アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

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第90話

幸太郎が寿家の当主になってから、世間ではそのニュースで持ちきりであった。

 

既に一週間が経とうとしているが、報道番組や特番等で寿家についてがテレビで流されていた。

 

一夏「それにしても、いつまでこのニュースをやるんだろうね?同じような内容でもう飽きちまったよ。」

 

弾「人ん家のテレビを見ながら、何いってんだおまえは。まぁ、お前はIS学園にいたから詳しく知らないと思うけど、これでもだいぶ収まったんだぞ。」

 

この日一夏は、中学の頃からの親友である五反田 弾の家に遊びに来ていた。

 

そして政府のお偉いさん達は、必ずと言って良いほど寿家についてマイナスイメージを国民に植え付けるかのような発言ばかりをしていた。

歴史の影で暗躍してきた秘密組織、世界転覆を目論んだ等、そんな政府の姿は、真実を知る者からすれば滑稽に見える。

 

幸太郎の病原体を、ウイルス兵器にしたいからか幸太郎の病気に関しては、何も語ることは無かった。

 

一夏(でも、これでマイルナさんやアルベルトさんも簡単に手出しは出来ないのかもな。

下手に政府に手を出したら、それこそ政府の望み通りの悪者になっちまうもんな。)

 

そしてまた、政府の会見が始まろうとした時に一夏はテレビのチャンネルを切った。

 

弾「なんだ?聞かないのか?」

 

一夏「なぁ弾、お前は寿家の事をどう思うんだ?政府が言うように、悪い存在だと思うか?」

 

一夏の真剣な問いかけに、弾は腕を組み少し考えた。

 

弾「そうだな・・・、俺はその寿家ってのをテレビでしか情報をゲット出来ないから詳しくは分からねぇけど、あの会見を見てるとなんか必死になりすぎかなぁと思うな。

けど、お前の知り合いなら大丈夫だろ。」

 

弾の回答に、一夏はなぜかホッとした。

 

自分の親友がメディアを鵜呑みにしていないこと、自分を信用していること。

この二つが、堪らなく嬉しかったのだ。

 

弾「まぁ、こんな暗い話題はおいといて、学生らしい話をしようぜ。IS学園でハーレム状態の一夏、そろそろ彼女の一人や二人は出来たんじゃねぇの?」

 

一夏「なんかトゲのある言い方だな。それにハーレムなんかじゃないよ。皆が俺に良くしてくれるのは、世界初の男子操縦者だからだよ。分かりやすく言えば、身近にパンダがいるのとおなじ。

すぐにこの状況になれて、俺に飽きるさ。」

 

鈴音の想いを知っている弾は、一夏の唐変木っぷりに半分嫌気がさしていた。

だが、それは一夏らしい事でありそんな所が女子を引き寄せるのかも知れない。

 

一夏「俺の事は良いだろ?それより、お前の方こそどうなんだよ。」

 

弾「俺の方は相変わらずだよ。はぁ~、俺も一度でも良いから、お前みたいに女子に囲まれる人世を歩みてぇ。」

 

それから二人は、他愛もない会話で盛り上がっていた。

 

弾「お前は本当に凄い男だよな。テレビで引っ張りだこの寿家の、先代当主の電話番号を知ってるなんてな。」

 

一夏「まぁな、さてそろそろ時間だから俺は帰るよ。今日は久しぶりにお前と話せて楽しかったよ。」

 

そう言って一夏は立ち上がり、ドアに手をかけた。

 

弾「おう一夏、その先代に比べれば金も権力も何も無いけどよ、もし何か合ったときは、俺にも相談してくれ。

本当に微力かも知れないけど、力になるよ。」

 

一夏「あぁ、もしもの時は誰よりも頼りにしてるよ弾。」

 

そして一夏は、弾の方に振り向く事なく右手を上げた。

そしてIS学園への帰路についた。




一夏と弾の仲の良さ良いですね。
部屋から出るときも、多くは語らずみたいな。

自分も親友と、酒を交わしながら色々と語り明かしたいですね。

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