なんかびっくりしますね。
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翌日の昼休み。
天気は生憎の雨模様。時々空が叫ぶように雷を落とす。何か問題が起こりそうな嫌な天気だな。
オレは昨日と同じようにコンビニ袋片手に、屋上前の階段の頂上を目指す。そこがオレだけの食事場。雨だろうと関係なくいられるのが利点だ。
昨日はたまた変なのがいたが基本は誰も来ない。はずなのだが……。今日も先客がいた。ピンと張った背筋、すらりと伸びる二本の脚は昨日のことなどなかったかのように堂々と仁王立ちしている。生徒会長黒澤ダイヤだ。
「やはりここにいれば会えましたわね」
「何のようだ?」
「今日はお礼を受け取ってもらいに来ましたわ」
「律儀な奴だな。昨日も言ったが別にお礼目的で助けたわけじゃないし」
生徒会長の脇をと通り抜けて左の壁に着く。オレの定位置だ。
「いいから受け取りなさい」
そういってオレの正面に立ち、何やら紙袋を押し付けてきた。受け取れないと返すもまた押し付けてくる。押して引いてを繰り返すうち生徒会長がよろけてバランスを崩す。動きがスローに見える。オレは紙袋を胸に抱き留める。ふぅー。何とかこっちは無事だった。安心したのもつかの間、目の前に生徒会長の顔が……。ぶつかるそう思い反射的に目をつむる。
――ちゅっ。
口を何か柔らかく暖かいモノでふさがっていた。その感触に思わず目を開く。目が合う。オレの心情を表すよう雷が鳴り響く。
痛みがなかったのは、生徒会長が壁に手をついているからだ。わかりやすく言うなら壁ドンがわかりやすいだろう。まあ立場が逆だが。
オレは頭を壁につけているためこれ以上後ろに下がることができないない。数秒そのまま固まってしまった。しかし下手に突き飛ばしてけがをされても困る。次何か問題を起こせば退学の可能性もあるからだ。
生徒会長はゆっくり顔を離す。そしてそのままうつむいてしまう。こぶしを握りし締め、全身を小刻みに震わせている。気のせいか、何やらどす黒いオーラようなものを纏いそこにたたずむ。そして何かを呟く。
「私のファーストキスを……」
「はい?」
聞き返すとガバッと勢いよく顔上げる。目に大量の涙をためている姿は、外の雨と重なってみえた。
「よくも私のファーストキスを……」
「いやそれはこっちの話だ。どうしてくれんだよオレのファーストキス」
今にもつかみかかってきそうになる生徒会長に向かってオレも声を上げた。
「おだまらっしゃーい」
そんな抗議は意味もなく放たれるビンタは空を切ることなくオレの左の頬にかなり早めの紅葉を咲かせた。怒りでまだれた呼吸で生徒会長はさらに続ける。
「あなたには私のファーストキスを奪った罰としてこれから私に絶対服従することを命じます」
「そんなのいやに決まってだろ」
「嫌なら退学していただくしかありません」
「それは困る」
「放課後生徒会室に来なさい」
鼻息を荒くして生徒会長は去って行く。これかオレの学校生活はどうなるのか? オレの心に残ったのは不安とまだジンジンとしている頬の痛み、お礼にもらった紙袋に入ってた和菓子。
耳にやけに大きく聞こえる雨音をBGMに和菓子を一口食べた。甘い。ん? 変な味がする。さっきの出口が切れたのか。
オレは食事する気にれず、そのままぼーっと1つの和菓子を昼休みいっぱい食べていた。
「ファーストキスは血の味か。……守ったものを自分で壊すとかいつまでたっても成長しないなオレは」
昔を思い出したる呟きはタイミングよくなり響いた昼休み終了のチャイムにと雨音にかき消された。