幸太郎を部屋に連れてから授業に参加した一夏は、当然授業には遅刻をしてしまった。
一夏「スミマセン遅れました!」
千冬「遅いぞ一夏!既に20分の遅刻だぞ。」
千冬からの出席簿攻撃を受けた後、一夏も授業に加わった。
だが、授業を受けている最中にも幸太郎の事が心配になり、一夏は授業の内容が頭に入ってこなかった。
そしてどこか、上の空になっていた。
千冬「おい一夏、遅刻をしておいてそんな授業料態度とは…、随分と偉くなったものだな。」
一夏「千冬姉!違うんだよ…、その…ゴメン!」
一夏はすぐに謝罪をしたが、それでも幸太郎の事が気になっていた。
そんな一夏の様子から、千冬はある程度の事情を察した。
そして授業終了後、一夏を職員室に呼んだ。
~~~職員室~~~
一夏「千冬姉、俺をわざわざ職員室に呼んで、何の用なんだよ。」
一夏はとぼけていたが、千冬には意味が無かった。
千冬「おい一夏、幸太郎の身に何かあっただろ?正直に話してくれ。」
どうしてバレたのか、一夏にはわからず焦りと混乱が襲ってきた。
それでも、あの時の幸太郎の瞳を裏切る事は、一夏には出来なかった。
一夏「何をバカな事言ってんだよ千冬姉。別に幸太郎さんに何も無かったし、俺が上の空だったのはただの疲れだよ。」
千冬は一夏の様子から、これ以上は何を言っても真実は話さないとわかった。
千冬「そうか…なら問題はない。それと、一夏。」
一夏「何だよ千冬姉?」
千冬「先生と呼べと、何度言えばわかるんだ!」
そう言って一夏に、デコピンを喰らわせた。
一夏は痛そうに、自分のオデコを押さえていた。
千冬「用はそれだけだ。さっさと戻って、次の授業の準備をしていろ。
次も遅刻したら、今度こそただではすまさんぞ。」
千冬にそう言われ、一夏は逃げる様に職員室から出ていった。
マイルナ「本当に、姉弟そろって頑固者ね織斑姉弟は。」
一夏が出ていったのを計らって、一夏と千冬のやり取りを見ていたマイルナがよってきた。
千冬「マイルナさん、一夏が隠している事って…。」
マイルナ「えぇ、貴方の考えている通りの可能性が高いわ。
多分幸太郎自身が、自分の病状の悪化に気づいたんでしょう。そして私達を心配させまいと、一夏に内緒にしてくれと、釘をさした。
それで間違いないわ。」
マイルナは呆れながら、そう言った。
マイルナ「全く…、単純で分かりやすいと言うか…、正直と言うか。
私達が、分からないとでも想ってるのかしら?」
千冬「でも、これから幸太郎に対してどうするつもりなんですか?」
マイルナ「彼がそう考えている以上、今まで通りに接してあげて。
下手に気を使うと、余計に幸太郎を傷つける事に繋がるわ。」
マイルナ「それに、貴方が心配する事は幸太郎の事じゃ無いでしょ?
明日から、新しい転校生が2名くる。そっちの方が、貴方にとって大事なはずよ?」
そう言うとマイルナは、千冬に手を振り自分の仕事へと戻って行った。
そして千冬は、手元にある二枚の資料を見て深くため息をついた。
その資料には、明日この学園にくる二名の生徒の情報が書かれている。
一人は、世界で二番目の男性IS操縦者。そしてもう一人が、千冬の元教え子の、ラウラ・ボーデヴィッヒだ。
千冬(ハァ…まさかラウラが来るとはな。これから、面倒な事にならなければ良いが…。)
千冬は授業の用意をして、職員室を出ていった。
幸太郎の病状の悪化が、普通にバレてますね。
まぁ、最初からマイルナは知っていたんですが…。
そしていよいよ、ラウラとシャルロットの登場です。
まぁ、楽しみにしていて下さい。