捻くれた少年としっかり者の少女   作:ローリング・ビートル

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  あえてこちらから更新!
  すいません!前回、6月を3月にしてしまいました!もう直しました!

  それでは今回もよろしくお願いします。


I'm taking about lovin'

 小町からさりげなく太股をつねられる。

「っ痛!?どうしたんだよ…………」

「何、いやらしい事考えてんの!ゴミぃちゃんのあほ!帰ったら、お説教だかんね!」

「いや…………俺は何も…………」

 駄目だ。妹はごまかせそうもない。

「どうしたの?」

 高坂が怪訝そうな顔をしている。改めて見ると、夏物の洋服は、露出が多いだけではなく、生地が薄いせいで体のラインは浮き出るので、さっきの膨らみを妙に意識してしまう。落ち着け。相手は妹と同じ歳だ。妹と思えばいい。やだ何それ。どんなシスタープリンセス?

「いや~、ごめんね?うちのお兄ちゃんったら、雪穂ちゃんみたいな可愛い女の子と一緒に遊んだ事がないから、ついつい緊張しちゃって!」

「おい…………」

 失礼な俺だって…………ありませんでした。

 高坂は、何とも言えない表情をしている。かわいそうに思われているのか、ドン引きされているのか、人間観察に長けた俺でも推し量れない。

「あの…………」

「?」

「いえ、甘いものでも食べませんか?私、ロールケーキが美味しいお店、知ってるんですよ!」

「お~、いいね!行こ行こ!お兄ちゃん、まだ時間大丈夫だよね♪」

「まあ、まだ余裕はある」

「そういえば、聞いてなかったけど、今日はどこから来たの?」

「千葉だよ」

「へえ…………あ、だから…………」

「?」

 高坂のリアクションに小町は首を傾げる。おそらく、わんにゃんショーでニアミスしていた事を、高坂は覚えているのだろう。小町はきれいさっぱり忘れているかもしれないが。

「今日は何か用事があったの?」

「まあ、本格的な受験勉強前の最後の息抜き…………かな?」

 何故首を傾げる。何故俺を見る。あんま息抜きしすぎて落ちても知らんぞ。

「確かに受験勉強辛いよね」

「え、もう始めてるの?」

「うん」

 高坂は頷きながら、少し心配そうに小町を見る。やれば出来る子なんです。やれば。

 

 高坂のおすすめのお店とやらに向かいながら、きょろきょろしない程度に東京の街並みを眺める。さっきスカイツリーから小さく見えた街並みにすっぽり包まれて、千葉よりも数段騒がしい雑音をBGMに聞き流していた。

 何故か先頭を歩く小町を見ていると、隣の高坂が話しかけてくる。

「あの…………お兄さんは何か部活をやってるんですか?」

「奉仕部だ。そっちは?」

「私は何もしてません」

「…………高校では何かやるのか?」

「今のところ予定はないです。ただ…………」

「?」

「姉がスクールアイドルをやってまして…………知ってますか?スクールアイドル」

「さっきでかいビルに看板が…………」

「それです!うちの姉も今年になってからいきなり始めまして…………なんか夢中で…………羨ましいなあって」

「そうか」

「ところで…………奉仕部ってなんですか?」

 簡単にその概要を説明する。

「へえ…………私も何か依頼しよっかな」

「生憎、出張は受け付けてない」

「土日に私の代わりに店番とか」

「ただのバイトじゃねえか」

「ふふっ」

 その悪戯っぽい笑顔は年相応の無邪気さで、ついほっこりしてしまった。

 

 そっか…………千葉から来たんだ。こんな偶然もあるんだな。

 私はその先はあまり考えないようにした。

 

 





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