アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第32話

千冬「なんだ、お前達も来ていたのか?」

 

4Fの水着売り場に到着した幸太郎達に、後ろから千冬がわざとらしく声をかけてきた。

ある程度状況を理解してるシャルロットと、無線機から聞いたラウラだけは、驚かなかった。

 

幸太郎「千冬も、水着を買いに来たんだ。でも、こんな広いショッピングモールでばったり遭遇するなんて、珍しい事もあるんだね。」

 

無邪気にも感心している幸太郎を見て、なぜか千冬は後ろめたくなる感覚だった。

 

千冬「ま、まぁここは品揃えが良いからな。それよりも幸太郎、お金はいくら持ってきてるんだ?」

 

千冬は無理やり話題を変えてみた。

 

千冬にそう聞かれ、幸太郎はポケットから財布を取り出して中身を確認した。

 

幸太郎「今日の為に、お姉ちゃんがお金を用意してくれたんだ。」

 

そう言って幸太郎は、千冬に財布の中を見せた。

そこにはなんと、10万以上の大金が入っていた。

 

千冬「マイルナさん、この金額はさすがに多すぎると思いますよ…。

心配なのはわかりますし、私も心配ですがさすがに過保護過ぎですよ。」

 

呆れぼやく様に、千冬は静かに呟いた。

 

一夏「じゃあ千冬姉と合流した事だし、ちゃちゃっと水着を決めようぜ。」

 

ラウラ「そうだな、速く買って学園に戻り、嫁とラブラブしたいからな。」

 

こうして幸太郎達は、男女別々に別れて水着売り場に入っていった。

 

マイルナ「もう!しょうがないとしても、幸太郎の護衛が一夏だけ危ないでしょ!

あぁ!今すぐにでも、突入していきたい…。」

 

男女別れた事を聞いたマイルナは、悔しそうに拳を握りしてていた。

 

セシリア「護衛って、目的が変わってはいませんか?」

 

鈴音「こんなにも幸太郎が心配だったら、幸太郎に彼女や結婚の約束が出来たら、発狂ものね。」

 

マイルナ「それなら大丈夫よ。さすがにそこまでは、幸太郎に関与しないわ。

彼が選んだ女性なら、私も大賛成だわ。」

 

マイルナの笑顔を見て、セシリアと鈴音は一種の安心があった。

 

セシリア「そうですわよね。それに、幸太郎さんとラウラさんの仲は、マイルナさん公認ですからね。」

 

マイルナ「えぇ、ラウラも束も、そうね…分かりやすく言うなら、一次試験は突破してるわね。」

 

マイルナの発言に、セシリアと鈴音は思考が一瞬だけ止まった。

 

鈴音「えっ?一次試験?それってどう言う意味なんですか?」

 

マイルナ「そのままの意味よ。本当に幸太郎の相手に相応しいかは、私がこれから直々に判断していくわ。

だってそうでしょう?私の大切な幸太郎が、ダメな女と一緒になったら幸太郎が可哀想でしょ?」

 

先ほどの発言と矛盾しているマイルナの発言に、二人は背筋が凍る様な恐怖を関していた。

 

優しい声で、凄く危険な事を言っているマイルナに、絶対に逆らってはいけない!

と、本能的に察した。

 

一夏「それで幸太郎さんは、どんなタイプの水着を買うつもりなんですか?」

 

幸太郎「どんなタイプね…、今まで水着なんて着た事無いから良くわからないよ。

一夏のオススメみたいなのはあるの?」

 

幸太郎は、目の前にある水着を手当たり次第に選びながら一夏に聞いた。

 

一夏「別に幸太郎さんが、気に入ったやつを買えば…。」

 

一夏はそう言ったが、幸太郎がピッチリとしたタイプの水着を見ているので、慌ててその水着を取り上げた。

 

一夏「そ、そうだ!幸太郎さんには、こんな水着が似合うと思いますよ!」

 

そう言って一夏は、トランクスタイプの水着を差し出した。

 

一夏「サイズもありますし、ひとまず試着してみて下さい。」

 

幸太郎「何をそんなに慌ててるんだよ。試着ねぇ、わかったよ。」

 

そう言って幸太郎は、この場で服を脱ぎ始めた。

 

一夏「こ、幸太郎さん!試着は、あの試着室でするんですよ!」

 

幸太郎「そうなんだ、試着は初めてだから知らなかったよ。じゃあ行ってくる。」

 

幸太郎のハチャメチャぶりに、一夏は心配になっていた。




マイルナが、心配を拗らせて凄く怖いです!

ラウラと束が今の時点で一次試験突破なら、二次試験突破はどれ程ハードルが高いんでしょうか…、考えるだけでなぜか恐ろしいです。

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