リズ「なるほど、それでここ最近お兄様はバタバタしてたのですね。」
千冬「なんだ。リズも来てたのか。」
部屋に入ってきたリズリーの左手の薬指を見て、まだ慣れてないのか千冬は少し恥ずかしそうにしていた。
アル「これで、協力者は全員出揃ったな。じゃあお前たち、見当を祈っているぞ。」
そう言ってアルベルトは、部屋から出ていこうとした。
そんなアルベルトを、リズリーは肩を掴んで止めた。
リズ「一つ聞きたいのですが、今回の件で幸太郎様を守れた後、世界各国の要人達をどうするおつもりですかお兄様?」
アル「そんなの決まってるだろ?全世界生中継で、殺すさ。」
一夏「ちょ、殺すって!そんなのダメに決まってるでしょ!!」
アルベルトがあまりに簡単に殺すと言ったのに、一夏と千冬は驚きを隠せないでいた。
千冬「そうですよアルさん!そんな事しなくても、そのプロジェクトを白紙にすれば、解決じゃないですか。」
アル「はぁ・・・、甘い。甘いんだよ。これだから、一般的な善悪論は大嫌いなんだよ。」
そう言ってアルベルトは、スーツから1丁のピストルを取り出した。
アル「いいか?幸太郎をクズ共から守った後に必要なのは、プロジェクトを白紙にする事じゃない。
確かに、それも大切だ。白紙にすりゃあ、ある程度はクズ共を押さえる事が出来る。」
一夏「だったら、それで良いじゃないですか!」
アル「だがそれではダメだ。本当にするべき対処は、クズ共にこのプロジェクトに参加した事を後悔させること。そして、二度と俺達・・・いや違う。寿家二代目当主 寿 幸太郎に逆らわない様に。そのために、見せしめとして殺す。
当然の事だろ?それに、誰もお前たちに殺せと頼んでるんじゃねぇ。そういう作業は俺が請け負う。」
アル「持ってろ。護身用のピストルだ。一応弾は6発だ。有意義に使えよ?」
取り出したピストルを一夏の手に渡した。
アル「さて、そろそろお開きとするか。そうだ、もしかしたら政府連中からお前ら代表候補生達に帰国命令か、何かしらの圧力がかかるはずだ。
その時は、なるべく逆らわない様にしてやれ。そうすりゃ、あいつらに被害が飛び火する事は恐らく無いだろう。」
それだけ言うと、アルベルトは今度こそ部屋から出ていった。
それを皮切りに、ロゼットとリズリーも部屋から出ていった。
マイルナ「あなた達の言いたいも理解できるわ。でも、私達は幸太郎を守る事が使命なの。
そのためなら、危険な事や法を犯してまで出来る事をやるわ。」
マイルナ「それでもアルの考えを受け入れる事が出来ないなら、二人は今回の件から抜けていいわ。
今回の件で必要なのは、幸太郎を守る事もそうだけど、悪人を徹底的に罰する覚悟も必要なのよ。」
そう言ってマイルナは、二人の目を見てニッコリと笑い、部屋から出ていった。
残された二人は、お互いの顔を見合っていた。
千冬の目には覚悟が、一夏の目には迷いがあった。
当たり前のように処刑宣言。
しかも全世界生中継とは!
さすがと言いますか、なんと言いますか。
当然と言えば当然の報いでもありますがね。