このうれしさをっどうしようかと思い、もう一話どうぞ。
感想お待ちしています。
生徒会長黒澤ダイヤ。
オレが通う浦の星で1、2を争う美人と噂される人物だ。網元で古風な家柄でちゃらちゃらしたものが嫌いともっぱらの噂だ。しかし不良たるオレからすれば天敵ともいえる存在。
その彼女は警戒心むき出しで、こちらを泣いて腫れた目で睨みながら凝視している。まあ睨まれたところで怖くないのだが。
ひとまず生徒会長は放置しよう。変に話しかけて後々何か祝えるのも嫌だし、何より空腹で腹が鳴りそうだ。
コンビニ袋からカレーパン(二個入り118円)を取り出し、一かじり。階段の踊り場にカレーのスパイシーな匂いが広がっていく。やはりコンビニのカレーパンは安くてうまい。と空腹に染み渡るカレーパンを堪能していると、
(ぐうぅぅぅぅぅぅーーーーー)
どこからか腹の虫が食い物を求めてむなしそうに鳴く音が聞こえる。この場にはオレ以外に1人しかいないためオレはそのもう一人のほうを見る。相手もオレを見ていたようで目があった。
「今のあんたか?」
「…………」
生徒会長は何も答えず、体育座りに戻ると先ほどよりも深く顔を埋めてしまった。隠れていない耳が赤くなっている。このまま放置して生徒会長に目をつけられても困る。オレは意を決して再び声をかける。
「腹減ってるなら食うか?」
目の前でカレーパンをちらつかせてみる。匂いにつられて一瞬だけ顔を上げる。
「じゃああんたの足元に置いとくから勝手に食え」
オレは手渡すのを諦め、宣言通り生徒会長の足元にパンを置く。なんかお地蔵さんにお供えしてるみたいだな。
少し食い足りなかったので再びコンビニ袋を漁る。3時のおやつ用に買った安売りの抹茶味のプリン。
蓋をはがす音が踊り場に響く、これ意外とうるさいな。
「それっ。プリン?」
いざ一口目を食べようとしたところ声がかかる。声のほうに目を向けると生徒会長が今まで泣いていたのが嘘のように目を輝かせて、プリンを凝視している。
「ああ。そうだが何か? もしかしてほしいのか?」
「いえ。そういうわけではありません。というかなんですのその恰好は? 校則をまったく守ってないじゃないですの」
そういいながらこちらに近づいてくる。口調が変わった。少しは立ち直ったのか? ちなみにうちの男子制服は学ランで、オレは校則を無視してパーカーを内側に着ている。
「じゃあ遠慮なく食べるぞ?」
制服のくだりを完全にスルーして、続ける。校則となる分が悪い。
「どうしてもと言うならもらってあげないこともなくってよ」
「まああんなことがあったばかりだしな特別にくれてやる」
お礼も言わず笑顔でプリンを食べる生徒会長。もしかして好物だったとかか?
「遅くなりましたが助けていただいてありがとうございますわ」
プリンを食べ終わった生徒会長はいきなりそんなことを言い出した。
「いや。もともとオレはここで飯食おうとして邪魔ものを排除しただけだ。あんたのためじゃない」
「いえ。救われたことは事実ですもの。ぜひお礼を」
「いや。いい」
「そういうわけにはいきませんわ」
「だから気にするなよ。ただの不良の気まぐれだ。普段迷惑かけまくってるのにお礼なんて受るし資格がない」
「……」
「じゃあ昼休みもそろそろ終わるみたいだし帰る」
不良を名乗っておきながら逃げるために授業を使う。なんともおかしな状況か。少しそんな状況がおかしくて笑えて来る。結局中途半端。
「明日もここに来ますか?」
嫌な思考を振り払って腰を上げる。振り返らず。階段を下りていく。昼休みが終わる鐘がやけに大きく聞こえた。
今思えば運命の鐘だったのかもしれない。退屈な日常を変える鐘の音。それに気づくのはもう少し後のこと。