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それでは今回もよろしくお願いします。
ふわふわした感覚……。
どうやら俺はまた夢の中にいるようだ。
目の前には当たり前のように雪穂がいて、こっちを向いて微笑んでいる。
『八幡さん……』
『……どした?』
『また……逢えましたね』
『そう、だな』
戸惑いながら頷くと、雪穂は頬を膨らませた。
『……あまり嬉しそうじゃない』
『いや、そんな事はない』
『じゃあ…………て』
『?』
『な、何でもありません!』
やがて、ゆっくりと夢から覚めていった。
「七夕祭り?」
「うん!」
亜里沙が笑顔で頷く。まだ日本に来て、それほど時間が経っていないからか、祭りという言葉にやたらと反応する可愛い親友だ。クラスの男子達も、チラチラと見ている。
「今度の土曜日だって!八幡さんと小町ちゃんも誘って、花火見ようよ!」
周りからガタガタっと椅子が鳴った。その様子に他の女子がしらーっとした目を向けている。
もちろん、亜里沙はそんな事には気づいていない。
「雪穂、どうかした?」
「いや、何でも……うーん、八幡さん達かあ。でもわざわざ来てもらうのも悪い気がするし、帰りが……」
「じゃあ、小町ちゃんが家に泊まって、八幡さんが雪穂の家に泊まるのは?」
「はえ!?な、何言ってんの!?」
「ほら、うちはお姉ちゃんいるし」
「うちもいるよ!!」
グータラで色気など欠片もないけど!今朝も寝坊するし!
「雪穂の部屋とかダメかなあ?」
「ダメに決まってるよ!」
一瞬だけ想像してしまった。あわわ、べ、べ、別に意識してるとかそんなんじゃないんだからね!
「顔赤いよ?」
「亜里沙のせいでしょ!」
「ふふっ、ごめんね?二人、仲良いから♪」
「それに……亜里沙はいいの?」
「何が?」
「い、いや、何でも……」
本当にこの子は何を考えているのか、わからなくなる時がある。でも、そこが小悪魔的で可愛らしいのかも……。
でも、七夕祭りかあ……。
「…………じゃあ小町。気をつけろよ」
「お兄ちゃん。ゴミいちゃんを発揮してないでいくよ」
小町に叩き起こされ、何事かと思えば、秋葉原の七夕祭りに行くとの事らしい。
そして、到着してみればこの盛大な賑わい。行き交う雑多な人の群れ。色とりどりのコスプレ。最後だけイベントの趣旨にあっていない気がするが、そこはご愛嬌なのだろう。
「あ、二人共こっちこっち!」
声のした方を向くと、亜里沙がこちらを見て、ぴょんぴょん跳ねながら手を振っている。隣には雪穂がいて、控え目に手を振っていた。
まあ、ここまで来て何もせずに帰ったら、交通費がもったいない。
俺は既に談笑を始めている3人の元へ駆け寄った。
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