千冬「松陽…だと?どこかで聞いた事がある名前だな…。
どこで聞いたのだろうか?う~ん、思い出せない。」
束「松陽…、寿 松陽…、松陽?松陽!
もしかしてですけど、義父様ってあの、紅グループの会長ですか!?」
束が思い出したかの様に松陽に尋ねると、松陽は少し困った顔をした。
松陽「これは、困ったモノですね…。あなた方の様な若者にも知られてるとは…うん?義父様?」
その瞬間、マイルナが束の頭を軽く小突いた。
そして急いで頭を下げさせた。
マイルナ「申し訳ございません!失礼の無い様にと言い聞かせたのですが!
こら束、余計な事を言わないでって言ったでしょ!」
松陽「こらマイルナちゃん!女の子が、すぐに暴力をふってはいけません!
それに、何とも思って無いですよ。ただ、驚いただけです。」
千冬「そうだ思い出した!どこかで聞いたと思ったら、紅グループの会長の名前だ!」
一夏「千冬姉、さっきから言ってる紅グループって何の事なの?
それって、そんなに有名なの?」
アル「はぁ…、すみません松陽さん。あの少年が、織斑一夏と申しまして、あまり頭が良くなくて…。」
松陽「アルくんも、そんな汚い言葉を使ってはならないと、教えたはずです。
それよりも皆様、詳しい話はこれからするとして、まずは座ってお茶でも飲みましょう。」
松陽の合図で、一夏達は椅子に腰かけた。
そして松陽は、お茶を入れようとしていた。
マイルナ「しょ、松陽さん!そんな事は、私がしますので、松陽さんも長旅でお疲れかと思うので、座っていて下さい!」
松陽「心配はいりません。それに、久しぶりに他人にお茶を振る舞ってみたいと思っただけですよ?
それよりも、マイルナちゃんはアルくんと一緒に、皆様に話をしてあげて下さい。」
松陽の願いに、マイルナは何も言えなくなり、大人しく席に戻っていった。
アル「さて、松陽さんからも許しが出た事だしな…。どこから話そうかな?」
一夏「じゃあアルさん、さっき千冬姉達が言ってた紅グループってなんですか?
その紅グループと松陽さんって、どんな関係があるんですか?」
アル「はぁ…、お前は本当に何も知らんのだなぁ。じゃあ、まずは何も知らない一夏の為に紅グループについて説明する。」
アル「紅グループってのは、簡単に言えば巨大な財閥だな。その規模は、世界一の総資産と影響力を持ってる。俺の会社は裏社会のトップだが、紅グループは表だけじゃ無く、裏社会にも巨大な力を持ってる。」
アル「はっきり言って、裏社会は俺の会社と紅グループの二つでほぼ独占してるって事だな。」
アルベルトの説明に、一夏は驚きのあまり呆然としていた。
一夏「で、でもアルさん、その巨大財閥と松陽さんにどんな関係が…まさか!?」
アル「そう、さっき束が言った様に、松陽さんは紅グループの会長だ…、正確に言えば元会長だ。
しかも松陽さんは、たった一代でここまでにしたんだぞ?」
マイルナ「ここまでは、千冬達も知ってるわね?でも、もっと驚く話があるわ。
今の会長、すなわち二代目は幸太郎なのよ?」
マイルナの言葉に、千冬達は声を出して驚いた。
松陽「そんなに驚かないで下さいよ。恥ずかしいじゃ無いですか?
それよりほら、お茶が入りましたよ。」
そう言って松陽は、皆の前にお茶を並べていった。
だが、緊張のあまり誰も飲もうとしていなかった。
アル「ふぅ、相変わらず美味しいです。考えてみれば、こうやって松陽さんのお茶をゆっくり味わったのは、十年前の孤児院のパーティー以来ですね。」
千冬「孤児院って、どういう事ですか?」
アル「行ってなかったか?俺達兄妹とマイルナは、場所は違うけど、松陽さんが建てた孤児院出身なんだぞ。
しかも松陽さんは、俺達の祖国の内戦まで終わらせた、俺からすれば恩人以上の人なんだ。」
色々と衝撃です!
世界一の財閥の元会長で、沢山の孤児院を建て、しかも内戦まで終わらせるなんて…。
ハイスペック通り越して、神がかってますね。
そりゃあ、アルもマイルナもこうなりますわ。