~~~車内~~~
アル「いや~、忙しい時にわざわざ迎えの車なんかさせちまって、なんか悪いな。」
「何言ってるんですか。社長直々の頼みですから。そこは、喜んで足になりますよ。」
アルベルトは、社員でもある運転手と楽しそうに和気あいあいと話していた。
そんな二人を他所に、一夏はずっと浮かないかおをしていた。
その理由が何なのかわかっているアルベルトは、あえてなにも聞かずにいた。
「そう言えば社長、またボーナスがはいってましたよ。俺達社員は言いましたよね?ボーナスはいらないですから、その金をマイルナさんの為に使って下さいって。」
アル「良いって良いって。俺からすれば、そんなのははした金だ。あっても無くても変わらんよ。」
すると一夏は、決心したのかアルベルトの法を向いた。
一夏「アルさん、言いたい事があるんですけど。」
アル「俺の答えは却下だが、聞くだけ聞いておく。」
一夏「俺をアルさんの会社で働かせて下さい!」
アル「はあ・・・どうせそうだと思ったがよ。理由を言ってみろ。」
一夏「俺は今日、裏社会の事情を知ってしまった。知ったからには、改善していきたいんだ!
俺だって、平和の為に役に立ちたいんだ!その為にも、アルさんの会社に入らなければ・・・」
言い終わる前に、アルベルトは一夏にデコピンをした。
アル「お前がどう思おうとも、何をしようとも変わらん。それに、お前には資格がない。」
一夏「そんな!俺だって最近は体力もついてきたし、ISの操縦も様になって来てるんですよ!」
アル「だったら、そのISであそこのおっさんを殺してみろ?」
そう言って指差した先には、ベンチで一休みしているおっさんがいた。
そんな事一夏には出来るはずもなく、ただ下を向いていた。
アル「俺らの仕事はこんなんばっかだ。このロゼットだって、お前と同い年だが既にそこそこの数をすましてる。
お前みたいな熱血正義が通用するほど、常識の世界じゃ無いんだよ。」
アルベルトはそう言うと、なぜか衝撃に備える体勢に入っていた。
アル「だがまぁ、お前がほんきだったら、幸太郎の右腕に推薦してやるよ。」
すると車は、急ブレーキがかかり一夏は助手席に大きく体をぶつけてしまった。
ロゼット「どういう事ですか社長!!兄貴の側近には俺を推薦してくれるんじゃ無かったんですか!
それなのに、こんな人の血の色も知らない様な青臭いガキだなんて、いくら社長でも兄貴に失礼ですよ!!」
一夏「イッタ・・・急に何なんだよ。それに、兄貴って幸太郎さんの事ですよね?それってどういう事なんですか。」
アル「ロゼットは幼い頃から、幸太郎や松陽さんの世話になっててな。その頃から幸太郎を兄のように慕ってるんだよ。
それより、早く車出せよ。」
アルベルトがそう言うと、ロゼットは納得していなかったがとりあえず車を走り出させた。
車内には言葉に出来ない不穏な空気が流れていたが、事の発端であるアルベルトは我関せずな態度をしていた。
~~~学園前~~~
アル「さて、やっとついたか。思ったよりも長かったな。」
そう言ってアルベルトは、さっさと学園に向かって歩き出した。
一夏も後を追おうとしたが、ロゼットに肩を強く捕まれた。
ロゼット「お前が社長や兄貴と仲が良いのは聞いている。でもな、兄貴の側に立って兄貴を護ってくのは、俺の役目だ!
お前みたいな野郎には、荷が重すぎるんだよ!!」
ロゼットの言いたい事はわかっているが、なぜか一夏は引こうとは思わなかった。
一夏「そうかもな。でも、俺にだって護りたい正義があるんだ。その為だったら俺は、どんな事だろうが引く気は全くない!」
ロゼット「そうかよ。まぁ精々無駄に足掻くんだな。いずれ、自分が浅はかだって知るんだからな。」
そう言ってロゼットは、車に乗り込んでいった。
意外な所でライバル出現ですかね?
幸太郎が兄貴だなんて、なんだか違和感があるような。
ロゼットが運転出来ているのは、アルベルトの会社の影響力のお陰と思ってください。
一夏と同い年なら、車の免許取れないですが。