千冬とリズリーは、夕日がよく見える見晴らしの良い場所に来ていた。
千冬「ここは、私のお勧めのスポットだ。どうだ?夕日が綺麗に見えるだろう?」
この場所から見える夕日を見て、なぜかリズリーは涙を流していた。
千冬「ど、どうしたんですか!?もしかして、あまり好きじゃ無かったんですか??」
リズ「いや、こちらこそすみません。実は、昔の事を思い出していましてね。」
千冬「そうなんですか・・・。そう言えば、リズさんの過去ってどんなのなんですか?」
リズ「私の過去ですか?そうですね、この際ですし私の全てをお教えしますよ。」
こうしてリズリーは、自分の子供時代の話をした。自分が虐待を受けていた事、自分が孤児院に入った経緯を話した。
リズ「私は、いや・・・私達はどこかしら、アルベルトに対して優越感や同情をしていました。なぜなら、私達には片親がいる人、両親に愛されていたが、訳あって孤児院に来た人しかいなかった。
アルベルトは、私達とは違い親の愛を全く知らずに生きてきました。」
千冬「そうだったんですか。だから、リズさんはあんなにもアルベルトさんと仲が良くないんですね。」
リズ「いえそれは違います。私がアルベルトに抱いている感情は、憧れです。」
千冬「違うって、どういう事ですか?それに憧れって・・・」
リズ「そうですね。私は、孤児院に入った時に思ったことは『自分はとても不幸な人生を送っている』それだけでした。
同年代最後に来たので、先に入っていた方々は私を受け入れる様に、気さくに話しかけてくれました。
ですが私は、そんな皆の態度を同情や慰めだと感じ皆と距離をとっていました。」
リズ「ですがそんな中、アルベルトだけは私に興味を示していませんでした。聞いた話でしたが、アルベルトは初めに孤児院にいた様で言うなれば、私は見慣れた光景だったんです。
そんなアルベルトに私は、逆に興味を引かれ自分の生い立ちを話しました。」
リズ「すると彼は、私に対してとても恵まれている。と言いました。私には意味がわかりませんでしたが、彼の生い立ちを聞けば理解できました。そして、今も自分を心配してくれる母がいる幸せも理解しました。
それから私は、彼をお兄様と慕い彼にベッタリでした。」
リズ「愛を知らない筈なのに、周りには愛を与える姿が、次々と親達に引き取られていく仲間を見ても、笑顔で見送っていたその姿が、わたしにはとても眩しかった。なぜあんな人生なのに、今も笑いながら誰かを愛せるのか!!
私は彼になりたかった。全てを愛する事の出来るお兄様になりたかった!少しでも、お兄様の見ている景色を見たかった!!」
リズ「悪態をついている時、彼と対等になれた。こんな私でも、お兄様と言葉上では同じなんだと納得させています。こうでもしなくては、私は劣等感で潰されていまいました。
ですが、これでもお兄様に近づいてはいません。そして出た答えは、私もお兄様と同じ様にだれかを愛してみようと想い、今日に至った訳です。私の勝手な考えだけで貴女を振り回してしまって申し訳ございません。」
そう言って頭を下げたリズリーは、自分の想いをぶちまけた為か大粒の涙を流していた。
千冬「大丈夫です。私は迷惑だなんて思っていません。それに、私も今回のデートをとても楽しみでした。
貴方と歩いた道、貴方と話した会話の全てが私にとってかけがえのない思い出です。
その・・・、順序が可笑しいと思うんだが//こんなわたしで良ければ、よ、宜しくお願いします//」
千冬は、赤面しながら左手を差し出した。
それが何を意味するのか理解したリズリーは、優しくその左手を握った。
リズ「こちらこそ、これからもご迷惑をお掛けすると想いますが、末長く宜しくお願いいたします。」
そう言ってリズリーは、ポケットから指輪を取り出し、千冬の左手薬指にはめた。
リズ「これからは義理の弟になるわけですね一夏様・・・、いえ他人行儀じゃいけませんね。
これから宜しくね一夏くん。」
一夏「なんだ、最初からバレてたんですね。」
リズリーに呼ばれ、一夏は草影から出てきた。
悪態をつこうが、本音を話せばお兄様と呼ぶなんて、リズは心からアルを慕っているんですね。
そして急展開!!これにて、リズと千冬はめでたくゴールインです!!
もしかしたら、批評や物申しがあるかもしれませんが、出来れば暖かく見守っていただけたら幸いです。