アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第73話

千冬「松陽…だと?どこかで聞いた事がある名前だな…。

どこで聞いたのだろうか?う~ん、思い出せない。」

 

束「松陽…、寿 松陽…、松陽?松陽!

もしかしてですけど、義父様ってあの、紅グループの会長ですか!?」

 

束が思い出したかの様に松陽に尋ねると、松陽は少し困った顔をした。

 

松陽「これは、困ったモノですね…。あなた方の様な若者にも知られてるとは…うん?義父様?」

 

その瞬間、マイルナが束の頭を軽く小突いた。

そして急いで頭を下げさせた。

 

マイルナ「申し訳ございません!失礼の無い様にと言い聞かせたのですが!

こら束、余計な事を言わないでって言ったでしょ!」

 

松陽「こらマイルナちゃん!女の子が、すぐに暴力をふってはいけません!

それに、何とも思って無いですよ。ただ、驚いただけです。」

 

千冬「そうだ思い出した!どこかで聞いたと思ったら、紅グループの会長の名前だ!」

 

一夏「千冬姉、さっきから言ってる紅グループって何の事なの?

それって、そんなに有名なの?」

 

アル「はぁ…、すみません松陽さん。あの少年が、織斑一夏と申しまして、あまり頭が良くなくて…。」

 

松陽「アルくんも、そんな汚い言葉を使ってはならないと、教えたはずです。

それよりも皆様、詳しい話はこれからするとして、まずは座ってお茶でも飲みましょう。」

 

松陽の合図で、一夏達は椅子に腰かけた。

 

そして松陽は、お茶を入れようとしていた。

 

マイルナ「しょ、松陽さん!そんな事は、私がしますので、松陽さんも長旅でお疲れかと思うので、座っていて下さい!」

 

松陽「心配はいりません。それに、久しぶりに他人にお茶を振る舞ってみたいと思っただけですよ?

それよりも、マイルナちゃんはアルくんと一緒に、皆様に話をしてあげて下さい。」

 

松陽の願いに、マイルナは何も言えなくなり、大人しく席に戻っていった。

 

アル「さて、松陽さんからも許しが出た事だしな…。どこから話そうかな?」

 

一夏「じゃあアルさん、さっき千冬姉達が言ってた紅グループってなんですか?

その紅グループと松陽さんって、どんな関係があるんですか?」

 

アル「はぁ…、お前は本当に何も知らんのだなぁ。じゃあ、まずは何も知らない一夏の為に紅グループについて説明する。」

 

アル「紅グループってのは、簡単に言えば巨大な財閥だな。その規模は、世界一の総資産と影響力を持ってる。俺の会社は裏社会のトップだが、紅グループは表だけじゃ無く、裏社会にも巨大な力を持ってる。」

 

アル「はっきり言って、裏社会は俺の会社と紅グループの二つでほぼ独占してるって事だな。」

 

アルベルトの説明に、一夏は驚きのあまり呆然としていた。

 

一夏「で、でもアルさん、その巨大財閥と松陽さんにどんな関係が…まさか!?」

 

アル「そう、さっき束が言った様に、松陽さんは紅グループの会長だ…、正確に言えば元会長だ。

しかも松陽さんは、たった一代でここまでにしたんだぞ?」

 

マイルナ「ここまでは、千冬達も知ってるわね?でも、もっと驚く話があるわ。

今の会長、すなわち二代目は幸太郎なのよ?」

 

マイルナの言葉に、千冬達は声を出して驚いた。

 

松陽「そんなに驚かないで下さいよ。恥ずかしいじゃ無いですか?

それよりほら、お茶が入りましたよ。」

 

そう言って松陽は、皆の前にお茶を並べていった。

だが、緊張のあまり誰も飲もうとしていなかった。

 

アル「ふぅ、相変わらず美味しいです。考えてみれば、こうやって松陽さんのお茶をゆっくり味わったのは、十年前の孤児院のパーティー以来ですね。」

 

千冬「孤児院って、どういう事ですか?」

 

アル「行ってなかったか?俺達兄妹とマイルナは、場所は違うけど、松陽さんが建てた孤児院出身なんだぞ。

しかも松陽さんは、俺達の祖国の内戦まで終わらせた、俺からすれば恩人以上の人なんだ。」

 

 




色々と衝撃です!
世界一の財閥の元会長で、沢山の孤児院を建て、しかも内戦まで終わらせるなんて…。

ハイスペック通り越して、神がかってますね。
そりゃあ、アルもマイルナもこうなりますわ。


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