あれから毎日、束は幸太郎のお見舞いに行っていた。
そして既に、6日が過ぎていた。
束(もうすぐ、6時間目が終わる時間かな…。はぁ…、こんなにも授業中が長かったなんて、思いもしなかったな。)
1分1秒と時を刻む時計を見ながら、幸太郎に会える事を考え束はうっとりしていた。
それと同時に、ソワソワともしていた。
そんな束を、クラスの皆は不思議そうに、そして恐ろしそうにしていた。
いつもは、パソコンとにらめっこをしている束が、ここ最近は教室につくと、ずっと時計を見ているからである。
だが、誰も束に話しかける事はしない。
先生だって、気味悪がっているだけである。
束(けど、やっぱり退屈な所だなぁ。幸太郎がこないクラスなんて、本当に無意味ね。)
そう嘆く束だったが、幸太郎のお見舞いの条件として、毎日登校する事をマイルナと約束しているのだ。
幸太郎と会いたい束は、例え無意味な場所でも登校しなければならないのである。
そして6時間目の終了のチャイムがなり、簡単な帰りの会が終った後、束から離れたい一心で皆は足早に帰っていった。
束(人の顔色伺って、本当につまらないやつらだよ。言いたい事があるなら、直接言えば良いのに。)
なんて考えていると、教室の扉が開き千冬が入ってきた。
千冬「なんだお前。また時計ばっかり見てたのか?全く、少しは授業に参加したらどうだ?」
束「こんな簡単な勉強、わざわざ参加する必要も無いよ。それよりもちーちゃん、速くお見舞いに行くよ!」
今まで見た事の無い束の笑顔を見て、千冬は少し嬉しく思った。
千冬「その事なんだが、今日は外せない用事があって私と一夏は行けない。
すまないがお前と箒の二人で行ってくれ。」
束は残念に思ったが、幸太郎に会えるのは変わらないので二人で行く事にした。
~~~車の中~~~
マイルナ「毎日毎日、お見舞いに来てくれて本当にありがとうね。」
束「いえいえ!私が好きで行ってるだけですから!そんなお礼なんていらないですよ。」
箒「そうですよ。それに、毎日家で幸太郎さんの事を幸せそうに話す姉さんを見れて、私も嬉しいです。」
家での事をばらされて、束はあわてて箒の口を手でふさいだ。
束「ち、違うんですよ!別に、毎日してる訳じゃ//」
マイルナ「そんなに恥ずかしがる事は無いでしょ?誰かを好きになるって素敵な事だし、それが幸太郎だなんてね。
幸太郎は私にとって弟みたいなの、だからもし貴方が結婚したら、感覚としては私と姉妹になれるかな?」
束「義姉さんか…、なんか凄く良い響きだなぁ//」
箒「マイルナ義姉さん!こんなおっちょこちょいな姉ですが、これからも私共々よろしくお願いします!」
車内が凄くホッコリとした所、マイルナはある事を思い出した。
マイルナ「そうだった。束、研究所に行ったら驚く事があるわ。」
束「驚く事って何なの義姉さん?」
マイルナ「それはついてからのお楽しみよ。」
~~~研究所~~~
マイルナ達は、幸太郎の入院している部屋の前に到着した。
マイルナ「さぁ、ここを開ければ驚きのあまり言葉を失うわ。」
束「なんの事だかわからないけど、箒ちゃん入ろっか。」
扉を開け、中に入った束はマイルナの言った通り言葉を失った。
幸太郎「あっ束に箒、来てくれたんだ。」
なぜなら、幸太郎が目を覚ましていたからだ。
いきなり義姉さんって、気が早いですね。
皆様はどの様な授業態度でしたか?
私は基本寝てるか、窓の外を眺めてました。
それか、束と一緒で時計をじっと見てたりもしてましたね。