~~~二日後~~~
臨海学校から二日後の日曜日、今日から束が正式にIS学園の職員として勤務する事になっている。
千冬「さて、そろそろあいつがくる時間なんだが…、初日から遅刻とは図々しいやつだな。」
マイルナ「まぁ、移動のトラブルかも知れないし遅刻くらい多目に見てあげて。」
二人は、職員室の時計を見ながらそう話していた。
千冬「そう言えば、幸太郎はどうしたんですか?あいつの性格なら、いの一番に束を待つと思ったんですが。」
マイルナ「幸太郎は体調が優れないのよ。だからラウラに看てもらってるわ。」
すると、職員室のドアが勢い良く開き大きな荷物を持った束と見知らぬ少女が入ってきた。
束「ごめんねちーちゃん!政府の人間にばれない様に移動するの難しくて!」
マイルナ「そんな無駄な心配はいらないわ。どうせもうばれてるはずよ?
それよりも、その子は誰なの束?もしかして貴女の隠し子かしら?
だとしたら、幸太郎への態様を考えてもらうわよ。」
マイルナの静かな恐怖に、束は背筋がゾクゾクしていた。
束「そんなんじゃありません!クーちゃん、誤解を解くためにも自己紹介宜しく。」
そう言って束は、隣に立っている少女の背中を軽く押した。
「初めまして千冬様、マイルナ様。私は束様のメイド兼助手をしているクロエ・クロニクルです。
以後、お見知り置きを。」
そう言ってクロエは、ペコリと頭を下げた。
マイルナ「クロエちゃんか…、その子もラウラと同じ試験管ベビーね。少し訳ありみたいね。
私はてっきり、束と知らない男との隠し子かと思ったわ。」
束「私が、幸太郎以外の男の子供を産むわけ無いですよ!もう義姉さん、酷すぎる言い掛かりですよ。」
二人のやり取りを見て、クロエは何かを確信していた。
千冬「どうしたんだ?あの会話を聞いて、何がわかったんだ?」
クロエ「いえ、日頃から束様は、恋の最大の壁がなかなか越せない。とぼやいておりました。
それがマイルナ様だと、本日わかりました。確かに、束様が苦戦するのも無理ないですね。」
クロエ「恋の壁と言えば、束様の愛しの幸太郎様はどこにいるのですか?
話だけしか聞いた事が無いので、自己紹介を兼ねてお顔を拝見したいと思っていたのですが…。」
クロエのこの言葉を、マイルナは聞き逃さなかった。
マイルナ「幸太郎の顔を見たいんだね。だったら、私が取っておきの写真を見せてあげよう!」
そう言ってマイルナは、自分の机からアルバムを取りだし、その中から一枚の写真を抜き取った。
マイルナ「これが、臨海学校の時の楽しそうに笑っている幸太郎だ!
どう?かっこ良くて、可愛いくて、愛くるしいでしょ?」
クロエ「ほぉ…、このお方が幸太郎様ですか…。マイルナ様や束様が言うように、素晴らしいお方ですね。」
千冬「マイルナさん、いつの間に写真なんて撮ってたんですか?それに、アルバムを見せてもらったんですが、幸太郎だけしか写ってないですよ。」
マイルナのブラコンぶりに、千冬は呆れていた。
自分もブラコンの部類に入ると自覚している千冬だったが、上には上がいる事を実感した。
校長「やぁやぁ、君が篠ノ之 束さんだね、初めまして。私はこのIS学園の校長です。」
束「こちらこそ、採用していただき、本当にありがとうございます。」
マイルナ「相変わらず、ここの校長はまったりとしたおじいちゃんね。」
校長「それはそうと、なんでも政府の人が束さんに用事があるそうですよ?」
束とクロエ到着です!
ここでも、マイルナ節?が炸裂しましたね…。
深読みしすぎですね。
初日で、政府にバレてますね。
これからどうなってしまうんでしょうね?