アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第12話

あの日以来、束と幸太郎との電話のやり取りは、束が暇さえあれば毎日電話をしていた。

 

と言っても、幸太郎は未だに携帯電話を所持していないので、マイルナの電話を経由してだが。

 

そんなある日の朝、幸太郎とマイルナは朝食をとるために食堂に来ていた。

 

幸太郎「やっぱり、朝だけども生徒の数は多いね。」

 

マイルナ「まぁそうでしょうね。でも、そんな些細な事は気にしなくても良いのよ。」

 

二人は席に着いて食事をしていると、一夏と箒が近づいてきた。

 

幸太郎「あれ?セシリアと鈴音は一緒じゃ無いんだね。なんだが、珍しい光景だね。」

 

一夏「それが聞いてくれよ!最近は、箒に朝早くから剣道に付き合わされてるんだよ!

おかげで、体がクタクタだよ。」

 

一夏は幸太郎に救いを求める様に、幸太郎の手をとった。

 

箒「それも、お前のだらけきった体を鍛え直す為だと、何度も説明してるだろうが。」

 

一夏「それでも、もう限界に近いんだよ。」

 

箒と一夏の痴話喧嘩を、マイルナは呆れながら見ていた。

 

マイルナ「でも、その剣道のおかげで最近貴方、随分と体力がついたじゃない?

何も悪い事ばかりじゃ無いでしょ?」

 

マイルナの発言に、一夏はぐうの音も出なかった。

 

確かにマイルナの言う通り、最近の一夏は体力と筋力が増えてきているからだ。

 

幸太郎「でも剣道か…。思い返して見れば、初めて一夏と箒に会ったのも、道場だったな。

あの時は倒れちゃったけど、出来る事なら俺も剣道をやってみたいな。ねぇマイルナさん?」

 

マイルナ「そうね。最近はデスクワークばかりで体が鈍ってるから、たまには運動も良いわね。」

 

二人がそう考えていると、一夏はふと一つの疑問が出ていた。

 

一夏「そう言えば、ずっと思ってた事なんだけど、どうして幸太郎さんはマイルナさんに対して“さん”付けなんだ?言ってしまえば、昔からの知り合いなのに?」

 

箒「確かにそうだわ。義兄さんは、どこか義姉さんにたどたどしい様な気もするわ。」

 

一夏と箒の疑問に、幸太郎はふとその理由を考えてみた。

 

幸太郎「理由ね…、考えた事も無かったよ。でもやっぱりマイルナさんは、俺の病気を治そうとしてくれてる言わば“恩人”だから、そんな馴れ馴れしい言葉遣いは出来ないよ。」

 

幸太郎はそう言ったが、マイルナの表情は優れなかった。  

 

幸太郎の言い分は良くわかっている。だが、弟だと思っている幸太郎に、そんな風に思われているのは、正直納得していないのである。

 

箒「そうだ!この際だから、義兄さんも義姉さんの事を、お姉ちゃんと呼んでみたら良いと思うわ。その方が、より親しい関係になれるはずだから。」

 

幸太郎「より親しい関係か…。そうだね、その方が良いよね!

うん、これからもよろしくねお姉ちゃん!」




今回は少し短めです。

一応時間軸は、グラス代表戦の後になってます。
あしからず。

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