その日の夜、一夏は憂鬱な気分になりながら廊下を歩いていた。
目的地は、千冬の所である。
~~~回想~~~
アル「そうだ一夏。おまえが本気かどうかは別にして、さっきの事は千冬に言っておけ。」
一夏「千冬姉に!?でも、そしたら心配かけちゃうかもしれないし。」
アル「それがお前にとって、最初の難関でもある。それに始めに言っておく。」
アル「お前は他人の為に動ける男だが、動かせる人間じゃない。それだけは心に刻んでおけ。」
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一夏(はぁ・・・。今から千冬姉の所か、気が滅入るな。それにアルさんの言ってた事って、どういう意味だったんだよ?)
そうこう考えている内に、千冬の部屋の前まで来ていた。
そしてドアのまえで大きく深呼吸をして、ドアをノックした。
一夏「千冬姉、ちょっと良いかな?どうしても話したい事があるんだ。」
千冬「こんな遅くになんだ?まぁカギは開いている。入ってこい。」
千冬にそう言われ、一夏はゆっくりとドアを開けて中へと入っていった。
千冬「それで、話ってなんなんだ?こんな時間に来るくらいだから、相当な内容なんだろうな?」
一夏は、今日の出来事全て、そして今の自分の心境を千冬に話した。
話を聞いた千冬は、少しため息を吐いた後に咳をひとつすると、一夏の眼をじっと見つめた。
千冬「お前の言いたいこと、考えている事は良くわかった。だが、アルさんが言った様に、お前には素質というか・・・、センスは全く無いと思う。」
千冬にそう言われ、一夏は下を向いた。
もしかしたら、千冬なら自分の考えを肯定してくれると思っていたからだ。
だが、やはり自分には無茶な夢だったのかと一夏は感じていた。
千冬「それでも、お前が本気で叶えたいのなら私は全力で応援したいし、私に出来る事があるなら全力でサポートする。お前にその覚悟と、やり抜く信念があるのか一夏?」
一夏「確かに今までの俺の人生は、流されてばかりだった。亡国機業に誘拐された事、IS学園に入ったこと、裏社会を知ったこと、全部他人の力だった。
でも、この夢だけは自分が決めたんだ!誰に言われた訳でも無い!自分自身の揺るぎない信念なんだ!」
一夏の目には、例えどんな事があろうと変わらない強い想いを感じる事が出来た。
千冬「ふっ、いっちょまえな事を言える様になったんだな。なら私はもう何も言わん。お前の進みたい道を進んでいけ。」
一夏「うん、わかったよ千冬姉!それじゃあ!」
そう言って一夏は、部屋から出ていった。
千冬「ハァッ・・・ついこの前まで、千冬姉、千冬姉と自分では何も出来ない子供だったのにな。
いざ一人立ちされると、寂しいものだな。」
アル「それが成長ってもんだせ?それを感じたんなら、お前も成長出来たって事だ。
お前だってリズと結婚する身だ。何時までも一夏に構ってる事も出来んぞ。」
千冬「聞いてたんですかアルさん。でも、そうかも知れませんね。私自身も一夏に少し依存してたのかも知れません。」
千冬がそう言うと、アルは微笑ましそうにしていた。
これで後は、一夏の努力しだいですね。
これからどなることやら。
まぁ、一夏なら善くも悪くも頑張れると思いますけど。