一夏「アルさんのあの豹変ぶり、釈放された人物って一体誰なんですか?」
取りあえず、場の空気を少しでも変えようと考えた一夏はこの状況下で、最も無難な質問をしてみた。
マイルナとリズリーは、互いにアイコンタクトを送りあっていた。
そして答えが決まったのか、リズリーは深呼吸をした。
リズ「あの男は、マイルナさんの実の父親なんです。」
一夏「ま、マイルナさんの父親だって!!」
一夏と千冬は、大声を上げて驚いていた。
マイルナ「ええ、あの男は間違いなく私の父よ。私は、あの男から酷い虐待を受けてたわ。それも毎日ね。そんなある日、私はアルと出会って一目惚れをしたわ。そんな私はアルに好かれようと色々アピールしてみたけど、父親の事、そしてそんな父に虐待を受けている事を知られたく無かった私は、それ以上踏み込めなかったわ。」
マイルナ「それでも、私達は友達以上恋人未満の様な関係になれたの。そんなある日、アルはわたしの父の事を知ってしまったわ。そして父に止めるよう言ったけど、アルの言葉を聞こうとしなかった父を・・・。」
リズ「お兄様は殺そうとしたんですよ。ですが、すんでの所で逃げられてしまい、それ事態は未遂に終わりました。そしてそいつは別件で逮捕されてしまい。」
千冬「今に至ると言うわけだな。」
衝撃の事実に、一夏は何を言えば良いのかわからなかった。
そしてアルベルトの豹変ぶりは、納得できていたのだった。
一夏「で、でもその人が今何処にいるかは流石のアルさんでもわからないでしょ?
だったら、早いところこっちも何かしら手をうたないと!あの様子なら、本当に殺しちゃいそうな勢いだったし!」
その時、リズリーの携帯が鳴った。
リズ「はい、もしもし・・・!何!それは本当ですか!!それを知っている他の人は!!そうですか・・・。その件は、私が請け負いますので、こちらからの連絡をまってください!!」
リズリーは電話を切ると、勢いよく部屋から出ていった。
一夏「なにかあったんですか?まさか、もう見つかったんじゃ!!」
マイルナ「それは無いわ。もし本当に見つかったのなら、真っ先に教えてくれるはずだからね。」
~~~学園外~~~
リズ(まさか、幸太郎様が誘拐だなんて!!有り得ない!療養中の病院は一般には知られてないし、護衛が、あのロゼットがいながら!!)
するとリズリーは、ある疑問が出てきた。
リズリー(妙にタイミングが良い。お兄様の単独行動、幸太郎様の誘拐。それに、幸太郎様は今では寿家の2代目当主。こんな事が起きたのなら、ニュースに。それか裏のネットワークに流れているはず・・・。)
リズリー(護衛がロゼット・・・。知られていない誘拐情報・・・。まさか!!)
リズリー(そんなはずはない!!そんなはずはないけれども、それしか有り得ない!!私の予想が正しければ、今回の首謀者、そしてその後ろ楯は!)
マイルナの父親だったなんて!!
しかも、そんな過去があっただなんて、慌ただしく。そして幸太郎の誘拐だなんて、雲行きが怪しくなってきましたね。
そしてリズリーは、どうやら真相にたどり着いたみたいですね。秋水の後ろ楯の意外な人物とは!!