これは合宿が終了してしばらく経った6月の頃。
創慈に一つの仕事が課せられた。
総帥の知り合いに当たる川神学園で大行事が行われることになった。
そこに2000人分の弁当を届けることである。
弁当は遠月の卒業生や超一流の管理栄養士が籍を置く遠月弁当部門が開発した弁当である(価格は3000~5000円)。
それを届けるために創慈は朝早くから川神に向かってトラックを走らせていた。
「あのジジイ!俺の愛トラックは運送会社のモンじゃねえんだよ。休日にいきなり、電話かけてきて弁当届けろだ!人使い荒すぎだろ・・・っと!」
創慈は急にトラックを止めた。
「近くにコンビニもねえし、しょうがねえここでするか」
創慈はズボンのチャックを開いて立ションを始めた。
「はぁ~、この開放感、タマンネェ~!「動くな!そこのお前!」あぁ?」
そこには燕尾服を着た複数の男がいた。
「我らは九鬼財閥従者部隊である。現在川神は川神大戦の警備も兼ねて我ら従者部隊が取り締まっている。公然猥褻罪の容疑で連行する」
「ちょ、ちょっと待て!少し、人気のない場所で小便してただけだろ!」
「いいから、一緒に来い!」
数人の男は創慈を力づくで連行しようとする。
「(冗談じゃねえ!こんなこともし爺さんに知れたら、給料カットか解雇もんだぞ!仕方ねえ、こうなったら!)うらぁ~!」
創慈は一振りで二人の男を投げ飛ばした。
「しょうがねえ!久しぶりに戻ってやるよ!『羅刹』!『バトルサイボーグ』!と恐れられたこの幸平創慈が全員纏めて相手してやるよ!」
「ッ!と、捕えろ!」
従者たちが向かうが創慈は全員1撃で撃破してしまった。
「ふん!他愛もねえ・・・て、やばい!配達の時間まで30分くらいしかねぇ!」
創慈は急いでトラックに乗り目的地に向かって出発した。
だが、一人の従者が
「全・・・部隊へ・・・きょ、凶暴な・・・犯罪者、発見・・・」
「いや~、すまんの。ただの囲碁友の頼みを聞いてこんな豪華な賄いを。総帥殿には儂から礼を。どれ、疲れたじゃろ!しばらく休んでいきなさい」
「あざっす!」
結果、なんとか時間には間に合い仕事は完了した。
今、創慈は学園長である川神鉄心と話している。
川神学園の学園長で武術の総本山とも言われる川神院のトップで『武神』の異名を持つ。そんな鉄心は細い目で創慈を見る。
「(強いな。中々鍛えられた肉体、本人は気付いているかわからんが気もマスタークラス。強さだけなら釈迦堂やルー以上、ヒュームに匹敵するかもしれん)中々いい体つきをしてるのお主」
「ああ、毎日鍛えてるんで。てか、さっきから向こうから雄たけびとか聞こえますけどなんなんすか?」
「川神大戦じゃ」
「なんすかそれ?」
「それは川神学園の歴史における大戦争。まぁ、簡単に言えばクラス同士の喧嘩の最大発展と言ってもいい。
重傷者や死者がでないよう配慮されているとは言え、最早それは戦争じゃ。」
「へぇ、面白そうっすね。合法で世紀末ごっこ出来るなんて、食戟みたいで」
そんな他愛のない話していると遠くからさっきの10倍の九鬼従者部隊が向かってた。
「見つけたぞ、凶悪犯!暴行容疑の罪で強制連行する!」
「ち!もう、着やがったか!爺さん、今からあいつら片付けるけど目を瞑っくれ」
「何?」
創慈は向かってくる従者部隊に構えをとって向かい討つ。
まず、一人をワンパン。
次にワンパンした男を武器にして数人を撃破。最後に、手裏剣のようにぶつけた。
そして、
「創慈48の必殺42の技『羅刹連撃蹂躙』!!」
説明しよう、『羅刹連撃蹂躙』とは創慈が21年の人生の中で編み出した必殺技の1つである。相手の溝や頭などの急所を恐ろしい速さで狙う無双技である。
開始から、2分ほどで数十人の敵を撃破してしまった。
「ち!数さえ集めれば俺に勝てると思ったのかよ。一人一人がヤムチャ程度じゃ相手にならねえんだよ。ヤムチャが超サイヤ人に勝てるかよ。」
「(やはり、やりよる。技は正直言って無駄が多すぎるが身体能力で補っておる。まさしく、我流使い。天才じゃな。この男なら・・・)中々、面白い技じゃな。どうじゃ、お主も川神大戦に参加してみぬか?」
「はぁ?」
「お主の戦いを一人の武人としてみたくなっての。それにうちの学園では・・・男より女の方が強い!」
「っ!!」
さっさと帰りたくて適当に聞いていた創慈が耳を傾ける。
「あれを見ろ!!」
鉄心は川神大戦が行われている戦場を指さす。
そこには薙刀をもった元気な活発少女(川神一子)
レイピアで牙突顔負けの突きを繰り出すパツ金外国人(クリス)
さらに遠くにはクールに弓を放つクール美女(椎名京)
刀を持って無双する大和撫子(黛由紀恵)
それだけではない。あたりにはメイドやら女軍人など正直美女、美少女の集まりである。それを見た創慈は
「あら!なんて、きゃわいい娘たち!しかも、血なまぐさい戦場から微かに香る濃厚な処女の香りが~!・・・ッ!」
突然、それは起こった。
隕石でも落ちてきたのかと勘違いするほどの衝撃。その衝撃に巻き込まれて、多くの生徒が巻き込まれ吹っ飛んだ。砂埃が舞う中その女は立っていた。そこには美しい黒髪をなびかせる絶世の美女が立っていた。
「な、なんだあの高目の女は!(くん、くん)しかも、俺が今まで出会った女達とは何かが違う!本当に人間か!?」
「あの子は川神百代。儂の孫娘で『武神』の異名を持つ世界最強クラスの達人じゃ」
「・・・いいだろう、爺さんの道楽に付き合ってやるよ。俺も興味が湧いた」
舌を出し、獲物をみつけた肉食獣の目になる。
「そうか、そうか。さて、お主はどちらの陣に加えるか?」
そんなことを考えていると係の人間が来た。
「すみません、こちら回収をお願いしたいんですが?」
そこには創慈が配達した弁当であった。
「おい、ちゃんと人数分配達したはずだぞ。こんなに余るはずがねえ」
「そ、それが・・・S組の一部の生徒が口に合わないと言ってそのせいで受け取らなかった生徒が多発してしまってこんなにも余ってしまったんです」
「・・・」
創慈は係員に近づきゴミ袋の中にある弁当を見る。
そこにはほとんど手を付けなかった弁当だけではなく、明らかに踏みつけられて泥が付いた無残な弁当があった。
創慈の中で何かが切れた。
「・・・この弁当は昨日の夜から仕込みした料理をパートのおばちゃんたちが頑張って盛り付けたもんだ。食材だって遠月と契約してる農家とかから貰った一級品だ。それが口に合わねえだと・・・どこのどいつだクソ味覚音痴共は!!」
「!気が上がりよった!」
「爺さん、俺をS組とかいう連中とは逆の陣に入れろ・・・JKの悲鳴聞きながら遊ぶのは遠月のプライドを踏みつけた馬鹿を潰してからだ!!」
遠月SIDE
川上大戦の舞台となる丹沢では報道用のヘリが飛んでいた。
『皆さんこんにちは。今日、私は丹沢上空に来ております。なんと!今日ここ丹沢で戦国時代さながたらの“合戦”が川神学園の生徒によって再現されると聞いてと聞いてやってまいりました。競うことを推奨する川神学園ならではですね。ご覧下さい。生徒の目もギラギラとやる気に満ちています。一体どのような戦いを見せてくれるのでしょうか?』
「お爺様、このような番組を見るなど珍しいですね」
「えりなか!このテレビに映っているが学園の学長は儂の古い先輩で大恩人でのその一大イベントをつい見たくなっての」
「お爺様の先輩?」
「料理人ではないが人生としての先輩じゃ。なんせ、齢120歳をとうに超えている妖怪よ。それにこのイベントには遠月の弁当部門が新作を提供しておる。今朝方、創慈に届けさせたところじゃ」
「創慈先生に・・・ですか?」
「まぁ、今回ばかりは場所が場所じゃからの。力ある者こそが正義のあの学園で少しは期待しておるのじゃよ。あの男が何を起こすのかを」
『おおっと、遂に均衡が崩れました。S組が最終兵器、川神百代選手が投入。武神の異名を持つ彼女の投入は終戦の前兆なのか!・・・ん?何でしょうか?森の奥から、ものすごい勢いで何かが向かってきます』
テレビの画面が変わり、森の奥から何かが出てきた。
そこにはV-MAXの大型バイクで爆走する一人の男。
二人はその姿に見覚えがあった。
『何者なんでしょうか!?突然、謎の男が戦場に乱入!?カメラさん、あの男にカメラ回してください』
「殲滅!蹂躙!何でもあり!!バトルサイボーグ創慈!!勝手ながら、F組に加勢する!!細かいことは置いといてS組!お前たちに一言だけ言わせてもらう・・・食い物粗末にした馬鹿どもはどこにいる!!」