それから千冬とリズリーは、軽く雑談を交えながら目的地の宛もなく歩き始めた。
アル「ったく、良い大人のデートだってのにこれじゃあ、職場の備品の買い出しだぜ。つまらん、なんなら邪魔しに行こうか?」
一夏「まだ5分もたってないですよ。飽きるの早すぎです。でも、確かに少し物足りない気もしますね。」
ほぼ1分ごとに退屈で文句を言うアルベルトをなだめながら、一夏達は二人の尾行を続けていた。
そして二人は、そのまま商店街に来ていた。
千冬「ここが、私がいつもお世話になっている商店街です。」
リズ「なかなか、雰囲気の良い場所ですね。こんなに良い場所で育ったので、千冬様や一夏様は素晴らしい御方に育ったのですね。」
千冬「そ、そんな事無いですよ//私なんて、リズさんと比べれば平凡な人生ですよ//」
リズリーに誉められて恥ずかしいのか、千冬は顔を赤くしてリズリーから顔をそらした。
そして気をそらすために、近くの雑貨屋さんへとリズリーの手を引いて入っていった。
中にはいった千冬は、自分がしている事に気がつき余計に赤くなった。
リズ「地域の商店街にしては、品揃えが良いですね。」
千冬「突然手なんて繋いでしまって、すみません//自分でも何をしているのか・・・」
リズ「それくらい、なんとも無いですよ。それよりも、今日は私がエスコートする筈でしたのに、それこそ申し訳ございません。」
そう言ってリズリーは、千冬の右の手の甲にキスをした。
リズ「おや?これは素敵な髪飾りですね。そうです、お詫びとしてこの髪飾りをプレゼントしますよ。」
リズリーは、花柄の髪飾りを手に取りそう言った。
外で待っている一夏達は、中の様子が見えずに一夏は不安に、アルベルトは退屈に襲われていた。
アル「外で待ってなきゃならんのも、暇で暇でしょうがないな。中の様子が気になるな。」
すると、ふたりが出てきた。
髪飾りをしている千冬、そして自分の右手の甲を見ながら惚けている姿を見て、アルベルトは中で起きたことを瞬時に理解した。
そして一夏の肩に手を置いた。
アル「あの様子だと、時間の問題だな。今のうちに覚悟をきめておけよシスコン君。」
そう言ってアルベルトは、二人の尾行を続けるために歩き始めた。
一夏「アルさん、時間の問題ってなんですか!?それに覚悟を決めろって!?」
アルベルトのことばの意図に気がつかない一夏だったが、今は尾行を続けることにした。
そして商店街を歩いていると、二人は八百屋に声をかけられた。
八百屋「誰かと思ったら、千冬ちゃんじゃないか?ワシらが知らんうちに、そんな男前を捕まえてるなんてな。」
千冬「なにを言うんですか!?別に、捕まえてるだなんて//」
八百屋「照れんでええ。それよりも彼氏さん、あんたの名前は?」
リズ「自己紹介がまだでしたね。千冬様の彼氏をさせてもらっている、リズリーともうします。」
リズリーがそう言った瞬間、アルベルトの顔つきが変わった。
八百屋「おお!そうか!それでリズリーさんよ、あんたは千冬ちゃんの事を、ちゃんと愛してるんか?」
リズ「はい。この世の誰よりも愛していますよ。」
千冬「もう恥ずかしいから止めてくれ!私達はもう行きますから//」
そう言って千冬は、リズリーを引っ張り走り出した。
アル「う、嘘だろ・・・。まさかリズが・・・」
~~~ショッピングモール~~~
千冬達は、ショッピングモールのフードコートに来ていた。
そして尾行組も同じように、遠くの席に座っていた。
だが、さきほどの八百屋との会話から、アルベルトの様子がおかしかった。
一夏「いきなりどうしたんですかアルさん?リズさんが何かおかしい事でもしたんですか?」
アル「いや・・・すまん!!少し落ち着いてくる。」
そう言ってアルベルトは、席を立った。
マイルナ「全く、ふたりでこそこそ学園から出ていったと思ったら、デートの尾行だったのね。」
一夏が後ろを振り向いたら、買い物袋をもったマイルナが立っていた。
リズリー大胆すぎ!
まさに、ジェントルマンですね。
そしていきなり様子が変わったアルベルト。
いったい、原因はなんなのでしょうね?