授業も無事に終わり、放課後となった。
ラウラは幸太郎のお見舞いに行こうと、教室を後にした。
ラウラ(マイルナさんにあぁ言われたが、今さら私とタッグをくんでくれる人なんか…。)
そんな事を考えながら歩いていたラウラは、前を意識しておらず不注意で人にぶつかってしまった。
ラウラ「すまない!少し考え事をしていて、前を見ていなかった。」
箒「別にきにしてはいない。それよりも、お前の方こそ大丈夫なのか?」
ぶつかった相手は、箒だった。
箒とも、あまり話した事が無いラウラは少し気まずくなり、その場を急いで去ろうとした。
箒「おいラウラよ、そんなに急いでどこに行くのだ?部屋なら、逆方向だぞ。」
ラウラ「いや…その、教官に用があるんだ。」
なぜだかラウラは、幸太郎へのお見舞いを誤魔化した。
倒れて眠っている幸太郎を、知られなく無いと思っていた。
箒「はぁ…、そんな誤魔化さなくてもわかっている。幸太郎さんのお見舞いだろ?
織斑先生から、幸太郎さんが倒れたのは聞いている。それに、お前は毎日お見舞いに行って、夜も寝てないんだろ?このままだと、お前も倒れるぞ。」
自分の行動がマルバレで、ラウラは恥ずかしくなった。
ラウラ「それはわかっている。だが、なぜか私は幸太郎の側にいたいんだ。
側にいれば心が暖まるし、離れていると心苦しいんだ。」
ラウラのその言葉、その表情で幸太郎に対する想いを箒は感じ取った。
姉である束が、幸太郎に向けている感情と同じ。
そして自分が一夏に向けている感情と、同じモノであるとすぐにわかった。
だが、その感情をわかっていないラウラには、それが何かは言わないつもりである。
箒「そうか…そうだ!ラウラ、お前はまだ学年別トーナメントの、タッグは決まって無いんだろ?」
ラウラ「まぁ、当たり前だな。転校初日に、一夏にビンタを喰らわせたんだ。
私がクラスで浮いた存在だという事は、嫌でもわかっている。」
自分でそう言い、ラウラは気持ちが落ちていた。
自分が目指す力、目標にしたい強さがわかったのだが、それを目指すにはあまりにも、孤独なスタートだった。
箒「そうか、なら私とタッグを組まないか?」
ラウラ「な!いきなり何を言い出すんだ!私の様な人間と組んでも、何も得はないぞ!
それにお前は、一夏の事を好いているんだろ。だったら、余計に私の事を嫌ってる筈だ。」
箒「確かに私は一夏が好きだ。一夏を叩いた時のお前に、激しい敵意を向けた。
だが、理由がわかった今はそんな事は関係無い。それに、お互い相手は違えど恋する乙女。私は貴方と仲良くなりたいの。」
そう言って箒は、タッグ了承を意味する握手を求めた。
ラウラ「こ、恋する乙女だと//別に私は、幸太郎の事を愛してるのではない//た、ただの憧れ…そう憧れなんだ!でも…。」
ラウラ「こんな私とタッグを組んでくれるのなら、喜んでその申し出を受けよう。
こちらこそ、よろしく頼むぞ篠ノ之。」
箒「誰も愛してるまでは、言っていないが…。まぁ良い、これで私達はタッグだ。」
そう言いながらラウラと箒は、固い握手を交わした。
箒(ごめんなさい姉さん。本当なら貴方の恋を応援したいけども、目の前にいるラウラも私や姉さんと同じ様に、恋をしているわ。
だから、姉さんには悪いけど私は姉さんだけじゃなくて、ラウラを応援するわ。)
ラウラ「さて、私達はタッグになった事だし、早速幸太郎のお見舞いがてら、マイルナさんや幸太郎に報告しよう!」
箒「全く…、報告はオマケでしょ?」
そう言いながらも、幸太郎に会うのを楽しみにしているラウラを見て、満更でもない箒だった。
無事にラウラのタッグが決まりましたね。
いや~よかったよかった。
恋する乙女に限らず、誰かを好きになるって美しい事ですね。