次の日、朝のHRが始まるまでの時間一夏は気が気ではなかった。
その原因は千冬とリズリーの事である。
二人が付き合い、しかも結婚までするとなると確実に学園中で話題になり、平穏な日常が遅れなくなるからだ。
一夏(はぁ・・・、こんな事になるなら昨日アルさんと一緒に、尾行なんてするんじゃ無かったよ。でも、さすがに千冬姉も仕事とプライベートは分けて、指輪を外してくるはずだ。はずだと願うよ。)
一夏は大きなため息をはいた。
女子生徒「ねぇ一夏くん、昨日来てたあの人、今日も来てるんだけど・・・。」
その方向を見てみると、楽しそうに何かを待っているアルベルトが教室の後ろに待機していた。
恐らく、千冬の事でクラスが大騒ぎするのを直接見たいのであろうと、一夏にはすぐわかった。
一夏「大丈夫だよあの人は、ただの性格の悪い大人だから。」
アル「丸聞こえだぞ一夏。」
一夏「聞こえるように、わざと大きな声で言ったんですよ。」
一夏がそう言うと、アルベルトは近づいてきた。
アル「おいおい、何をそんなに気を落としてるんだ?これから、面白い事になるんだぞ?」
一夏「だからですよ。はぁ・・・どうしよう。」
シャル「朝からため息なんて、どうかしたの一夏?そんな事じゃ、また織斑先生に然られちゃうよ。」
セシリア「そうですよ一夏さん。ですが、何か悩み事があるのでしたら、私達もお力になりますので相談してください。」
いつものメンバーが続々と集まりだすと、アルベルトは我慢できなくなりにやけていた。
箒「義兄さん、そんなにニヤニヤしてどうしたんですか?もしかして、昨日一夏と出掛けた事に関係するんですか!?」
アル「いや~すまんすまん。やっぱ、人生って楽しいな。」
そう言ってアルベルトは、元の場所に戻っていった。
シャル「どういう意味なんだろうね?何か意味深な様な気もするけど。」
するとチャイムがなり、千冬が教室に入ってきた。
一夏は立ち上がって千冬の左手薬指を確認したが、ちょうど出席簿を持っていて、隠れて見えなかった。
千冬「お前達速く席につけ。それに一夏、何を立っているんだ?」
一夏「ごめん千冬姉・・・ハッ!」
焦りと心配からか、先生と呼べなかった一夏はまた怒られると思い、身構えた。
千冬「そうか、なら速く座れ。欠席扱いにするぞ。」
千冬の態様に、クラス中が唖然としていた。
いつもあれほど注意している筈なのに、何事もなかったかの様な受け答えに疑問しかなかった。
千冬「どうたんだお前達?それより、出席をとるぞ。」
千冬には、しっかりと指輪がはめられていた。
それをいち早く見つけた一夏は、ばれないようにと祈るしか無かった。
一夏(なんで指輪してきてるんだよ!ヤバイ、これは確実にばれるよ・・・。いや?もしかしてあまりに自然すぎるからばれないかも?んな訳ないだろ!もう、どうか神様!!皆にばれませんように!!)
ラウラ「ん?教官、左手薬指に指輪をしていますが、どうかしたのですか?」
ラウラの言葉で、生徒達はまるで時間が止まったかのようになった。
千冬「この指輪か?その・・・なんと言うかだな//婚約指輪ってやつだな//っていざ口に出すと、は、恥ずかしいな//」
生徒達「こ、婚約指輪!!!」
みごとに簡単にバレましたね。
まぁ時間の問題と云えば時間の問題でしたがね。
アルの気持ちわかりますね。
クラスがざわつくのを、間近で見たいものですよね。