アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第103話

一夏とロゼットは、アルベルトに連れられて寿家に来ていた。

 

アル「お前らに初仕事だ。ここにある手紙は、寿家と契約したい連中や、幸太郎と面会したい連中が送ってきた手紙だ。

最終チェックはこっちでするが、それを選別してくれ。」

 

そう言ってアルベルトは、へやから出ていった。

 

一夏(まったく、ついてこいって言ったと思ったら、こんな難しい事を頼んで来るなんてな。しかも、ロゼットと二人きりだなんて、気まずくて仕方がねぇな。)

 

そう言いながらも一夏は、近くに置いてあった手紙を数枚ほど手に取った。

その手紙の送り主は、一夏でも知っている程の世界各国の著名人や、政治家等々のビックネームだった。

 

一夏(すげぇな。さすがは寿家って事か。でもスゴすぎて俺には何を選別すれば良いのかわかんねぇや。

そういえばロゼットは、どう選別してるんだろう?)

 

そう思い一夏は、選別に取りかかろうとしているロゼットを見てみた。

 

するとロゼットは、手に取った手紙を読む事なく、何の躊躇いもなく真っ二つに破り始めた。

 

そして何枚も続けて破っていたロゼットを、慌てて一夏は止めに入った。

 

一夏「おい!アルさんが俺達に頼んだのは、手紙の選別だぞ!それをこんな風にするなんて、何を考えてるんだよ!」

 

ロゼット「お前こそ何を言ってるんだ?俺は社長に言われた通りにしてる。兄貴に直接出向いて来ない時点で面会だなんて、虫酸が走る。それに、何を気安く俺に指図してんだよ。」

 

一夏「指図したつもりは無い。それにお前だって幸太郎さんの為に働くのなら、少しは考えて行動しなきゃ!」

 

するとロゼットは、一夏が言い終わるか否かのタイミングで一夏の胸ぐらを掴んだ。

かつてラウラにも敵意を向けられたが、それとは比べ物にならないほどロゼットからは敵意だけではなく殺意がかんじられた。

 

ロゼット「お前に何がわかる・・・。お前たちの様に恵まれた環境で育ってきた連中に俺の何がわかる!」

 

そう言ってロゼットは、一夏を殴ろうと拳を振りかざした。

 

アル「ロゼット!!拳を納めろ。そして一夏の胸ぐらから手を離せ。」

 

扉を開けて入ってきたアルベルトにそう言われ、ロゼットは舌打ちをしながら一夏から離れた。

 

ロゼット「チッ!邪魔が入ったか。じゃあ社長、少しずつ頭を冷やしてきますよ!」

 

ロゼットは乱暴に扉を閉めながら出ていった。

 

アル「すまんな一夏。お前と二人にすればこうなるのは必須だったんだかな。はぁ・・・これじゃあ先が思いやられるな。」

 

一夏「アルさん、一つ聞いても良いですか?なんでロゼットはあそこまでピリピリしてたんですか。」

 

アル「この際だ。お前には話しておくか。あいつは望まれて産まれた子じゃなかった。

両親には常に虐待されて、物心つく前から見も心もボロボロだった。」

 

アル「そんなある日、ふとしたタイミングで両親を刺し殺してしまった。当然ガキだったあいつは大きな罪には問われなかったが、それ以来親戚にはたらい回しにされあいつは孤独になっていた。」

 

アル「だから、両親の愛を受け大きな苦労がなかったお前らが疎ましく、眩しくてしょうがないんだよ。

奈々さんを失い、自身も沢山苦しい思いをしながらも周りに希望を抱かしてくれる幸太郎が眩しすぎて、あいつは幸太郎という巨大な火に身を焦がそうと願う一匹の虫なんだよ。」




皆様お久しぶりです。仕事が忙しくて、中々更新出来ませんでした。

一夏とロゼットは、険悪なムード全快ですね。
アルが止めて無ければ、どうなっていたことか。

確かに、私からも幸太郎は眩しく輝いてます。
ロゼットの気持ちはわかりますね。

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