宗次郎「今から、お楽しみの重大発表がある!幸太郎、壇上に上がってくれ。」
宗次郎がそう呼ぶと、何も知らされていない幸太郎は首を傾げた後に、ゆっくりと壇上に上がっていった。
そして壇上を見守参列者にも、少し緊張がはしっていた。
宗次郎「え~、本日の誕生パーティー終了をもって、この俺寿 宗次郎は、寿家当主を引退する。
そして後継者である寿 幸太郎を、寿家の当主とする!」
宗次郎の発言に、会場はざわめき始めていた。
松陽「宗次郎さんのご意見は、私は賛成です。ですが、今は時季が悪いと思います。
いきなり過ぎますし、アルくんの話ではあの亡国機業に狙われるかもとの話ですし・・・。」
宗次郎「そう言えばそうだったな。だが、寿家の当主になる。それは、世界一になるということ。
常に狙われる可能性や、危険とは隣り合わせになるだろう。
だがな、そんなあまえたことを言っていたらいつまでたっても、未来に繋ぐ事は出来ん!」
宗次郎「俺は寿家をここまで大きくした。そして幸太郎にこれからを託すんだ。
そして幸太郎は、俺の凡てを受け継がなければならない!ならお前らは!?お前らの役目は何だ?
お前らは、それを円滑に出来る様に繋ぐのがやくめだろ!?」
宗次郎の強い言葉に、皆は言葉が出なかった。
そして同時に、自分達の愚かさを痛感した。
松陽は、奈々の分まで幸太郎を守る。
そして孤児院出身の人達は、松陽達への恩返しとして幸太郎の為に生きる。
その誓いを今一度、心に刻み込んで強い意思をもった。
幸太郎「そうだよパパ。それにおじいちゃん。いつか継がなくちゃいけない事だったんだ。
でも、今の俺には当主としてはまだまだと思ってる。だから、皆で一緒にこれからの寿家を作っていこうよ!」
一同「「ウォォォォ!!幸太郎様万歳!!幸太郎様万歳!!」」
幸太郎の宣言に、参列者達は大きな拍手や歓声を上げて祝福をした。
その熱量、その勢いに一夏達は圧倒されていた。
全て一体になった雰囲気を見て、宗次郎は満足そうに笑っていた。
桜華「あら宗ちゃん?なんだか、嬉しそうじゃない。そんな満足そうな顔は、久しく見てなかったわ。」
宗次郎「そうか?だが、これで俺は表舞台からは引退だ。俺みたいなじいさんがいつまでも居座るよりも、幸太郎達みたいな若い連中が新しい時代を創って行くんだよ。」
そう言って宗次郎は、桜華の肩に手を置いた。
そして桜華は、それに答えるかの様に置かれた手に自分の手をのせて、宗次郎に近づきもたれかかった。
桜華「いつもちゃらんぽらんな事ばっか言ってるのに、意外としっかり考えてるのね。」
宗次郎「当たり前だろ?お前が選んだ男だぞ?
おいお前ら、まだ誕生パーティーは終わってねぇぞ!だから、まだまだ盛り上がっていこうぜ!」
これで、幸太郎が正式に寿家の当主になりました!!
そして参列者の一体感は、やはり幸太郎が愛されている証拠ですね!