~~~職員室~~~
山田「・・・せい、織斑先生聞いていますか!?」
突然の山田先生の声で、千冬はハッとなった。
千冬「すまない山田先生。少しだけぼんやりしていただけだ。それで、話とはなんなのだ?」
山田「ですから、今日の授業に関しての打ち合わせです。
もう、しっかりしてください。」
千冬「あぁ、そうだったな。」
千冬は、生返事のまま授業に向かった。
~~~教室~~~
千冬「さてお前ら、今から出席をとる!」
そう言って千冬は、出席簿を手に取った。
その瞬間、教室が少しだけざわついた。
一夏「千冬姉、手に持ってるの出席簿じゃなくて教科書だぜ?」
千冬「あれ?出席簿・・・出席簿が無い!すまないお前達、職員室に出席簿を忘れたみたいなので、いそいで取ってくる!」
そう言って千冬は、大急ぎで教室から飛び出していった。
一夏「取ってくるって、机に置いてあるのに。」
アル「まさかデートのセッティングをしただけで、あの織斑千冬がここまで動揺するなんてな。やはり、女心は理解できんな。」
一夏「アルさん、いたんですか。それよりも、デートのセッティングってどういう事ですか!?
まさか、あの千冬姉がデートするって言うんですか!?」
一夏は、少し焦ったように大きな声を出してアルベルトに問いかけた。
一夏の大声と、見知らぬ男が教室にいるとで、生徒達はざわつき始めていた。
アル「まぁあれだ、詳しい話は放課後になってからだな。時間になったら、部屋まで迎えに行くわ。」
そう言ってアルベルトは、教室から出ていった。
そして授業が始まってからも、千冬はどこか上の空だった。
そのせいで、らしくないミスを連発したまま放課後を迎えた。
千冬(はぁ・・・私としたことが、まさかこんな事で動揺するなんて・・・)
山田「大丈夫ですか織斑先生?まだこんなにも書類が残っていますよ?」
千冬「そうだったな。ありがとう山田先生。今すぐ終わらせるよ。」
千冬が書類作業に取り掛かろうとした瞬間、職員室のドアが勢いよく開き、アルベルトが入ってきた。
アル「おいおい千冬、何を呑気に仕事をしてるんだ?速くしないと、待ち合わせの時間に遅れるぞ。」
千冬「そうだが・・・まだ私には仕事が残って・・・。」
アル「そんなもん校長に許可をとってある!書類なんて、1日サボったくらい、何ともない。
それよりもデートの約束をすっぽかす方が、大事だろ?セッティングした俺の面子ってもんも考えてくれ。」
アルベルトはそう言いながら、強めに千冬の肩を叩いた。
そして少し考えた後、千冬は立ち上がった。
千冬「わかった。なら、言葉に甘えさせてもらう。」
そう言って千冬は、職員室から出ていった。
山田「あの織斑先生!ってもう行ってしまいました。」
アル「そんな深く心配すんなって。同じ職場に働く同姓なら、先輩の恋路を応援してやりな。」
アルベルトは、くしゃみをひとつした後に、一夏の部屋へと向かった。
~~~IS学園前~~~
アル「にしても、せっかくのデートなのに普段のスーツ姿とはな。こんな日くらいお洒落な格好するとか考えないかな仕事脳は。」
一夏「まぁ、千冬姉にとって仕事が人生の全てって感じでしたから。そんな考えに至らないと思いますよ。
それに、もしかしたらそんなお洒落着は持ってないかも。」
二人は、物陰に隠れながら腕時計を何度も見ている乙女な千冬を見ていた。
すると千冬の顔が、とても明るくなった。
リズ「すみません千冬様、少し遅れてしまいました。」
千冬「い、いやそんなこと無いですよ。それに、待ってる時間もいとおしい//」
あまりに恥ずかしそうに話したせいで、後半の言葉はリズリーに届いていなかった。
リズ「では、早速ですが出発致しましょうお嬢様。」
そう言ってリズリーは、千冬の手を取り歩きだした。
アル「なんだよ、リズの野郎もタキシードじゃん。お互い、仕事着って。どんなデートだよ。」
一夏「そんな事よりも、速く追いかけましょう!」
リズと千冬のデートが始まりました。
水着回の時は、つけられていた一夏ですが今度はつける番です。
堅物二人のデートですから、どんなデートになるか楽しみですね。
まぁ、千冬は既に乙女になってますが。