アル「明日は、学園を特別休校にして生徒達を帰宅させろ。」
職員室に入るなり、アルベルトは千冬につげた。
理由はわかっているが、あまりにも唐突な発言に唖然としていた。
千冬「ですが、いきなりそう言っても色々と準備があると思うんですが。」
アル「心配すんな。その為に海外から来てる奴や地元を離れてる奴の為に近くのホテルを買ってある。それに、学園長の許可もとってある。これで文句はないだろ?」
千冬「それなら大丈夫ですが・・・。じゃあなるべく早めに生徒達を帰らせます。」
そう言って千冬は職員室から出ていった。
~~~その夜~~~
今回の襲撃を知っている人間以外いない学園はいつもよりもひっそりとしてまるで時が止まっている様に感じていた。
そんな中一夏は、部屋で一人寝れずにいた。
一夏「はぁ、明日にはいよいよ本番か。覚悟は決めていたけど、いざとなると緊張すると言うか・・・。」
すると、部屋の扉がひらきロゼットとアルベルトが入ってきた。
ロゼット「やはり、寝れないのか。まぁ、初陣だからな。俺もそうだったしな。」
アル「起きてたんならちょうどいい。お前に渡しておきたい物があったんだよ。ほらわが社特製のスーツだ。」
アルベルトから渡されたスーツは、一見普通のスーツとは何ら変わらないスーツだった。
だが良く触ってみると、腕の部分が硬めに設計されていた。
アル「これで、頭と心臓を守っておけば、撃たれても最悪即死は免れる。俺達に必要な事は生きて仕事を遂行する事だからな。」
一夏「なるほど・・・。これに袖を通せば俺もいよいよ覚悟を固めなきゃダメなんですね。」
仕事を遂行する。その一言で、一夏は自分達がしようとしてること。これから起こることの重要さを改めて痛感した。
アル「さて、そろそろお前たちは寝た方が良い。そうだロゼット、面倒だからお前もここで寝ておけ。」
一夏「アルさんはまだ寝ないんですか?」
アル「俺はまだやることがあるからな。ここからは大人の時間って訳だ。じゃあななるべく速めに寝ておけよ。」
そう言ってアルベルトは部屋から出ていった。
寝ておけと言われたが、やはり一夏は気持ちが変に昂って眠れなかった。
ロゼット「なにやってんだ?社長も言ってた通りさっさと寝ておけ。」
一夏「ロゼット、お前はこの状況でも落ち着いて寝られるのか?」
一夏の質問に、ロゼットは何を言ってるんだ?と言わんばかりの顔をしていた。
ロゼット「当たり前だろ?俺にとっちゃ慣れた事だ。それに、最悪殺さなくて良いんなら、気兼ねなく仕事出来る。」
一夏「最悪か。やっぱりお前でも人を殺すことに躊躇いがあるんだな。」
ロゼット「まぁな。これでもまだガキだからな。出来ることなら、殺しは勘弁とおもう。だが、それでも戦わなきゃならないんだよ。それが兄貴を守る事だし。」
ロゼット「俺が進んで選んだ生き方だから。おまえもいずれ分かる日がくるさ。さもなきゃ兄貴の右腕、俺のサポートは勤まらない。」
それだけ言うとロゼットは、布団に入りすぐ寝てしまった。
一夏「選んだ生き方か・・・。確かにそうだな!俺も自分の意思でここに残ったんだ。それに、幸太郎さんの右腕は俺だからな。」
そう言って一夏も、布団に入り寝ることにした。
ロゼットにも、年相応な幼さが感じられますね。
まだ一夏と同い年ですから、子供と言えば子供ですしね。
いよいよ物語も終盤と思うと、名残惜しさ?からなかなか筆が進みません。
ある種の作者としてのジレンマですかね?