束「こ、幸太郎!もう体の調子は大丈夫なの!気分が悪いとかは?体が痛いとかは無いの?」
病室に入った束は、真っ先に幸太郎の所に駆け寄り、幸太郎の心配をした。
幸太郎「随分と心配かけて、本当にごめんね。マイルナさんに聞いたけど、毎日お見舞いに来てくれたんだってね。
ありがとう束、凄く嬉しいよ。」
そう言って幸太郎は、束に微笑みかけた。
その顔を見て、束は嬉しそうに笑った。
束「べ、別に私が来たかったから来てただけだからね!勘違いしないでよね//」
照れ隠しをする束を、マイルナと箒はニヤニヤと見ていた。
マイルナ「それよりも幸太郎、そろそろ散歩の時間じゃない?まだ点滴の時間までは長いから、束と行ってきたら?」
幸太郎「そっか、もうそんな時間か…。ずっと眠ってたから、久しぶりに散歩するか!
良し!束に箒、二人も行こうよ。」
ベッドから降り、外行きの服装に着替えながら幸太郎は二人を誘った。
箒「折角のお誘いごめんなさい義兄さん。実はこれから、義姉さんとお話があるんです。」
そう言って箒は、マイルナの腕を組んだ。
幸太郎「そっか…、それはしょうがないね…あれ?義兄さんに義姉さん?」
束「ほ、ほら!速く行かないと、時間無くなるよ!」
義兄と義姉の意味を、幸太郎に気づかれなくない束は、急いで幸太郎の手を掴み部屋から出ていった。
マイルナ「全く、幸太郎相手に義兄さんはちょっと速すぎると思うわ。」
箒「そんな事無いですよ。幸太郎さんが私の義兄さんになるのは、時間の問題です。」
~~~中庭~~~
幸太郎「ここがこの研究所の中庭だよ。いつもここを散歩してるんだ。」
幸太郎と束は、研究所の中庭に来ていた。
この中庭はとても広く、散歩をするのに最適なのかも知れない。
幸太郎「じゃあ、散歩開始。」
幸太郎は束を手を握りながら、楽しそうに散歩を始めた。
幸太郎に手を握られた束は、恥ずかしかったがそのまま手を繋ぎ続けた。
広い中庭を歩きながら、幸太郎は束と色々な事を話した。
内容は他愛もない話だが、それでも幸太郎は嬉しそうに話をしていた。
そんな幸太郎を見て束は、改めて自分は幸太郎の事を愛していると感じた。
束(こんなにも、楽しそうに話をしたのっていつぶりだろう?でも凄く楽しいわ。
幸太郎か…、私の事を気味悪がなかった人。それに、優しい人。
やっぱり私は、幸太郎の事が好きなんだ//)
そんな事を考えていたら、束は赤面してしまった。
幸太郎「どうしたの束?もしかして疲れたの?
だったら、あそこのベンチに座ろっか。」
幸太郎は近くにあったベンチに、束と隣同士で座った。
幸太郎「ふぅ、久しぶりに歩くとやっぱり疲れるね。」
束は緊張のあまり、それ以上会話が続かなかった。
箒「姉さんも奥手ね。二人きりなんだからもっと迫っても良いのに。」
そんな二人を、マイルナと箒は離れた場所から見ていた。
マイルナ「そうよね。若い二人なんだから。折角二人きりにしてあげたのに。」
マイルナと箒は、二人を見ながら少しガッカリしていた。
幸太郎「さっきから何も話してないけど、大丈夫なの束?」
幸太郎は束の顔を覗きこみながらそう言った。
束(今は、幸太郎と二人きり…。回りには誰もいない。しかも、箒ちゃんと義姉さんは私に気を使ってくれてる。
そうよ、そうよね!私の想いを伝えるのは、今しかないよね!うん決めた!)
すると突然、束はベンチから立ち上がり幸太郎の前に立った。
束「こ、幸太郎!私は貴方と出会ってから、まだそんなに月日はたってない。
マトモに会話をしたのも、今日で二日目だわ。」
束「でも、でも!私は貴方の事が大好きなの!世界中で誰よりも愛してるの!」
幸太郎「束…、俺だって束の事が好きだよ。」
束「えっ、本当に!」
幸太郎「うん本当さ。束も千冬も一夏も箒もマイルナさんもここの所員の皆も、皆の事が好きだよ。」
幸太郎の言葉に、束は言葉を失った。
幸太郎に好かれて嬉しい半面、その好意は親友としての好意であるあらだ。
だがそれでも、自分が嫌われていないとわかり、今はそれで満足だった。
束「そう、ありがとう。それよりもそろそろ戻りましょう。」
束は幸太郎の手を取ると、幸せそうに歩き出した。
私が書く話の主人公は、龍亞といいリアといい幸太郎といい、鈍感な人ばかりですね…。
束が物凄く恋する乙女ですね。
なんだか、可愛いです。