アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第105話

ロゼット「まったく、あいつと話してるとイライラしてくるぜ。」

 

ロゼットは、中庭のベンチに腰掛けながら貧乏揺すりをしていた。そんなロゼットの後ろに、一人の人間が近づいていた。

 

桜華「誰かと思ったら、ロゼットじゃないの。こんな所で黄昏て。もしかして、また屋敷の人間と喧嘩でもしたんでしょ?

あなたは昔から、喧嘩っ早いんだから。」

 

優しい声をかけながら、桜華はロゼットの右肩を優しく手を置いた。

 

それによりロゼットは、後ろを振り向き少し恥ずかしそうにして、少し小さなため息を吐いた。

 

ロゼット「そんな事言っておいて、本当は誰と喧嘩したのか桜華さんなら全てお見通しなんでしょ?俺ももう、子供じゃ無いんですから普通に言っても平気ですよ。」

 

桜華「そう?なら遠慮せずに言うわ。私はどうも思わないけど、あの子は宗ちゃんが気に入ったんだから、悪い子じゃないと思うわ。それなのに、何が気に入らないの?」

 

桜華の質問に、ロゼットはなぜか嬉しそうに笑っていた。

 

ロゼット「どうも思わないか・・・。やっぱり、寿に惹かれる人間は、どこか無慈悲で恐ろしいんだな。」

 

ロゼット「理由は簡単ですよ。俺は、若い日のあなたと同じです。自分の全てを捧げようも決めた人間の為に、その人を慕う全ての人間の中で一番になりたいだけですよ。兄貴は、幸太郎様は俺の全て。俺の生きる希望であり、目的であり、死ぬための道しるべです。俺なら幸太郎様に全てを捧げる事が出来る・・・いや、俺にしか出来ない事なんです!」

 

ロゼット「俺がやらなければいけない!俺だけが幸太郎様のお側で朽ち果ていく使命がある!

俺よりも覚悟が劣る人間に、その立場は絶対に譲らない。譲ってはいけないんだ!それが一番の幸太郎様への、幸太郎様の人生への侮辱なんだ!」

 

ロゼット「幸太郎様を慕う人間の数は、計り知れない。だが、そのほとんどが、幸太郎様の権力が目的。幸太郎様の本質を理解してはいない。だから俺なんだ!俺しかいないんだ!」

 

ロゼットの言葉を、桜華はだまって聞いていた。

 

桜華「なるほど、私と同じって言ったわよね?確かに、私と同じだわ。

あなたには、その資格は十分にあるわ。いえ、あなた以外に適任者はいないわね。」

 

ロゼット「その通りです!だからあんな一夏なんて軟弱ものが、その気になっている事が間違いなんです!あんな男には相応しくない!あんな男に俺の使命が、幸太郎様の心が奪われるのは腹立たしい!だから俺はあいつを認めない!認めるわけにはいかないんです!」




ロゼットの想いと覚悟は、並のものではありませんね。
このままでは、一夏の命までとってしまいそうな勢いです。

それほどまでに、幸太郎を慕っている証拠でもありますね。

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