料亭から出た一夏は、宗次郎が手配していた車には乗らずに歩いてIS学園に帰ることにした。
今は少しでも色々と考える時間が欲しかったのだ。
宗次郎の言葉一言一言には、予想もしていなかった重みと説得力があり相談して良かったと、一夏は心からそう思えた。
そんな一夏を狙っていたかのように、一台の車が一夏の進路を妨害し、中からいつぞや学園に来ていた役人が降りてした。
役人「これはこれは、織斑一夏様ではありませんか?私のことを覚えていますか?」
一夏「えぇ、一応は。」
正直、今までのアルベルト達の話からなるべく政府連中にはあまり関わりたくないと思っていた一夏は、露骨にいやな顔をした。
役人「おやおや?その顔は、あの計画を耳に挟んだのでしょう。ですが、今日はその事でお話があるですよ。」
そう言って役人は、一夏を車の中に案内しようとしたが一夏は拒否した。
それも想定内だったのか、役人はあまり気にしていない様子だった。
役人「あなたがどの様に聞かされたかはわかりません。ですが、私達も本当なら武力での解決は望んではいません。我々があれを狙うのは世界平和の為なのです。」
幸太郎をあれ呼ばわりする態度に嫌気がさした一夏は、迂回して別ルートで帰ろうとした。
だが、役人に肩を捕まれてしまった。
役人「もしよろしければ、あなたには我々のスパイになっていただきたいのです。そちらがわの準備段階や作戦を我々にリークし、嘘の上方を流して欲しいのです!!」
一夏「生憎だけど、俺にそんな卑劣な役目は無理だよ。他を当たってくれ。」
役人「あなたの行動で、よけいな負傷者を出さずにすむのですよ!?誰かが傷つくのは嫌なはずです。ならば、この定員は魅力的なものだと思っていますが?」
確かに、よけいな負傷者が出ないのは魅力的だった。
誰も殺さずに事が解決するのは、一夏の望みだった。
それは少し前までの一夏なら、の話だが。
一夏「今の俺は、覚悟が出来てるんだ!そっちが幸太郎さんを狙うんだったら、俺は負けない!!そんな口先だけの言葉なんかには、もう惑わされない!」
一夏の言葉に、役人の顔色が急変した。
そして一夏を力ずくで言い聞かせようとしたとき、スーツ姿の女性が役人を止めた。
アル「ナイスだナターシャ。おいクズ野郎、それ以上は止めときな。各国の要人の前におまえを殺すぞ?」
ナターシャと呼ばれた女性はそのまま役人の背中を蹴り飛ばした。
役人「くっ!お前まで来ていたのか。このばは帰らせてもらいますよ。」
そう言って役人は車に乗り込み、そのまま車を発車させた。
ナターシャ「良いのですか社長?奥様にご報告なさらなくても。」
アル「まぁ、別に良いさ。それよりも一夏。」
一夏「なんですかアルさん?」
アル「今のお前、かっこよかったぞ?すっかり覚悟が決まったみたいだな。
それじゃあ、学園に帰ったらお前には徒手格闘術を教え込む。」
一夏「徒手格闘術ですか?でもなんで?俺には白式があるんですが。」
アル「もし今みたいな状況に陥ったらどうする?それに相手はISの展開を待ってくれる程優しくない。自分の身を守るためにも必須なすぎるだよ。」
忙しい時期も終わり、これからはなるべく速く更新が出来るとおもいます。
一夏も無事に覚悟を決めましたね。
さすがはIS主人公です!