一夏「いつから、つけていた事に気づいていたんですか?」
一夏がそう聞くと、リズリーは少しだけ思い出すかのように空を見上げた。
リズ「そうですね、私と千冬・・・いきなり呼び捨てで呼ぶのは照れますが、千冬と待ち合わせた場所の時点で既につけていたのでしょう。そして、私達のデートを隠れて見ていたつもりかもしれませんが、一夏くんは素人なので気配を消しきれていませんよ?」
リズリーの見事な推理に、一夏はぐうの音も出なかった。
だが、ある一つの疑問も生まれた。
一夏「そう言えばリズリーさん、俺がつけてるのは気づいてた見たいですけど、もう一人にはきづいてるんですか?」
リズ「もう一人とは?」
アル「俺の事だぞ?にしても、聞いてるこっちが恥ずかしい事言いやがって。」
一夏の後についで出てきたアルベルトに、リズリーは顔を合わせる事が出来なかった。
なぜなら、先ほど千冬に話した自分がアルベルトに体する想いが聞かれていたと思うと、恥ずかしさよりも情けなさが出てしまったからだ。
リズ「お兄・・・貴方ほどの人なら、気配を消すことが出来ますね。
それに聞かれてたのですか・・・」
それから、二人の間に気まずい沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは、アルベルトの方だった。
アル「まぁ、良いんじゃないか?お前は昔から自分の事はあまり話さなかったからな。」
リズ「ですが!お兄・・・アル!」
アル「ほら!!何のプライドがあるのか知らんが、わざわざ呼び方を変える必要は薙いだろ?お前は既に、一人の立派な男だからな。
おまえのやりたい様に、呼びたい様にすりゃ良いだろ?」
アルベルトのことばに、リズリーは少し涙を浮かべた。
リズ「そうですね。ではお兄様、私はあの頃より少しでもお兄様に近づく事は出来たのでしょうか!!
私はお兄様の隣を歩ける人間になれたのでしょうか!!」
リズリーの心からの叫びに、アルベルトは大きく息を吐いた。
そしてリズリーに近づいていき、リズリーの頭に軽いチョップを当てた。
アル「バカかお前は?そんな事をずっと気にしてたのか?さっきも言ったが、お前は既に一人前の男だ。
俺に近づいたんじゃなく、お前はお前なんだ。それに・・・」
そう言うとアルベルトは、リズリーの胸の所に握りこぶしを当てた。
アル「俺はお前ほど素晴らしい男は見たことないぜ。だから、自信をもて。
お前はこれから、千冬の旦那として強く生きてかなければいけないんだぞ。」
リズ「うん、わかった・・・わかったよお兄様。でも、やっぱり私にとってお兄様は憧れなんです。
お兄様がどう思おうと、私は貴方の背中を追い続けます!」
アル「そうかい勝手にしろ。それより一夏、さっさと帰ろうぜ。後は若いもん同士でいちゃつかせとけ。」
アルベルトは欠伸をしながらそう言った。
一夏「待ってよアルさん!じゃあ俺も帰るけど、詳しい話はまた今度にするよ千冬姉。」
そう言って一夏は、アルベルトの後を追っていった。
リズ「良い弟さんですね。私達の関係を否定しないなんて、どこかお兄様に似ていますね。」
千冬「そんな大層な者じゃないさ。ただアホなだけです。それよりも、ふたりの間のわだかまりも解消できてよかったですね。」
リズ「そうですね・・・私達も帰るとしましょう。では、お手をどうぞ。」
リズリーは、千冬に右手を差し出していった。
その行動に、赤面しなからも答えるように千冬は左手で手を繋いだ。
千冬「そ、そうですね//帰るとするか//」
こうして、堅物二人のデートはハッピーエンドで終了したのでした。
これにて、デート編は終了です!
甘酸っぱいですね!
青春ですね!
この事が学園内に知れ分かったら、おもしろい事になりそうでね。