tears   作:如月 苺

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再会

 暗殺の任務や書類の仕事をこなしていた私に、一週間の休暇が言い渡された。

 

「お前はよく働いていたからな。この休暇で羽を休めるがよい」

 

 私に休暇を与えた朧さんは、何時もより優しい声でそう言った。私は嬉しくなって破顔する。

 

「ありがとうございます!」

 

 せっかく貰えた休み、何をしようかなと考えていると、朧さんは真面目な顔で言った。

 

「羽を伸ばしすぎぬようにな」

 

「分かってますよ!」

 

 そう返しながらも、初めての休暇に私は浮かれていた。

 

 首領室を後にした私は、柩さんとすれ違った。

 

「機嫌が良さそうじゃねぇか」

 

「はい、初めてのお休みですからね!」

 

 満面に笑みを広げると、柩さんは優しい目で私を見た。

 

「餓鬼は餓鬼らしく遊んできな」

 

「はい!」

 

 元気に返事をすると、柩さんが頭を撫ぜてくる。それを心地よく感じながら、私は笑みを深めた。

 

 

 自室に戻った私は休暇をどうしようかと考えて、あることを思い付く。

 

(久しぶりに骸ちゃんに会いたいな)

 

 今は佐々木さんの家にいる彼女のことを思う。

 

(思い立ったら即行動、だよね)

 

 私は立ち上がって自室から出て、奈落の隠れ家から出て、町に続く道を歩いた。

 

(え~と、佐々木さんの家は……)

 

 道行く人に尋ねながら佐々木さんの家を探して、やがてそうと思われる屋敷を見付けた私は真っ直ぐに屋敷の中に入った。

 屋敷の中には、一人の男の人がいた。

 

(えーと、この人が佐々木さんかな?)

 

 そう思って佐々木さんを見つめると、佐々木さんは私を見返した。

 

「童、私に何か用ですか」

 

「……あ、ええと。骸ちゃんに会いに来たんです」

 

 男の人は「骸……」と呟いて、「貴方はあの子の何ですか?」と問い掛けた。

 

「……ええと……友達、かな?」

 

 少し迷いながら言うと、佐々木さんは少し驚いたように目を見開く。

 

「……あの子に友達なんてものがいたとは」

 

 小さく呟いて、佐々木さんは懐から携帯を取り出す。

 

「骸を呼びましょうか?」

 

「あ、お願いします!」

 

 頭を下げると、男の人は慣れた手つきで携帯を操作する。

 

「少し待てば来るでしょう」

 

「ありがとうございます」

 

 佐々木さんは「では私は失礼します」と前方を向いて去っていった。

 佐々木さん背中を見送って、骸ちゃんが来るのを待っていると、一人の女の子が視界に入った。

 

(……骸ちゃん!)

 

 久しぶりに見た骸ちゃんは髪が伸びていて、一つに結んでいた。

 骸ちゃんは私を見ると、私に近付いた。

 

「骸ちゃん、久しぶり」

 

 骸ちゃんに笑いかけると、彼女は「……久しぶり」と小さく返した。

 

「髪伸びたね。何だか可愛くなった」

 

 骸ちゃんは「……そう?」と返して私をじっと見た。

 

「あなたは変わらないわね」

 

 そう告げて、「いえ、変わったところもあるけれど」と付け足す。

 

「変わったところ?」

 

 骸ちゃんは頷き、何処か悲しげな表情を浮かべて言った。

 

「私達と同じ匂いがするわ。あなた、人を殺したのね」

 

「……!」

 

 目を見開くと、骸ちゃんは「分かるの」と告げる。

 

「あなたも、修羅の道を行くのね」

 

 悲しげに言う骸ちゃんに、私は拳を握り締めて、「……うん」と頷く。

 

「私は、私のために剣を振るい続けると決めたの」

 

 骸ちゃんは私を見つめて、「……そう」と返す。

 

「……あなたが敵にならないことを願うわ」

 

 小さく呟く骸ちゃんに、「そうだね……」と頷く。

 

「あ、佐々木家の人達とは上手くやってる?」

 

「……問題ないわ」

 

 良かった。息をつくと、「貴方は?」と骸ちゃんが問い掛けた。

 

「私も問題ないよ。奈落の人達とは必要最低限のことしか話してないけど……鬼だった朧さんは、少し優しくなったから」

 

 骸ちゃんは「……優しくなった?」と意外そうに呟く。

 

「うん。褒めてくれるようになったし、今日なんて休暇をくれたんだよ」

 

 休暇を言い渡された時のことを思い出して笑うと、骸ちゃんは「……そう」と静かに返した。

 

「……あなたが元気そうで良かったわ」

 

「私も骸ちゃんが元気そうで良かったよ!」

 

 骸ちゃんに笑いかけると、骸ちゃんも小さく笑った。

 

(骸ちゃん、何だか変わったな)

 

 そう思いながら、私は骸ちゃんと色々な話をした。

 骸ちゃんと話している間は、あの頃に戻ったような気がして、懐かしさを覚えた。

 

(骸ちゃんは変わったけど、変わってないところもあるんだな)

 

 それを実感して、私は笑みを浮かべた。

 

 

 

 骸ちゃんと別れた私は奈落の隠れ家に戻り、自室に入って、布団に寝転がった。

 

(久しぶりに骸ちゃんに会えて良かった)

 

 目を閉じると、屋敷にいた男の人の顔が脳裏に浮かんだ。

 

(佐々木さんは、骸ちゃんの大事な人なんだろうな)

 

 そう推測して、何だか嬉しくなって、笑みを深めた。

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