アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第26話

ラウラ(あれ…、ここはどこなんだ…。)

 

ラウラが目を覚ますと、そこには見覚えのある天井が見えていた。

転校してから毎日幸太郎のお見舞いに参っていた、保健室の天井である。

 

ラウラ(そうか、私はあのまま気を失ってしまったのか…。)

 

そうしてラウラは体を起こそうとしたが、体に激痛が走った。

 

千冬「あまり無理はするなラウラ。一応治療は施したが、まだダメージが残ってる。」

 

右側を見てみると、千冬が座っていた。

 

ラウラ「教官、そうですか教官がわざわざ治療をしてくださったのですか…。」

 

千冬「治療の礼なら、そっちの阿呆に言ってやれ。全く、病み上がりで動くなと忠告したのに!」

 

千冬に言われた方を見ると、そこには椅子に座りながら眠っている幸太郎がいた。

 

幸太郎「…あれ?目が覚めたんだねラウラ。大丈夫?痛い所は無いか?気分は大丈夫か?」

 

明らかに顔色が戻っていない幸太郎に心配され、ラウラは涙を流した。

 

ラウラ「こ、幸太郎!お前こそ大丈夫なのか!どれ程に私が心配したと思っているんだ!」

 

ラウラは、体の痛みなどお構い無しに起き上がり幸太郎に抱きついた。

そして今までの寂しさと愛しさを込めて、強く抱き締めた。

 

幸太郎「そんなに強く抱き締められると、凄く痛いよ。それより、千冬にある程度の話は聞いたよ。

そのVTシステムって言う物のせいで、大変な目に合ったんだね。」

 

マイルナ「貴方達、病み上がりなんだからこれでもノンで、大人しくしてなさい!」

 

そう言ってマイルナは、ラウラと幸太郎に紅茶を差し出した。

その紅茶を一口飲み、ラウラはVTシステムに侵食されていた時の事を思い出していた。

 

力に憧れ、力に溺れていた愚かな自分。そんな自分のせいで、あの様な惨劇が起きてしまったと、ラウラは心から悔いていた。

 

千冬「あまり気にする事は無いぞ。VTシステム自体が、お前には内緒で搭載されていたんだ。

お前は全く悪くはない。お前が責任を感じる事は無い。」

 

千冬がそう励ましても、ラウラの心が晴れる事は無かった。

理由や経緯はどうあれ、自分起こした事である。

 

そんな落ち込んでいるラウラの頭を、幸太郎は優しく撫でた。

 

ラウラ「な!いきなり何をするんだ幸太郎!」

 

幸太郎「ラウラ、君が過去に強い力、圧倒的な強さに憧れたのは聞いたよ。

確かに、人をただ傷つけるだけの強さはいけない。」

 

ラウラ「そんな事は十分わかっている!やはり、私の様な出来損ないが誰かの様になりたいと思う事が、間違いだったんだ!」

 

幸太郎「そんな事は無いよ。現にラウラは、それが悪い事だって知ってて、正しい事が何かも知ってる。

誰かになりたいって憧れるのは、悪い事じゃ無いよ。」

 

幸太郎「俺だって、千冬みたいに強くなりたいし、束みたいに賢くなりたい。でも、いくら憧れてたって他人は他人だ。

どう頑張ってもその人にはなれない。」

 

幸太郎「だからそんなに深く考える必要は無いよ。だってラウラはラウラだもん。誰も君にはなれない。

まぁ、十人十色って言う奴だね。」

 

幸太郎の言葉を聞いて、ラウラの中で何かが変わった。

今までは、憧れた他人の強さに少しでも近づこうと必死だった。

 

だが幸太郎の言う通り、どう頑張ってもラウラはその人にはなれない。

その言葉だけで、ラウラの心にあった大きなつっかえが消えた。

 

ラウラ「そうだな…、確かに幸太郎の言う通りだな。

良し決めたぞ!私はこれからは私らしく生きていく!」

 

幸太郎「うん、それでこそラウラだよ。」

 

こうして学年別トーナメントは、中止になってしまったが、無事に終幕した。




久しぶりに幸太郎の復活です!
本当に久しぶりですね。

これでいよいよ、本格的にラウラと幸太郎の絡みが増えるかな?

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