、か。

 ため息をつきながら、RDは素早く拘束していた艦娘を開放し、どういうわけか彼女を背中に乗せ、口を開いた。

 

「えっ.........?」

 

「しっかり掴まってろ。こんな所で死ぬ必要は無い」

 

 背中の艦娘に笑顔でそう言うと、忠告通りに彼女が腕に力を入れる感触が伝わり、準備が出来たRDは人間一人を背負った状態で、先程と何ら変わらないパフォーマンスを相手に見せつける。が......

 20から先は数えていないが......あと100は居るな。殺さずに済むのは半分が限界だろうか。

 流石は海軍お抱えの精鋭と言うべきか。少しずつ自分の動きに対応し始めるブルーショルダー隊の艦娘と相対しながら、RDが考える。

 

「..................」

 

 右に10。前に30ほど。囲まれている事を考えると、十字砲火の後に後ろから更に十字に狙撃してきそうだ。背中からの物をこいつを背負ったまま弾き返せるだろうか?

 「荷物」で相手の砲撃から剣でカバーできる範囲が狭まったことを、RDが考えながらライトアップされた海上を立ち回る。

 不味いな。防御に回る時間が増えてきている。早く決着を着けねば。苛烈になってきた攻撃の最中に。RDは自分の背中から何かの反動の感触を感じとる。

 ........この子が手伝ってくれている?

 背負っていた艦娘の砲から煙が上がっているのを確認し、RDが彼女へ話し掛ける。

 

「......良いのか。味方だろう」

 

「死にたくないだけです。貴女を助ければ私の生存率は上がると見ました」

 

「現金だな。でも........」

 

 

「気に入った」

 

 

 周りが全て自分の敵だというのに、冷静かつ打算的に判断を下して加勢してきた背中の艦娘に短く返事をして、RDが少し口角を上げた表情になる。

 このまま短期決戦だ......。それにもうすぐあいつらも......。RDが滑らかな動きで剣を振っていると、背中の艦娘が口を開く。

 

「どうせこのあとは裁判にかけられて解体されて牢屋です。なら、せめて悔いがないように暴れてやります」

 

「......悲壮感たっぷりのコメントの割には楽しそうじゃないか」

 

「楽しいわけが。一周回って笑ってるだけです」

 

「............そうだな。じゃあこうする。お互い無事生き残ったら良い弁護士を紹介しよう。限界まで刑は軽くするよう手配する。こう見えて私は偉いんでね」

 

「本当に勝てると思ってるんですか」

 

「勝てるさ。負けると思わなければ」

 

 過酷な状況下で時間が経つほどに、火が入ったせいで消耗するどころかますます動きが洗練されていくRDに恐怖と格の違いを感じて顔色が悪くなっていく相手とは対照的に、薄い笑顔を浮かべて楽しそうに艦娘とお喋りをしながらRDが海上を滑る。

 そんな時。RDを取り囲んでいた艦娘達の背後から、拡声器越しの老人の声が響いてくる。それを聞いたRDはニヤリと笑い、ブルーショルダーの面々は更に顔が白くなった。

 

 

『全艦、直ちに攻撃を中止せよ!』

 

 

「.........やっと来たか。遅いんだよ」

 

 砲弾の雨が止んだ海の上で、RDはズボンに入れっぱなしにしていた無線機のスイッチを押し、口を開いた。

 

「時間がかかったじゃないか」

 

『悪い。RD』

 

「本当だ。死ぬかと思ったぞ」

 

『もう大丈夫だ。アザミと蹴翠提督も帰って、重要参考人も四人ほど着いてきた。富川はもう刑務所から出られんだろうさ』

 

「その言葉を待っていた」

 

 海軍元帥の声が聞こえてきた方向を見ながら、無線機から流れてくるウツギの声を聞いて、RDが頬を緩める。

 気を緩めた表情を浮かべるRDを見て、状況がよくわからなかった、彼女に背負われていた艦娘がRDに質問をする。

 

「終わった......ですか?」

 

「あぁ。約束は守る。顧問の弁護士を紹介するよ」

 

「......実感が沸きません。みんな黙りコクっちゃって......夢みたい」

 

「夢じゃないよ......生きてて良かったじゃないか」

 

 ふうぅぅぅ、とため息をついて体重をかけてくる艦娘にそう言ったあと。スピーカーとカメラを持っていたブルーショルダーの艦娘へ、RDが言う。

 

「まだやりますか。富川大佐......元帥に喧嘩を売る度胸があるならば......ですが」

 

 右肩が青い服の艦娘のスピーカーからは、男の唸り声しか聞こえてこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったのか。裁判お疲れさま、アザミ」

 

「..................」

 

 洋上迷彩柄の作業着姿のアザミにペットボトルの水を渡して、ウツギが労いの言葉をかける。

 

 アザミ達が泊地から派手に脱出し、RDが単独で数百の艦娘を相手取った日から数えてちょうど一週間。ウツギは自分とアザミしか居ない執務室の机に積まれた書類の一つに目を通す。

 アザミが隠し撮りした「共食い」演習の様子、そして蹴翠提督が秘密に調査してきたパラオ泊地の情報。トドメに磯風、嵐、加古が提供した数々の機密の暴露により、富川は全ての官職を剥奪されて無期懲役、ブルーショルダー隊は解体された。

 そう書かれている書類を片手に、口をへの字型に固く結んでいるアザミへ、へらへらしながらウツギが切り出す。

 

「死刑でも終身刑でもなく、無期懲役なのが不満か?」

 

「..................」

 

「そうか.........でもしょうがない。奴の部隊は軍に凄まじい恩恵を与えていたんだ。どれだけ性根が腐っていたと解ったって、二つ返事で処刑なんぞ周りが通さなかったんだろう」

 

「..................」

 

 .........話題を変えるか。

 自分の言葉に、ただ無言で頷くだけだったアザミに、悪かったと思いウツギが話を切り換える。

 

「蹴翠提督はどうだった」

 

「......優しい......人」

 

「だろうな。敵も助けようとしたんだって?」

 

「うン」

 

 本当なら......立派な人だ。そういうやつばかりなら世の中楽だけど。

 今回の騒動のきっかけになった富川と、第三鎮守府を取り仕切っていた濁った目をしていた天龍のことを思い出しながら、ウツギはお茶を飲みながら別の書類に手を延ばす。蹴翠提督についての資料だ。

 変身、読心術、金縛り、戦闘技能......まだあるらしい能力。これは自分も悪さは働けないな、こんなのが来たらあっという間にしょっぴかれる、などとウツギが冗談で考えていると、部屋の扉をノックして春雨が入ってくる。

 

「失礼しまス」

 

「どうかしたか」

 

 浮かべていた笑顔が、どことなく愛想笑いのような無理に作ったものに見えたのでウツギが聞くと、春雨がひきつった笑いを浮かべたまま話す。

 

「その......新しく配属される人達ガ......」

 

「......犯罪者でも来るのか?」

 

「間違いのような合っているようナ......あはハ......」

 

 ......どういうことだろうか。春雨の発言に心なしか渋い顔をしたような気がするアザミを尻目に、ウツギが新しく配属されてきたという三人の艦娘を案内するように春雨に言う。

 数分後。部屋に入ってきた三人の艦娘を見て、ウツギはアザミと春雨が焦っていた理由を知った。

 

 

「今日から世話になる。磯風だ」

 

「嵐」

 

「加古ってんだ」

 

「...............初めまして」

 

 頼もしい以上にとんでもない問題児らしいのが三人もか.........余計な仕事がまた増えるかも。

 今日は別の仕事で深尾が鎮守府を空けており、自分が臨時の提督だと言うことを説明しながら。気持ちが悪いほどの満面の笑顔でアザミを見ている三人を見て、ウツギは軽い頭痛を覚えた。

 

 

 

 

 

 




はい、コラボ偏最終話でした。
最終回詐欺で始まった章でしたが、これで本当に終わりになります。(コラボ依頼とか来たらまた再開するかもしれません)
稚拙な文章を垂れ流していた作者ですが、いままで閲覧、感想、ご愛読頂き本当にありがとうございました。


オマケ


前話でRDのスーツの胸に付いているマークです。

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