特別講師はクヅです!!   作:PAPUWA

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第4話

創真SIDE

 

俺達は今合宿が行われる遠月リゾートにいる。

流石は金持ち学校。こんな立派なホテルもやっているのか。

大きなホールの中には1年生全員がいるのに静かすぎないか?

「おはよう、諸君。ステージに注目だ。これより合宿の概要を説明する」

壇上でマイクを右手に持ち、生徒を睥睨しているのは一人の壮年の男性。

遠月学園講師。フランス料理部門主任、ローラン・シャペル先生だ。遠月でも特に評価が厳しい講師で、ついたあだ名が「笑わない料理人」。そんなあだ名があるけど俺は物凄くいい先生だと思う。

「日程は5泊6日。諸君らはいくつかのグループに分かれ連日料理に関する課題を行ってもらう。講師の評価が一定のラインを下回った者は失格。学園に強制送還の末、退学となる」

つまり、失敗したらそこで終わりという事か。シンプルでいいじゃねえか。

「審査に関してだが、ゲスト講師を招いている。多忙の中、今日のため集まってくれた、遠月学園の卒業生だ」

『『『え!』』』

『そ、卒業生!』

「てことは、卒業までの到達率一桁を勝ち抜いた天才たち!」

壇上に十数人の男女が並んでいる。・・・この人たちが卒業生。

「そこ、前から9列目の眉に傷のある少年」

いきなり、眼鏡をかけた人に指さされた。なんだ?

「あ、悪い悪いそこの隣の少年・・・退学、帰っていいぜ」

「な」

「整髪に柑橘系の香りが混じっている。こいつは料理の香りを霞ませるんだよな。お洒落は必要だ。作る料理人がダサいと料理に色気が無くなるからな」

「ちょ、ちょっと待ってください!!これだけのことで・・・」

「これだけ?・・・一つのミスが客を失うきっかけになる・・・お前、俺の店をつぶす気か!」

すげえ迫力だな。言われた奴はがっかりして倒れてるし。

「誰だ、あの人?」

俺は極星寮のメンバーの一人である丸井に聞く。

「フランス料理店「SHINO`S」四宮小次郎シェフだよ!日本人で初めてプルスポール勲章を受章した最初の日本人だ!それにイタリア料理店「リストランテ エフ」水原冬美シェフ!鮨店「銀座ひのわ」関守平板長!オーベルジュ「テゾーロ」ドナート梧桐田!日本料理店「霧のや」乾日向子!・・・あ、あれはッ!・・・」

壇上を見るとスーツを着た男が上がってきた。鍛えられた体から迫力あるオーラを身に纏っている。

「卒業試験を主席喝、歴代最高得点でクリアし世界中の高級料理店のオファー800件をすべて断って今の立場を選んだ男、遠月リゾート総料理長兼取締役会役員、堂島銀!!

感動だ!日本を代表するスターシェフが目の前にそろい踏みしている!!」

・・・すげえ、こんな人たちの下で5日間も!!

「ようこそ、我が遠月リゾートへ。今日集まった卒業生たちは、全員が自分の城を持つオーナーシェフだ。合宿の六日間、君らのことを自分の店の従業員と同様に扱わせてもらう。この意味が分かるか? 俺たちが満足できる仕事が出来ないヤツは・・・」

堂島先輩は左手の親指を立てて、右肩の上。首元へと持っていく。そして、左手を斜めに引き下げて、言葉を穿つ。

「クビ!・・・退学という事だ」

残酷なことをそんな怖い顔で言うなあの人。ほとんどの奴らがビビっちまってる。

 

 

「そして、今回の合宿にはもう1名スペシャル講師を呼んでいる」

「スペシャル講師?」

「その者はここにいる卒業生と違い自分の城を持っているわけではない。遠月を卒業してまだ2年ほどしかたってなく、事情あるため。しかし、スペックはここにいる俺達に引けを取らないレベルで有る事はこの俺が保証しよう!」

獅子の咆哮の如き堂島の宣言に多くの生徒が驚愕する。

「あ、あの堂島シェフがそこまで肩を持つ料理人!?」

「い、一体どんな人なんだ!?」

生徒が騒めく中、ホールの扉が開いて一人の男が歩いてくる。長身で、堂島と同じ位鍛えられた肉体。肩より下まで伸び緑色のメッシュが混じった赤い髪。その容姿に畏怖、興味、好意、数々の感情が渦巻く中ゆっくりと歩み寄る。

壇上に上がると堂島が彼の紹介をする。

「紹介しよう!遠月学園第89期首席で卒業した幸平創慈だ!」

全ての生徒が混乱し始める!!

「う、うそ!あの人が主席卒業生!」

「しかも、あの人の苗字・・・あの編入生と同じ!!」

幸平創真と関わりがない生徒でさえ混乱している。

「もしかして、あの人が創真君の・・・」

この場でただ一人創真の兄について聞いている田所。

そんな中本人は

「・・・なんで、ここにいるの?」

固まっていた。

 

 

「初めまして諸君。若輩ながらこの合宿で講師を務めさせてもらう。卒業生であるためこの合宿の厳しさも承知している。俺から君たちに言えることは唯一つ。強いものが生き残るのではなく、生き残った者が強い!才能、技術、経験、成長、いくつかの要素を武器にするのもよし、諦めることもよし、お前たちの自由だ。だが、始まっていないのに縮こまって居る者は今すぐ出ていけ!学園で生き残る上でこの合宿は序章に過ぎない!いくつもの試練を生き残った者が真の1流になれる!お前たちも自分のすべてを曝け出して挑んでほしい」

「そう・・・」

創慈は全身に力を入れ、ミチミチと服から音が聞こえてきた。

「実力による格差社会ではなく自分のすべてを隠さない社会をこの合宿で行え!!」

雄たけびと共に上に来ていたシャツが破け散った。

服が破けたことに驚愕する物。

上半身裸の人間の登場に興奮、羞恥する者。

言葉が出ない者。

そんな生徒を無視し、創慈はスピーチを続ける。

「お前たちの健闘を祈る」

創慈はそのまま卒業生組に混じる。

そして、堂島に怒られた。

 

 

 

「全くお前は、なんだ最後の堕ちは!俺は心の中で少し感激していたというのに!最後に生徒の前でトラウマ植え付けさせるな!」

「いや~、俺らしさをアピールする最高のギャグだったと思うんですけど」

怒る堂島、笑って返す創慈。

「・・・まあいい、1日目のお前が考えた課題内容を教えろ。ちゃんと考えてきたんだろうな?」

「ええ、俺が考えた課題は・・・こんな感じです?」

「なるほど。中々いい課題じゃないか。しかし、厳しすぎないか?」

「そうですか、これくらいできなきゃ意味がないと思いますが?」

創慈と堂島が話していると他の卒業生メンバーが集まってきた。

「久しぶりだな、創慈。相変わらず無茶苦茶な奴だ」

「本当に、二十歳すぎて変わらないわね」

「全くだ」

「しかし、それが創慈君といいところでもありますよ」

「俺もそう思いマース」

色々な言葉を掛けられる創慈は挨拶をする。

「お久しぶりです、先輩方。お変わりないようで」

創慈は彼らの事を良く知っている。創慈が在学中にもこの合宿に参加し、それ以外にも人手が足りない時はヘルプとして雇っていた時期もあった。だから、彼の実力や性格は分かっている。

「お前たち、再会を楽しむのもいいがもうすぐ時間だ。各自指定されたバスに乗れ」

堂島の言葉に耳を傾け、それぞれの準備に取り掛かった。

合宿1日目がスタートした瞬間であった。

 

 

 

「それではこれから、課題を始める。今回の課題は2時間以内に1品の料理を作れ。材料はこの部屋に最低限の食材は揃えた。足りない物はこの部屋の外の私有地から取ることも構わない。兎に角、自分が作れる最高の逸品を作れ」

創慈は課題の説明を行う。

最低限の食材があるということで安堵する学生がほとんどだが警戒する学生も一部いる。

更に説明を続ける創慈。

「そして、今回の課題には他に2つのルールを加える。1つは審査する時間が決まっている。スタートから1時間後、2時間後に審査を行う。例え早く完成させたとしても、審査時間まで俺は審査も干渉もしない。2つ目はお前たちに持ち点を10点を与える。今回の課題の中で料理は勿論だが色々な能力を見て評価する。持ち点が0点になった者は退学とする。以上だ、それでは開始しろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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