夜空に浮かぶ金の三日月が二人の鼓動を急がした。
繋いだ手を伝ってお互いの気持ちが見えるようにわかる。そんな時を永遠に そう願うばかりだった。
* * * * * * * * * *
アリッサとエマは夜、ビーチにきていた。
泳ぐわけでもないので水着は着なかった。
ビーチの砂浜と、月の怪しいまでの妖美さが絶妙にマッチしている。二人はこの神秘的な空間にため息をつくばかりだった。
エマ「なんて美しいんでしょう。いや、美しいなんて言葉であらわせない…そう、まるでおとぎ話の世界のようです…そんな場所にあなたといられるなんて、私ったら幸せ者ですね」
アリッサ「一番の幸せ者は私だよ、エマ お前といられるんだからな」
さらりとした甘い告白に、ここに誰かがいたら砂を吐いてしまうだろうな…とおもいながらもアリッサはつい同じように言ってしまう。
そのとき、《パシャッ》 とカメラのような音が聞こえ、反射的にそちらへ振り向く
と、そこには、綺麗な女がいた。
カラスのような癖のまじった黒髪が、白い石膏のような額からなびいている。 ブルーアイズは深い色をしており、彼女の容姿をなにかに例えるならば迷わずに[天使]と答えるだろう。
そんな女が、カメラを構えて月をとっていた。
女「あっ、ごめんね!お邪魔だったかなぁ?」
エマ「いえ、そんなことないですよ!」
アリッサ「こちらこそ撮影の邪魔になっていないだろうか?美しいレディ」
アリッサが女のことを美しいといったことに、エマは少し むっ としたが、女の容姿をみて、それも仕方ないなと思った。
女は少し微笑んだのち、語るように喋りだした。
女「わたしねぇ、綺麗なものを撮るのが好きなんだぁ!やっぱさ、カメラにおさめるなら、醜いものより美しいもののほうがいいでしょ?この世には美しいものがたくさんあるものね!…それでね、この月は今まで見たもので一番綺麗な月だと思うの。あなたたちはどう思う?」
遠慮のないその言葉は、なぜか憎めない気がした。
アリッサ「そうだな、私もそうおもうよ。なんせエマ…彼女がいるからな」
エマ「アリッサ…」
女「うん、素敵だね!!…わたしね、今すごく撮りたいものができたんだけど、てつだってくれない?はじめましてで悪いんだけどね」
アリッサ「私に手伝えることがあるなら」
エマ「いいですよ!…あ、私 エマ です よろしくお願いします」
アリッサ「私はアリッサだ」
エマ、アリッサ ね
女は一度二人の名前を繰り返しニカッと笑って見せた。
女「エマは宇宙、アリッサは論理的って意味だね、うん、素敵な名前だ!わたしはヘーレー!HEROって意味なんだ!よろしく!」
二人は彼女の名前にヘーレーはよく似合うと感じた。
人目見ただけでも分かった。彼女のHEROのような勇敢で優しい性格を。
エマ「よろしく、で、何を手伝えばいいんですか?」
* * * * * * * * * *
アリッサ「こ、こんな感じでいいのか…?」
ヘーレー「あー…もうちょっと寄ってぇー」
エマ「あ、アリッサ顔赤くしてるー!可愛いですねー」
アリッサ「うるさいぞエマ! えと、ここでいいか?」
ヘーレー「いいよー!さ、わらってわらってー!」
ヘーレーが頼んだのは、エマとアリッサのツーショットだった。撮ったら二人に渡すと言う条件をつけ、月をバックにそれを写真に収める。 最後はキスでしめると、ヘーレーはとても興奮ぎみに ありがとう と頭を下げた。
ヘーレー「いい写真がとれたよ!二人ともとても綺麗だから雰囲気がすごくいい!最後のやつなんか一つの絵のようだよ!」
ベタベタに誉められ、なんだかくすぐったいような気分になったが、二人でツーショットは、実はあまり撮ったことがなかったのでとても喜んだ。
アリッサ「こちらこそありがとう、ヘーレー。二人での写真をとれるという幸福をくれて」
ヘーレー「写真ができたら贈るよ。連絡先もらえる?」
おたがいの連絡先を交換した。
エマ「私たち、明日の朝にはエレランド行きの飛行機のりますのでここでさよならですね…さみしいです」
ヘーレー「連絡先も交換したし、またあえるよぉ!わたしたちもう友達でしょ?」
アリッサ エマ「もちろん!」
二人の返事に幸せそうにするヘーレーは、本当に美しかった。
三人にとって、今夜のことは永遠の思い出になるのであった。
しかし、また後日 アリッサのお隣にヘーレーが引っ越してくることは、まだ誰もしらなかった。
続きます