アナザーラバー   作:なめらかプリン丸

91 / 143
第91話

~~~職員室~~~

 

山田「・・・せい、織斑先生聞いていますか!?」

 

突然の山田先生の声で、千冬はハッとなった。

 

千冬「すまない山田先生。少しだけぼんやりしていただけだ。それで、話とはなんなのだ?」

 

山田「ですから、今日の授業に関しての打ち合わせです。

もう、しっかりしてください。」

 

千冬「あぁ、そうだったな。」

 

千冬は、生返事のまま授業に向かった。

 

~~~教室~~~

 

千冬「さてお前ら、今から出席をとる!」

 

そう言って千冬は、出席簿を手に取った。

その瞬間、教室が少しだけざわついた。

 

一夏「千冬姉、手に持ってるの出席簿じゃなくて教科書だぜ?」

 

千冬「あれ?出席簿・・・出席簿が無い!すまないお前達、職員室に出席簿を忘れたみたいなので、いそいで取ってくる!」

 

そう言って千冬は、大急ぎで教室から飛び出していった。

 

一夏「取ってくるって、机に置いてあるのに。」

 

アル「まさかデートのセッティングをしただけで、あの織斑千冬がここまで動揺するなんてな。やはり、女心は理解できんな。」

 

一夏「アルさん、いたんですか。それよりも、デートのセッティングってどういう事ですか!?

まさか、あの千冬姉がデートするって言うんですか!?」

 

一夏は、少し焦ったように大きな声を出してアルベルトに問いかけた。

一夏の大声と、見知らぬ男が教室にいるとで、生徒達はざわつき始めていた。

 

アル「まぁあれだ、詳しい話は放課後になってからだな。時間になったら、部屋まで迎えに行くわ。」

 

そう言ってアルベルトは、教室から出ていった。

 

そして授業が始まってからも、千冬はどこか上の空だった。

そのせいで、らしくないミスを連発したまま放課後を迎えた。

 

千冬(はぁ・・・私としたことが、まさかこんな事で動揺するなんて・・・)

 

山田「大丈夫ですか織斑先生?まだこんなにも書類が残っていますよ?」

 

千冬「そうだったな。ありがとう山田先生。今すぐ終わらせるよ。」

 

千冬が書類作業に取り掛かろうとした瞬間、職員室のドアが勢いよく開き、アルベルトが入ってきた。

 

アル「おいおい千冬、何を呑気に仕事をしてるんだ?速くしないと、待ち合わせの時間に遅れるぞ。」

 

千冬「そうだが・・・まだ私には仕事が残って・・・。」

 

アル「そんなもん校長に許可をとってある!書類なんて、1日サボったくらい、何ともない。

それよりもデートの約束をすっぽかす方が、大事だろ?セッティングした俺の面子ってもんも考えてくれ。」

 

アルベルトはそう言いながら、強めに千冬の肩を叩いた。

そして少し考えた後、千冬は立ち上がった。

 

千冬「わかった。なら、言葉に甘えさせてもらう。」

 

そう言って千冬は、職員室から出ていった。

 

山田「あの織斑先生!ってもう行ってしまいました。」

 

アル「そんな深く心配すんなって。同じ職場に働く同姓なら、先輩の恋路を応援してやりな。」

 

アルベルトは、くしゃみをひとつした後に、一夏の部屋へと向かった。

 

~~~IS学園前~~~

 

アル「にしても、せっかくのデートなのに普段のスーツ姿とはな。こんな日くらいお洒落な格好するとか考えないかな仕事脳は。」

 

一夏「まぁ、千冬姉にとって仕事が人生の全てって感じでしたから。そんな考えに至らないと思いますよ。

それに、もしかしたらそんなお洒落着は持ってないかも。」

 

二人は、物陰に隠れながら腕時計を何度も見ている乙女な千冬を見ていた。

 

すると千冬の顔が、とても明るくなった。

 

リズ「すみません千冬様、少し遅れてしまいました。」

 

千冬「い、いやそんなこと無いですよ。それに、待ってる時間もいとおしい//」

 

あまりに恥ずかしそうに話したせいで、後半の言葉はリズリーに届いていなかった。

 

リズ「では、早速ですが出発致しましょうお嬢様。」

 

そう言ってリズリーは、千冬の手を取り歩きだした。

 

アル「なんだよ、リズの野郎もタキシードじゃん。お互い、仕事着って。どんなデートだよ。」

 

一夏「そんな事よりも、速く追いかけましょう!」

 

 




リズと千冬のデートが始まりました。

水着回の時は、つけられていた一夏ですが今度はつける番です。
堅物二人のデートですから、どんなデートになるか楽しみですね。

まぁ、千冬は既に乙女になってますが。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。