それから少し時間が過ぎ、病み上がりどころか体調がまったく優れない幸太郎は、話疲れたのもあり松陽の膝枕で眠っていた。
膝枕をしている松陽は、眠っている幸太郎の頭を優しく撫でながら、微笑ましそうに笑っていた。
松陽「やはり、いくつになっても愛する我が子の寝顔というのは、癒されるものですね。」
ラウラ「確かに、いつも私が見ている寝顔と違って、安心しているというか、童心に帰っているというか…。
確実に言えることは、嫁は松陽さんを信じきっていると言うことだな。」
と、得意気に言うラウラを見て、松陽はラウラの頭も撫でた。
ラウラ「し、松陽さん//いきなり何をするんですか!私には、嫁という心に決めた人が!」
松陽「いや、いきなり申し訳ない。ですがドヤ顔?と言うんですか?それをしていたラウラちゃんが、幸太郎に雰囲気が似てたのでつい…。」
束「何を焦ってるんだよラウラ?義父様に撫でられるなんて、本当なら物凄い事なんだよ。」
リネ「そうですよラウラ様!出来る事なら、私が代わりたいですよ!羨ましい!」
松陽「こんな事で喧嘩しないで下さい。こんなおじさんでよければ、束ちゃんとリアネールちゃんも撫でてあげますよ。」
松陽からの提案に、二人はその提案に賛成した。
松陽に撫でられている二人は、まるで犬の様に嬉しそうになっていた。
そして二人を撫で終わると松陽は、腕時計で時間を確認した。
松陽「さて、私はこれでおいとましますよ。」
そう言って松陽は、寝ている幸太郎をお姫様だっこでもちあげた。
松陽「幸太郎の部屋はどこですか?幸太郎もすっかり疲れていると思うので、そろそろふとんで寝かしてあげましょう。」
アル「それでしたら、俺が幸太郎を連れていきますよ。松陽さんもお疲れかも思いますし、変わりますよ。」
松陽「お気遣い感謝します。ですが、寝ている我が子をふとんに運ぶのも、父親としての仕事ですので、私にさせてください。
…そうだ、思い出しました。」
部屋から出ていこうとした松陽は、なにかを思い出したのか部屋の方に振り返った。
松陽「皆さん、来週は予定を開けておいて下さい。」
一夏「良いですけど、なにか用事でもあるんですか?」
松陽「えぇ。もうすぐ幸太郎の誕生日ですので、宗次郎さんが今年は盛大な誕生パーティーを開くので、よければ皆さんにも参加していただきたいと思ったんです。」
宗次郎の名前に、大人組と幸太郎を愛するラウラとリアネールに大きな緊張が走った。
なぜなら相手は、あの生きる伝説とまで言われた事のある本物の寿 宗次郎だからだ。
松陽「服装等は、いつも着ている様な楽な服装でかまいませんよ。それでは、来週またお会いしましょう。」
そう言って松陽は、部屋から出ていった。
~~~一週間後~~~
そして一週間後、一夏達は松陽が指定した駅前に来ていた。
幸太郎と松陽は、後から合流する事になっている。
一夏全員、スーツ等の正装をしていた。
千冬「ほら一夏、ネクタイが曲がっているぞ。もっとシャキッとしないか!」
一夏「もうこんな堅苦しい格好しなくても、松陽さんは普段着で良いって言ってたじゃんか。
こんなしっかりとしたスーツなんて、俺には似合わないと思うぜ?」
一夏がそうぼやくと、千冬は一夏にデコぴんをした。
千冬「バカ者!相手を考えろ。相手は一般人とは違うんだぞ!
まったく…、それよりも駅の中もそうだがここに来るまでの道中、なぜか賑やかに飾られていたな。」
マイルナ「松陽さんが言ってたでしょ?今年は盛大なパーティーにするって。
先に言っておくけど、この東京全て寿家の所有地と言っても過言じゃ無いわよ。」
マイルナの発言に、一夏達が大いに驚いたのは簡単に想像出来た。
すると一夏達の前に、一台の車が停車した。
中から、執事姿の松陽と幸太郎がおりてきた。
千冬「おはようございます松陽さん。松陽さんは、執事の格好なんですね。」
松陽「えぇ。私は宗次郎さんの義息である前に、寿家の執事ですからね。
これが寿家に伺う時の、私の正装です。
それでは皆さん、これより寿家に向かいますので車に乗ってください。」
こうして一夏達は、松陽の運転で寿家への出発したのだった。
東京全てが所有地だなんて、寿家恐るべし!
いや…凄いなんて生易しいレベルじゃないですね。
まさに、世界一の寿家ですね。