アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第126話

一夏「貴方は確か、寿 秋水さん!?総理大臣がなんでここに!?それに、どうして今の時間に。」

 

秋水「質問が多いですね。時間は深く気にしないで下さい。職務に追われていて、この時間しか空いてなかっただけですよ。私もまだ就任したばかりの新米ですから。」

 

初めて秋水と対面した一夏だが、その人物像が全く読めなかった。

 

あの束と初対面した時ですら、何となくだが束の人間性を感じ取れた一夏だが、この男の目の奥は暗闇のようだった。

 

読めない相手に一夏は、恐怖と不信感から逃げたくなってしまったが、入り口は秋水に防がれている為、どうすることも出来なかった。

 

秋水「どうしました?そんなに逃げ腰になって?そうですね私がここにいる理由でしたね。

簡単ですよ。この日本も君が会長を勤める国際連盟の加盟国です。その会長が近くにいるので、少しご挨拶をとね。」

 

そう言って秋水は、握手を求めながらゆっくり一夏に近づいてきた。

まるで光の届かない底無しの暗闇が近づいて来ている感覚に襲われた一夏は、自分の前につきだされた右手を思わず払い除けてしまった。

 

その時の秋水の顔は、驚く訳でもなく、ましてや怒るわけでもない。

変わらない無表情に一夏は、嫌な汗がびっしょり出ていた。

 

一夏「ほ、本当の目的は何ですか!!失礼を承知で言います。貴方は普通じゃ無い!!俺だって、伊達にこれまで修羅場を潜ってきたわけじゃ無い。貴方からは、俺を誘拐した奴らの様な敵意も、束さんの様な他人への無関心さも、ましてや幸太郎さんの様な暖かさも無い!!貴方はいったい何者何ですか!?」

 

一夏がそう言った時、今まで無表情だった秋水がニッコリとし、高らかに笑いだした。

 

秋水「なんだ、なんだよ!!そこまでか。お前みたいなガキでも、そこまでは感じ取れるんだな!!

いや~最高だ。わざわざここまで来た甲斐があったってもんだな。」

 

突然の変わりように、一夏は困惑していた。

 

そして、今までは何も感じれない恐怖があったが、今の秋水からは単純に恐怖。

人間が原始的に感じる恐怖だけしか感じ取れなかった。

 

足が動かない一夏を見て、秋水は咳払いをした。

 

秋水「すみません。少し取り乱してしまいましたよ。本当ならもっと貴方とお話をしていたいのですが、どうやらタイムリミットみたいですね。」

 

そう言って秋水は、屋上から飛び降りていった。

 

それと入れ替わるように、屋上の扉を千冬が勢いよく開いた。

 

千冬「大丈夫か一夏!!何者かが、IS学園のセキュリティを無理やり突破して侵入した!!」

 

一夏「え、あぁあ、大丈夫だよ。」

 

秋水が飛び降りた所を覗いてみたが、暗闇だったからか既に見えなくなってしまった。

 

あのおぞましい男、寿 秋水。彼の存在は一夏の中で恐怖の象徴としてインプットされていたのだった。




掴み所が見えない所か、人間性すらわからない秋水。
これを読んでいる皆様以上に、一夏は恐怖を感じていたのでしょう。

この男は、果たして善なのか悪なのか。

関係ない話ですけど、ここ最近紹介された検索という物が有ることを知りました。
それで去年の11月に紹介をしてくださった電浪輝刃さん。この場でお礼申し上げます。
本当にありがとうございます。

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